後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

インドの独立―チャンドラ・ボースを忘れないで

2009年08月22日 | インポート

昨日、新宿・中村屋の創業者・相馬夫妻のことを記事にしました。相馬夫妻は多くの人々を支援しましたが、インドの独立の志士、ラース・ビハリー・ボースも支援し娘、俊子も結婚します。しかし日本で有名なもう一人のボースは1897年生まれのチャンドラ・ボースと言ってガンジーとともにインド独立に活躍した人です。はじめはガンジーと共に英国の植民地からインドを独立させる運動をします。しかしガンジーの無暴力主義に反対し、武力を用いて急速に独立をはたす急進派の指導者になります。チャンドラ・ボースは行動的な人です。ナチス・ドイツにわたり2000人のインド人部隊を編成してドイツ軍とともにイギリス軍と戦闘を交えようとします。しかしヒットラーやムッソリーニは冷やかに扱います。そこで日本の真珠湾攻撃のニュースを聞いて日本の軍部へ協力を申し出ます。ドイツ海軍と日本の潜水艦を乗り継いで日本へきます。

そして中村屋の支援でインド独立運動をしていたラース・ビハリー・ボースと合流します。

その後のチャンドラ・ボースは日本政府と軍部の支援で、シンガポールで自由インド仮政府を組織し、自分が首班に就任します。そしてインド兵の捕虜を集めて「インド国民軍」を編成し、自分がその最高司令官になります。

軍事的には無謀過ぎるといわれたインパール作戦では日本軍と共にインド国内へ攻め込みますが敗退します。

日本の敗戦後はイギリスへ対抗する為にソ連の協力を得ようとして日本軍の九七式爆撃機でソ連へ向かうのですが、台湾の松山飛行場で事故に会い、1946年8月18日に死亡します。享年満49歳の短い人生でした。臨終の言葉は、「インドは自由になるだろう。そして永遠に自由だ」でした。インドの独立を見ないで死んだのです。

遺骨は杉並区の日蓮宗の蓮光寺に埋葬されました。このお寺は中村屋のビハリー・ボースの住んでいた近所にあり、彼が主宰した葬儀には中村屋のお菓子が供えられたと言います。毎年8月18日になるとインド政府と日本の関係者が集まって法要を行っています。戦後は、ネルー首相やガンジー首相が蓮光寺を訪れチャンドラ・ボースの墓前でインド独立の感謝の祈りを捧げています。

現在、インドの国会議事堂の正面にはチャンドラ・ボースの肖像画、右にはガンジーの肖像画、そして左にはネルーの肖像画が掲げられているそうです。

戦後、インドは日本へ賠償を求めず、東京裁判では日本人戦犯の無罪を主張したのです。

そしてインドの対日感情は現在でも非常に良いのです。

戦後、日本を占領したアメリカはインドの独立を日本軍が支援したことを隠そうとします。日本のマスコミもアメリカに気を使い、ネルー首相やガンジー首相が蓮光寺を訪問し、ボースのお墓に参拝したことは大きく報道しません。チャンドラ・ボースと日本軍の関係は歴史の闇に消えようとしています。しかし私はガンジーだけでなくチャンドラ・ボースのことも忘れないようにしたいと思います。

皆様はどのようにお考えでしょうか?

下に蓮光寺にあるボースの碑とお寺の写真を掲載します。(写真の出典:http://netmuseum.co.jp/ippin/ippno40.html

今日も皆様の健康と平和をお祈りいたします。 藤山杜人

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2 コメント

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私は戦後の生まれですが、戦禍の爪跡は記憶にあり... (hoteisan2004)
2011-02-13 19:56:08
私は戦後の生まれですが、戦禍の爪跡は記憶にあります。
戦争は二度とやだ、という思いが強いのですが、
あの戦争がすべて日本の誤りであったという思いはありません。
私の叔父も遠く歳の離れた従兄弟も学徒として戦死しております。
先人の犠牲を無駄にしたくない。それは平和国家の再建、日本そして
家族を守るという一念にあったと推察しております。
あの戦争で、アジア、インド等の独立が加速し、成し遂げられた要因は
この戦争にもあると、考えてます。
この意味においても先人の犠牲は無駄ではなかった信じます。

チャンドラ ボースと言えば、この固有名詞をはじめて聞いたのは
友人に新宿の中村屋連れて行かれて、そこで、はじめて本場の
インドカレーを食べたときの事です。後に新聞記者となった友人の
講釈で初めて知った次第です。歴史の教科書を通じて、ならったもの
ではありません。当時新鮮な響きをもっと同時に、歴史が客観的に
伝えられていないという印象をもったものです。これは本場のカレー
の辛さと共に情報の偏りというもの強く感じた記憶が蘇ってきました。
自己検証をすると同時に、情報が正確に伝えられているのか、
そこにバイアスがかかっていないか、たえず冷静にみる必要が
あると感じたものです。

すばらしブログであると感じます。
また、訪問したいと考えております。
返信する
hoteisan2004 さん (藤山杜人)
2011-02-16 09:45:24
hoteisan2004 さん

コメント有難う御座います。

戦争は双方の傲慢さと誤りによって起きます。一方だけが悪いという戦争は無いのが普通ですね。

親切なお言葉、有難う御座いました。

敬具、藤山杜人
返信する

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