山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

御殿場の町灯りと富士山頂に沈む月 金時山  平成26年12月7日

2014年12月08日 | 星空
 毛無山塊や石割山などの山中湖周辺の山から見る月も悪くは無いのだが、富士山に近過ぎるためにどうしても富士山の大きさに対して月が小さくなってしまう。やや離れた丹沢や箱根の山から見る月のほうがバランスは良いのだが、良い日に休みが当たらず、なかなか撮影には行けない。今回はきわめて都合良く、7日の日曜日早朝、金時山から見ると富士山山頂に月が沈んでくれそうだ。しかし、難点がひとつ、沈む時間がやや早く、私の計算上では日の出の20分ほど前に月が沈んでしまいそうだ。この時間だと、富士山に露出を合わせるとおそらくは月の模様は消えてしまう明るさだろう。しかし、このような機会は滅多に巡って来るものではない。当日早起きして出発する自信は無いので、御殿場に宿をとって前泊し、早朝4時から金時山を目指して登ることにする。

 夕方5時にホテルチェックインし、さっそく寝たが数時間寝て8時に目が覚めてしまう。眠れそうも無いので近くの居酒屋に行って夕食(夜食?)を食べて10時にまた床に入るが全く寝つけず、結局寝たのは11時過ぎ。携帯電話のアラームで未明3時に目を覚まし、出発する。金時神社の駐車場に到着すると、車内泊らしき車が1台、その他に出発準備をしている車が1台。おそらくは私と同じくパール富士狙いの車だろう。予定通り、午前4時少し過ぎた頃に金時神社を出発する。


    金時山中腹で捉えた十五夜の月。月の下に見えるのは長尾山だと思う。


    山頂1番乗りだったが、カメラセットしている間に後続者が到着。ヘッドライトで照らされた山頂。


    未明の金時山山頂と月。

 途中で1組の登山者を抜き、1時間半ほどで1番乗りで山頂に到着した。カメラセット中にすぐに後続者がやって来て、その後も続々とパール富士目当ての登山者がやって来た。良さそうな岩の上に三脚をセットする。御殿場の宝石を散りばめたような町灯りと明け行く薄明の空に輝く月、そして雪を湛えて冬らしくなった富士山の景色を感動しながら眺める。


    10㎜超広角レンズで見る薄明の月と富士山。御殿場の町灯りも甲府盆地に劣らず美しい。


    富士山に傾く月。毛無山塊のちょうど反対側に位置する箱根の山は、宝永火口があまり目立たず均整のとれた格好良い富士山が見られる。


    箱根の町灯りと箱根の山。


    御殿場の町灯りと富士山に近付く月

 待つこと40分ほど、遂に月が富士山山頂にやって来た。ちょうど中央の絶好の場所に月が沈んで行く。肉眼では金色の月に餅つきウサギの模様が見えていたが、やはり写真に撮ると写らない。この月は、撮るよりも自分の目で見たほうが遥かに感動的で美しい。


    富士山頂の月


    月の紋様を写すために‐2EV補正するが、それでも月の紋様は写らない。


    パール富士


    200mm望遠レンズを忘れてしまったので、トリーミングしたパール富士。


    ちょうど中央に沈んでいった月。


    月光残照

 素晴らしい天体ショーだった。予想通り時間が若干早ったが、それでも見ごたえ十分の満足なパール富士を見ることができた。ここで帰って行く人もいたのだが、朝焼けの富士山を期待して待っていると、鮮やかなアースシャドウの空が富士山の裏側に現れた。近くにいた若者が天体現象に詳しく、ヴィーナスラインと呼んでいた。


    富士山の向こうに現れたアースシャドウ(ヴィーナスラインとも呼ぶらしい)。


    空気が澄んだおかげで綺麗に現れたヴィーナスライン


    箱根の山にたなびくヴィーナスライン


    朝日射す富士山頂


    同上


    同上。アースシャドウがまだ残っている。


    金時山の山頂にも朝日が射し始めた。


    裏側にスカイツリーが見えると言っていたので行ってみると・・・


    確かに(トリーミング)。近眼の私の目でようやく見える程度。

 時間は午前7時を回った。朝食のパンを食べて下山だ。時間が早いので、まだ歩いていない乙女峠経由のルートを歩いて下りることにする。少し雪のある稜線歩きだが、アイスバーンにはなっておらずアイゼン無しで歩くに問題無し。葉の落ちたブナの木越しの富士山が美しい。御殿場の富士山もなかなかのものだ。


    ブナの木越しの富士山


    こちらはシャラの木


    途中の長尾山山頂は霜柱ザクザク。もちろん踏んで歩きます。


    乙女峠への下り。向こうに見える鉄塔が丸岳。


    休憩ベンチのある乙女峠。その先には廃墟となった山小屋があった。


    乙女峠展望台。


    展望台から見る富士山。伸びた木が邪魔になって御殿場の町は見えない。

 良さそうな展望地を探しながら右左うろうろしながら歩いたが、思ったよりも早く8時10分ごろに乙女峠に到着した。私の前を歩いていたグループが丸岳まで行くと言っていたので、私も後ろをついて丸岳まで行ってみることにした。道標には35分と書かれているので、私の足だと45分くらいだろうか?登って下ってまた登って下って・・・タンコブ2つほど越えて40分で丸岳山頂に到着した。


    山頂手前から見下ろす仙石ゴルフ場と芦ノ湖、神山山塊。煙が立ち昇るのは大涌谷。


    丸山山頂。ここからは富士山が見えない。


    山頂の先から見下ろす相模湾。


    山頂の乙女峠側に富士山を展望できる草地があった。


    展望地から見る富士山。

 乙女峠に戻って下山する。こちらのルートは普通の登山道、石がゴロゴロしていてやや歩きにくい。どこに出るかと思いきや、金時神社から乙女峠側に10分少々行ったところの道路に出た。アスファルトの道をテクテクと歩いて駐車場に到着すると、手前の有料駐車場も含めて車がいっぱい。さすがに人気の山だけのことはある。時間は10時45分、お昼時の山頂はきっと座る場所も無いほどにごったがえしていることだろう。


    乙女峠からの下山道。


    道路脇に出た。


 富士山は山梨の富士山が均整がとれた美しい三角錐を描いていちばん格好良いと思っていたのだが、箱根の富士山も、そして丹沢の富士山もまた素晴らしいことを改めて思い知った。山の上の富士山も良いが、帰りの車の中から見る御殿場の富士山は裾野から立ち上がるように聳え立ち、富士五湖から見る富士山とはまた一味違った迫力を感じた。

 来週は双子座流星群、その次の週は地球照の月と、夜の山を歩くゴキブリ登山が続きそうだ。


コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする