後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

文化とは何でしょうか(3)北欧のサウナ文化の寸描

2014年11月20日 | 日記・エッセイ・コラム
スウェーデン、ノルウエイ、フィンランドなどの北欧の国々にはサウナを楽しむ文化があります。それが日本に入って来ると全く違った文化になってしまいます。
今日の話は文化の変容という話です。楽しいサウナという実例を使って分かりやすくご説明します。サウナの使い方が北欧と日本では非常に違うのです。
説明の前にまずスウェーデンの風景をご覧ください。

(上はスウェーデンの夕暮れ http://free.gatag.net/2011/05/24/190000.html )
北国のスウェーデンを旅すると、荒涼とした風景に夏でも心身ともに冷えます。
サウナは家族でも楽しみますが、旅人をもてなすためにも使います。疲れた旅人にくつろいで貰うために提供する最大の歓迎のしるしなのです。
昔からの北欧の文化なのです。
サウナの設備は日本の大浴場にありますが、お風呂と一緒にあるのが普通です。風呂に入ったりサウナに入ったりしますが、北欧では風呂が絶対についていません。純粋にサウナだけを楽しむのです。
1972年秋、ストックホルム工科大学へ三ケ月間行った折、大学のゲスト用サウナへ二度ほど招待された。訪問者をもてなすためのサウナが必ず大学についているのです。広いサウナで16坪くらいはありました。日本の大学にサウナはありません。
北欧のサウナは、極北の香り高い白木で内装されています。隣に談笑する大きな部屋が付いていて、窓からは広々とした風景が見えるのです。
その談笑室には白木のテーブルと椅子があり、酒を飲みながら裸で談笑するのです。
酒は雑穀を発酵させ蒸留した透明な強い酒。ロシアのウオッカや中国東北地方の白酒に似ています。この蒸留酒に、自宅の裏庭で摘んできたラズベリーやコケ桃の実の汁を入れて風味を付け、大きなボールに入れて運びこみます。それを木製の大さじで各自グラスに取り、飲むのです。
つまみはバルト海で捕れる小形のロブスターを真っ赤にゆでたものだけです。
サウナに入る作法は、まず全員一斉に裸になります。脱衣室を兼ねている談笑部屋の隅にある籠に脱いだ衣服を入れ、バスタオルを持って入ります。熱すぎると叫ぶ者、もっと熱くしようと焼け石に水を掛ける者の笑い声で大騒ぎにななります。十分暖まったら談笑する部屋に出て、酒を飲み、ロブスターを割り、勝手な話をするだけです。
サウナで歓迎するのは何処に行っても最高の歓迎のしかたという伝統なのです。
北極圏にあるキルナ市のスウェーデン鋼の会社を訪問した時もサウナで歓迎されました。豪華なゲストハウスは森閑とし、お客は私一人だけでした。マホガニーで内装された食堂で夕食を摂っていると、中年のウェイトレスが入って来て「私はこれで帰りますが、食事が終わったら食卓はそのままにして、サウナへ是非入っておやすみください」と言うのです。言われた通り、食後にサウナに行きました。一段と立派なサウナで、前室には、ピンク色の強い酒とライ麦の粉を煎餅のように焼いたものがチーズともに皿に乗っています。
同じような経験はヘルシンキでも体験しました。かの地の工科大学にも大きなサウナがあり旅人に寛いで貰うそうです。
サウナは体を洗うための施設ではありません。それはシャワーで洗います。ですから風呂やシャワーは絶対に併設されていません。
もっとも昔は木の枝で体を叩いたりしてシャワーの代わりに使っていたようです。
日本へ外国人が来たときサウナで接待するでしょうか?あなたはそのようにして歓迎するでしょうか?
同じ施設をどのように使うかが文化のです。
些細な実例ですが日本に外国の文化が入ってくると変容する例が多いと思います。それも良いことですが、たまには外国の文化を考えることも良いことではないでしょうか?ついでにヘルシンキの風景写真とノルウエイのフィヨルドの中の小さな村の風景写真を示します。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)

上は海から見たヘイルシンキ市:http://www2.jfn.co.jp/blog/wfn/2010/08/post_226.html
Geirangerfjordnorway1

上はノルウエイのフィヨルドの村の風景:http://www.libertyhill.co.jp/blog/gym/post-59.php