若き実業家I&S先生のお供でベトナムへ行く。
ドイモイ政策以降の目覚しい発展で、
市内は高層ビルが林立している。
8%以上の経済成長を続けるこの国は、
さながらオリンピック前の東京を思わせる。
ってまだ生まれてなかったけど。
久しぶりのベトナムで密かに気になっていたこと、
それは「路上耳かき」。
うわさには聞いていたが、
朝のジョギングで偶然見つけてしまった。
ギラギラ輝く貿易ビルの狭間で、ひっそりと営業していた。
衛生状態がすこぶる悪く、かなり怪しいのだが・・・
好奇心に負ける。(笑)
ベトナム耳かき師の手技は大雑把。
台湾にはみられない、ヘラのような道具でばりばりと耳の穴を陵辱される。
しかし、次第に自分のなかに眠っていたMな部分が眼を覚まし、
綿ボウシのふわふわで3分間もコショコショし続けられると、
正直、頭がオカシクなってくる。
覚醒してはいるのだが、恍惚となる、というなんだかへんなおクスリを飲んだような気持ちになるのだった。
口はパカーンと開き、なにかしゃべっても語尾がはっきりしなくなる。
一緒に試したS先生は、
「耳管は脳が近い器官であるし、副交感神経支配なので刺激されると深いリラグゼーションを得られますね」
とクールに語っていたが、口もとにはヨダレの跡が残っていた。
一方、屋台料理が食べられないほど潔癖なI先生はひきつりそうな笑顔で遠巻きに我々を眺めているのだった。
「おまえ、春巻きにちゃんとニョクマムかけてるか?」(耳かき師)
「はい~。かけてます~。」(俺)
正月、所要ありて台湾へ行く。
西門駅の近くの「阿宋麺線」にてモツ煮込みそば(立ち食い)を食す。
麺線は台湾でポピュラーなファストフードで、鰹のだしが効いたスープに素麺が煮込まれており、具は牡蠣か豚モツがのるのが普通です。
東京のモツはペラペラに薄くて、ゴムみたいなのがくるくる丸まっていることが多いのだが、
台湾のそれはほぼ立方体で、噛むとジュワッと美味しい脂がはじけ飛びます。
やはりモツの脂は掃除しないほうがおいしいですね。
台湾といえば、俺的には耳かきが楽しみでたまらなかったのだけれど、
例の耳かき師は正月休みとのことでまったく残念。。
仕方なくあてもなく街をさまよっていたところ
ナイスな床屋を発見。その名も「小林髪廊」。

年末に散髪しそびれたので、ここは一発すかっと横ワケハンサムでいくか、と
例のごとく飛び込んでみることにした。
扉を開けると、レジカウンターで昼飯最中のオヤジが
ずれた眼鏡で
「えあ?」
といった表情でこちらを見上げた。
当然、客はだれもいない。
一瞬、引き返そうかとも思ったのだけれど
俺の経験からすると、こういうシチュエーションの後には必ず面白いことに遭遇するので、ここは黙って運命のなりゆきに身をまかせ、オヤジに導かれるままイスに深く腰をおろす。
「今日はどんなにしますか?」
みたいなことは一切いわず、最初の霧吹きさえもなく、
ジョギ! ジョギジョギジョギ・・・とひたすら寡黙に髪を切る。
あっという間に散髪は5分(!)で終了した。
ものすごいスピードに圧倒された。
台湾では前回の耳かき体験でプロの技を見せつけられていたので
さすがは中国人、ハサミの扱いはあなどれんなぁー、と恐れ入りながら
ホテルに帰りシャワーを浴びる。
しかしあらためて鏡をみるとちょっと違和感。なんだろうこの前髪は。
カッパみたいだし、切残しもすごいぞ。
オヤジ・・・。
昼飯がそんなに大事だったのか。
タイから帰ってきた。
タイと沖縄は近そうにみえるが、バンコク→台北→那覇でなんと10時間以上もかかる。
同時刻にバンコクを発ち、成田へ向かった同僚がとっくに家に帰って寝ている時間に
こちらはまだ機上の人である。
チャイナエアラインの狭い座席で何度も機内食を食べていると、
養鶏場のニワトリ気分になれる。
日系航空のように観たい映画を選ぶ自由は、ニワトリにはない。
遠い画面ではミッションインポシブル2(・・・)をやっているようだ。
字幕が台湾語なのでイヤホンを頼んで(申告しないとでてこない)、チャンネルをあわせるが広東語の吹き替えだった。
