サンジェルマン・アレーから凱旋門の近くのカトリーヌの家に帰った翌日、シャンパーニュにあるカトリーヌらの別荘に車で連れて行ってくれた。
パリを東に抜け、途中ヴァンセンヌの森に寄ってくれた。その森の北にヴァンセンヌ城がある。
ヴァンセンヌ城 1
ヴァンセンヌ城 2
車を降りしばしあたりを散策したが、かなりの規模のお城というより宮殿であった。今回は中に入らず再び車に乗り、一路シャンパーニュへと向かった。
広々とした草原や、麦畑、葡萄畑の中の真っ直ぐな道をひたすら走った。途中何度も大型の農耕用の車とすれ違ったり追い越したりした。
小麦の収穫
日本では見られない油田も見え、フランスが産油国であることに気がつき、羨ましかった。
やがて彼等の別荘に着き、木の中のトンネルを潜るようにして敷地に入った。別荘と言うのでこぎれいな建物を連想していたが、そこは古い農家を買い取って手を加えた古い建物であった。庭が広く奥深く木も沢山生えていて、相当背の高いものもあった。
サクランボ、黒スグリ、木イチゴの木もあり、それぞれちょうど実をたくさんつけていた。他には
りんご、栗、くるみ、あんずなどもあった。
これらの樹木の手入れは、ご主人リシャールの仕事であった。
ベランダでお茶をして休憩してから、カトリーヌが買い物に近くの村へ行くと言うのでついて行った。着いてから彼女がスーパーで買い物をする間、村を散歩してみた。教会を中心に小さいながらきれいな「セザンヌ」という村であった。
村の教会
市場
ぐるぐる歩いてキョロキョロしていると、突然車が止まり、中からおじさんが出てきて、「どうしたんだ?道が解らないのか?」と聞いてきた。
全く人のいいおじさんで「どこを歩いたらいいか?」と聞くと「あっちへ行くと古い通りがあるよ。」と言う。
こちらが理解できているのか出来ていないのかそんなことはお構いなしに、フランス語でぺらぺら話してくるのだ。それが田舎の人の魅力だ。
親切へのお礼に折り紙を差し出すと大喜びで、去って行った。
おじさんの言った通りは家と家との挟まれた細い小路であった。別にどうということもないように思ったが、きっと車道などが出来る前の、昔からある古い通りに違いなかった。
別荘に帰り、夕食となったが、買ってきた豚肉はベランダ横の炉でバーベキューとなり、焼く役はご主人の受け持ちだった。
ベランダ横の網焼き(豚肉)
「ルーアン焼き」のお皿
豚肉の網焼ステーキとジャガイモ(間にはクリームチーズを挟んで)のホイル焼の付け合わせ
チーズ、パン、庭でとれた木イチゴ
シンプルだが素晴らしい夕食を、美味しい空気とともに楽しく味わった。
パリよりずっと星の数も多く、何の音も聞こえない贅沢なその夕べに、ムッシュが言う。「ほら、マジー(魔法)だろ」と。この世のものと思えない素晴らしさということだ。
このマジーという言葉、滞在中何回言っただろう。そのくらいパリの人は都会の喧騒を忘れて、静か過ぎるくらいの自然や空間の中に贅沢な時を見つけるのだ。
8時半でも薄明るく、夜が更けるにつけ寒くなり部屋に入ると、7月だと言うのに暖炉を燃やし、その周りでまた団欒したのであった。
煙道を利用して暖房も兼ねている暖炉、炎が揺れ時々パチパチと小さな音を立てつつ夜は更けていった。
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