昨年他界した義父の一周忌のため千葉へ行く。
一泊二日でのタイトなスケジュールのなか、
なんとか仕事もこなしたが、
やっぱり風邪をひいた。
布団にくるまりながらぼーっと読む本は、漫画がベストだ。
今回はイブニングKC『もやしもん』。
農業大学の若きサイエンティスト青春群像漫画だ。
「アルペギルス・フラブス」だの「A・オリゼー」だのといった
様々な菌類がキャラクター化されていてほんわか笑わせてくれるだけでなく、
「L・エドデス」というシイタケ菌の命名由来が「江戸です」からきている、
といった話もあって、へぇ~の連続でまことに癒される。
酒の醸造にまつわる話も多く、
3巻目は舞台が沖縄の泡盛古酒ネタになっていく。
のんびりとしたストーリーを楽しみ、
例の苔むした甕を海に沈めて100年古酒をつくるのもいいかな、
なんて思いながら鼻水をすすりつつ、いつのまにか眠ってしまった。
「のだめカンタービレ」や「動物のお医者さん」
と同じカテゴリーに属するこの漫画は病床にこそふさわしい。
菌たちの「かもすぞ」という声が聞こえてきそうでちょっと怖いけど。
風邪にやられた今、あらためて思う。
耐菌・除菌ブームのこのご時勢は、
ぜったいに間違っている。
大腸菌が1000個いたくらいで食べ物を廃棄してたら、
いつかバチがあたるぞ。
菌に負けない身体をつくるのが先決だろうが。
不二家がんばれ。
ロデオボーイに続き、無駄な大物が我が家にやってきた。
泡盛の甕だ。
先日、北部の村落を散策してたときに発見した。
村の爺さまが広場でぽつんと「一人フリマ」をしていて、
彼の不用品のなかにまじっていたのをゲットしたのだ。
となりの村のばあさんからもらったそうな。
爺さまは、はじめは泡盛を寝かせるつもりだったのだが、
近頃酒が飲めなくなってきたのでいらなくなってしまった、と悲しそうに言った。
ばあさんが言うには100年以上前のものだということだ。
(ほんとかよ)
沖縄の泡盛の甕は戦争のため、古いものはほとんど現存しないのだが、
北部の田舎にこそこうしてひっそりと残されていたものがあったのかもしれぬ。
緑色の苔の隙間に「企」という文字が読みとれた。
大陸から舟ではるばる渡ってきたものなのかもな
と、しばし古の琉球ロマンにひたる。
それにしてもばあさんにも爺さんにも不要なこの甕。
タダ同然だったので思わず衝動買いしてしまって
なんの因果か俺のところにやって来たのだが、
いったい、どうするべきか・・。
爺様の夢にならい、古酒でもつくろうか。
いやまて、10升以上は入りそうだぞ。
原酒だけで数万円は覚悟せねばならんし、
古酒になるまえに飲んじゃいそうな自分も怖い。
う~ん、こりゃ傘たてになりそうな予感がするな。
一等賞が当たった!
賞品はロデオボーイ。
3歳の娘を含め家族はみな5分で飽きた。
身体のどこに効くのかまったくわからない。
でもなぜかジジだけが
「おっ・・・オオッ!」
と乗り続けているのです。
正月、所要ありて台湾へ行く。
西門駅の近くの「阿宋麺線」にてモツ煮込みそば(立ち食い)を食す。
麺線は台湾でポピュラーなファストフードで、鰹のだしが効いたスープに素麺が煮込まれており、具は牡蠣か豚モツがのるのが普通です。
東京のモツはペラペラに薄くて、ゴムみたいなのがくるくる丸まっていることが多いのだが、
台湾のそれはほぼ立方体で、噛むとジュワッと美味しい脂がはじけ飛びます。
やはりモツの脂は掃除しないほうがおいしいですね。
台湾といえば、俺的には耳かきが楽しみでたまらなかったのだけれど、
例の耳かき師は正月休みとのことでまったく残念。。
仕方なくあてもなく街をさまよっていたところ
ナイスな床屋を発見。その名も「小林髪廊」。
年末に散髪しそびれたので、ここは一発すかっと横ワケハンサムでいくか、と
例のごとく飛び込んでみることにした。
扉を開けると、レジカウンターで昼飯最中のオヤジが
ずれた眼鏡で
「えあ?」
といった表情でこちらを見上げた。
当然、客はだれもいない。
一瞬、引き返そうかとも思ったのだけれど
俺の経験からすると、こういうシチュエーションの後には必ず面白いことに遭遇するので、ここは黙って運命のなりゆきに身をまかせ、オヤジに導かれるままイスに深く腰をおろす。
「今日はどんなにしますか?」
みたいなことは一切いわず、最初の霧吹きさえもなく、
ジョギ! ジョギジョギジョギ・・・とひたすら寡黙に髪を切る。
あっという間に散髪は5分(!)で終了した。
ものすごいスピードに圧倒された。
台湾では前回の耳かき体験でプロの技を見せつけられていたので
さすがは中国人、ハサミの扱いはあなどれんなぁー、と恐れ入りながら
ホテルに帰りシャワーを浴びる。
しかしあらためて鏡をみるとちょっと違和感。なんだろうこの前髪は。
カッパみたいだし、切残しもすごいぞ。
オヤジ・・・。
昼飯がそんなに大事だったのか。