どうにもならないので眠りにかかり、まどろでいたら、肩をトントンこずかれ起こされる。
コーヒーの「配給」であった。
こういうときに、JALやANAのきめこまかいサービスがすばらしく思える。
そのぶん安いんだからしかたないだろ、なんていわないでよ。
ANA バンコク→成田は往復5~6万のところ、
チャイナエアーは7万円以上するのです・・。
沖縄のほうが近いのに。
まったくもう。
前回の続き。
みみかきのプロ?がマッサージルームに入ってきた。
50歳くらいのさえない風貌のオヤジだ。
白衣を着ている。が、なぜか下はビーチサンダルだ。
「私、30年ヤッテルヨ。キモチイイヨ。」
と耳元でささやきながら、商売道具をずらりと並べてみせてくれた。
つまようじの様な小さいものから、天ぷら職人の菜箸みたいなのもある。
・・怪しい。(泣)
しかし、よく見ると長短10本ほどの金や銀の耳かきはどれもピカピカと輝いていて、手入れのよさがうかがえたので少し安心する。
耳かきの最後にやる、フワフワしたの、名前はなんていうのかな、
先っちょに綿ボウシがついている、アレだけで3種類もあって、
どれをどのように使い分けているのか非常に興味がわくのだが
こちらとしては棒のように身を硬くしているしかないので
耳もとを確認できないのがとても残念だった。
結論からいうと、勇気を出してやってみて正解だった。
耳の中でヒンヤリしたのや、あったかいのがあれこれうごめいて、
鳥肌がたったり、よだれが出たりする恍惚の時間が時を忘れさせてくれる。
ショリショリショリ・・と産毛を鋭利なカミソリで剃っているような不思議な「音」が脳に響いている。
あまりの心地よさにウトウトとしていると、突然「バリッ」と大きな音がして目をさます。
「トレタヨ。オオキイネ。」
ピンセットでつまんでいるその物体と、ティッシュの上にばらまかれた奴らをみて、気が動転した。
この40年分の質と量。
こんなものを耳の中に溜めて俺は今まで生きてきたのか。
物体の詳細は気分を悪くする方もいそうなのでここでは書きませんが、
みなさんには訪台の際、是非試されることをおすすめしたいです。
もう片方の耳が楽しみだった。
耳が2つあってよかった。
そして最後にこう思った。
「これが、プロか」 と。
怪しい風貌に訝る俺を、みみかき師は卓越した手技のみで(言葉さえほとんど通じないのに)黙らせた。
村上某なんぞは、自らのファンドに司直の手がのびる直前、
「私はプロ中のプロだから!」と言い放ったが、えらい差だと思う。
本当のプロなら絶対に捕まらないし、利益のでる話を漏らすようなことは決してしないはずだもの。
あ、耳かきは週に一度はやってますから。
為念。←同じホテルに泊まっている大きな人
所用があり台湾にきている。
那覇から小一時間で到着するので、気分的には東京→熱海といったところだ。
街の熱気は沖縄同様、じっとしているだけで汗が吹きでる。
夜、マッサージ店の視察にでかけた。
テクニックは並で、特筆すべきことはなかったけれど、お疲れモードの俺は揉まれるだけでうれしい。
ただ、困ったことに施術中に
「顔のマッサージ、するか?500元。」
だの
「オイル使うか?300元。」
としきりにオプションを迫るので、おちおち眠っていられなかった。
10分おきに起こされ続け、しまいには
「靴、磨くか?200元。ピカピカよ。」
などといってきた。
磨かないよ。
ってかスニーカーだからみがけないよ。。
次になんか言ってきたら、ぶちきれようかなと思っていたら
やっぱり言ってくれた。
「みみかくか?100元。プロがやるよ。」
・・・みみかく?
・・・おお、耳掃除か!
そんなものにプロが存在しているのも驚きだが、値段もびっくりだ。
100元≒300円。
300円で俺のもっともデリケートな部分を「プロ」にあずける、ってのも(なんだか背徳的で)ワクワクします。
ここは思い切って頼んでみることにしてみましょう。(笑)
(つづく)
↓喫茶店でおねいさんにお茶を入れてもらい感動もしたが
↓俺的には露店のスッポン活き血のほうが格上なのだ。