山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ようやく出会えた紫の蝶舞う花 御坂山塊  平成26年7月12日

2014年07月13日 | 山梨無名山
 今年の花探しの筆頭に挙げていたこの花、危ない岩場をザイル下降して探しに行くのを覚悟していたが、以外にもホームグラウンドの御坂山塊にもあることがわかった。相棒のうーさんはこの花を探しに三度この山を訪れ、三度目の正直でようやく開花しているのを確認したと連絡を受けた。おそらくは見頃を迎えていることだろう。台風の影響で傷んでいなければ良いのだが・・・。

 午前の業務を片付けて登山口に到着したのは11時を過ぎていた。蒸し暑い天気、大汗をかきそうなので水は2.5リットル持って行く。樹林帯の尾根を登り、ロープの張られたスリップしそうな急斜面を登り、3時間ほど歩いて大きな岩壁に突き当たる。登山道は岩の裾を巻くようにつけられているが、この岩壁の周辺を念入りに探すと、清楚な薄紫色の花が目に着いた。これだ。以前は御坂山塊にも普通にあったらしいが、盗掘にあって今では自生のものにお目にかかれる機会はほとんど無くなってしまっている。


    笹の生えた樹林帯を登る。笹の中や斜面を覗き込みながら歩くが、目ぼしいものは見つからず。


    ロープのついた急斜面。スリップに要注意。


    日当たりの良い岩壁に突き当たる。この場所は花たちの天国のようだ。


    イワキンバイ


    フジイバラ


    ヤハズハハコ


    ウスユキソウ


    シモツケ

 お目当ての花は昨日山梨県東部の山で見たニョホウチドリに似ているが、こちらの花のほうがか弱そうで色は薄紫色だ。下唇の切れ込みがあちらのチドリよりも深い。


    岩の隙間から生えている花


    初見参、紫の蝶が舞う花 ウチョウラン。


    背丈より高い場所に咲いていた株


    さらに高い位置にも数株


    岩壁によじ登ってその上を覗いてみると、かなり高い位置にも咲いていた。

 全部で10株ほど咲いているのを確認することができた。

 大満足。このまま下山でも良かったのだが、山頂にも立ち寄ってみることにする。もう時間は午後3時半を過ぎているので誰もいないだろうと思っていたのだが、この時間に一人登山者がやって来た。途中でルートを見失い、1時間半ほど時間をロスしてようやく到着したらしい。この山の裏側ルートは歩く人が少なく案内板も無く、ところどころわかりにくい場所がある。私はここで遅い昼食をとってゆっくり休憩し、一足遅れて下山した。


    山頂にはシモツケがたくさん咲く。


    ヒメウツギ


    下山しながらもう一度この清楚で美しい花を眺める。また来年会いましょう。


 今年見たい花の中で最も難しいだろうと思っていたこの花は御坂山塊という意外と近場に咲いていた。先日この界隈を訪れた際に麓に住まれている方とお話しする機会があり、かつてはたくさんあったそうだが盗掘で今では見られなくなってしまったと言っていた。アツモリソウもかつては咲いていたそうだが、完全に絶滅してしまっている。残念なことだ。

 さて、課題をひとつクリアし、次なる課題は寅狩りだ。8月の下旬ごろだろう。

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台風去りて 山梨県東部の山再び  平成26年7月11日

2014年07月13日 | 山梨無名山
 先日はお目当ての花を発見できなかったが、同じ日にその界隈を花見隊メンバーが歩いており、見頃を迎えた花を10株ほど見つけたと連絡を受けた。ブログを拝見して見事な花に感激した。日程がとれればすぐにでも・・・と思っていたが、あいにくの雨とさらに台風接近となってしまった。ところがこの台風8号は遥か南の海上を通過してくれたおかげで、山梨県は雨も風もさほどのことはなかった。台風去って青空が広がり始めたこの日、午後から訪れてみることにした。

 沢を横切り笹の森を抜けて歩くこと3時間弱、笹と草の入り混じる草原に到着し、斜面を念入りに探しながら歩いて行くと・・・あった!しかし、雨の降った後で花弁が痛み始めている。


    沢を渡る。台風の後だが、あまり増水していない。


    笹の繁る森を抜ける。


    苔の生した森の中を横切る。


    そして到着した笹と草の入り混じる草原で、お目当ての花を発見。


    ニョ・ホウ・チ・ド・リ。


    満開だが、雨風のためか花弁が少し痛んでいる。


    こちらの花はもう終わりかけ。


    笹に隠れるように、10株近く咲いていた。


    ガレ場を登って別の場所を探してみると、2~3株発見。


    笹原から懸命に顔を出しているといった感じ。


    赤紫色鮮やかで愛らしい花。

 目的の花を見ることが出来て、十分満足だったが、先日発見できなかったあちら側の斜面も気になる。さらに、台風が過ぎた後で空気が澄み、この季節にしては珍しく夕暮れの富士山が見られそうな空模様だ。富士山の眺望も良い山なので、花を探しながら日没の6時半ごろまで展望地で待ってみることにする。2時間近く歩くが、なんとか間に合いそうだ。

 この日は平日だけあって、こんな夕暮れ近い時間に山の上を歩いている人は誰もいない。完全に独占状態だ。双眼鏡片手に斜面を覗き込みながら登って行くと、意外と登山道から近い場所で2株咲いているのを発見した。しかし、だいぶ花が痛んでしまっている。さらにその近くにもう1株。


    先日発見できなかった場所で見つけた花。上部はまだ蕾だが、開花した花弁は既に痛んでいる。


    同上、接写。


    その近くでもう1株。


    夕暮れ間近な富士山


    残照で赤くなるのを期待したが・・・染まらず。

 富士山の残照が消えたところでヘッドライト装着して下山開始する。もう1ヶ所、咲いている場所を聞いていたが、夕暮れで探せないだろうと思っていたところ、以外にも登山道のすぐ脇に咲いていた。手持ちで撮影できる明るさでは無いので三脚でカメラ固定して、本日最後の花を撮影する。ふと見上げれば、西の空が真っ赤な夕焼けに染まっていた。そして、夕焼けの東の空の雲の上に満月が昇って来た。


    登山道脇に咲いていたニョ・ホウ・チ・ド・リ。


    満開、見頃のはずだが、これも若干痛んでいる。


    東の空の雲の上、満月が昇る。

 樹林帯のまで下りたところでヘッドライト点灯し、あとは黙々と下る。林道近くまで下ったところで、林の中でゴソゴソと動いているものがいる。ライトを照らしてみれば鹿の群れ。5~6頭で笹籔の中を移動中だった。さらに下るとまた数頭。この山はかなり鹿が多いようで、稜線上の広大な草地は甚大な被害を被っていることだろう。

 食害や他の雑草・笹に負けず、これからもずっと咲いて欲しい。女・峰・千・鳥。

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