シャンパンカーブの帰る途中、綺麗なお城を見学した話の続きだが、お城は綺麗な外観をしていて遠くから見ると姿がとても素晴らしい。
内部の見学もしたが、お城の保管物の中に中国製とみられる筆置きがあった。
案内人が「これは何でしょうか?」と見学者一同に聞いたが、誰も知らなかった。「櫛?」と言う人もいた。そこで私は「これは筆置きです」と答えた。もちろん正解だがカトリーヌが横から「この人は書道の先生ですから。」と付け加えたのには驚いた。
カトリーヌが我が家に来て「書道ごっこ」をした時、漢字を横向きに器用に書いた時も腰を抜かしたが、このときもびっくりした。
慌てて否定したが「何言ってんのよ。あなたは先生よ」と駄目押しを押されてしまった。
この城にはもう一つ第二次世界大戦時のレジスタンスの小さい博物館もあった。
ナチスドイツ軍の当時のピストルとか、レジスタンスの旗とかが展示してあった。この地方は開戦後あっという間にドイツ軍に占領された歴史を、重く持っているのが解った。
お城からの帰りの途中の村で、変わったにぎやかな一団に出くわした。カメラに収めたが、聞いてみるとダンケルクと言う街からやってきたケルトの人達であった。
勿論フランス人だが、先祖はバイキングだったかもしれない。何故海に近い彼らが、フランスのあちこちこんなパレードをしているのかは判らなかったが、女装をした男性もいて、とにかく面白い集団だった。
帰ったあと花を生けてみようと思いカトリーヌに相談したが、カトリーヌは「花は切ると死んでしまう」と言う。
これは「活け花」の根本問題である。
だが日本の華道の理論で彼女を説得するのは不可能に近いし、彼女の言うことも真実であり、ここで花を切ることはしてはならない。
そこで、リシャールが昼に剪定したリンゴの木の枝の切れ端や、草花を取ってきて活けてみた。これは喜んでくれたが、彼女の花をそのままに観賞する姿勢も心に残った。
今夜の夕食は牛肉のステーキとなった。いつもの通りの屋外の炉でリシャールが焼いてくれた。
夕食後一段落してから、暖炉の前でルーレットの遊びをした。初めての体験だったが、教えられるままにやってみた。
最初私は少し運が良く、お金の代わりのプラスチックのコインが増えたりした。するとカトリーヌのご機嫌が優れない。リシャールもその辺は百も承知で、全然勝とうなどと言う気は無いらしい。
やがて私は負け出して、リシャールも負け出した。カトリーヌの一人勝ちである。そうするとご機嫌が良い。ここに来たその日に、庭のブランコに乗った時の彼女と同じで、子供心がそのままである。
こうしてこの別荘の最後の楽しい夕べは過ぎて言ったのだった。
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