この日、東洋陶磁美術館を見た後、中之島公会堂でオムライスを食べ、建物を見学したら、ちょうどホールでダンスをしていて見せてもらった。タンゴだった。二人は日本人が社交ダンスをするのを見て驚いていた。
ジェラールはダンスも大好きでカトリーヌともよく踊ると言っていたが、最近エブリンとタンゴを習い始めたとメールがあって、「中之島公会堂のタンゴを覚えているでしょ?」と書いてあった。この時みたタンゴに触発されたようだ。
さて、二日目の夜は、着物の着付けである。エブリンはおしゃれなので、着物にも大変興味があった。
特別に二枚の着物を着てもらったが、髪もさっとアップにし「この方が着物には合うでしょ?」と言う。そしてシックな色留め袖を着た時「この色は大好きな色なのよ」とにこにこ。
正直に言うと、大きな彼女が色留め袖を着ると、柄が下の方に偏り、上の方に柄がないのでバランスが悪いのだが、そんなことは気にならないようだ。
ジェラールにたくさん写真を撮ってもらい、何回も鏡を見に行き、最後着物を脱ぐ前にも「もう一度見てくるわ」と言った。
これだけ喜んでくれると着てもらう甲斐があり、私も嬉しかった。
カトリーヌの明るくたくましい人柄が頭に残っているので、エブリンについて頭を白紙にして会うのは難しいなと思っていた。
けれど、エブリンに接していると自然に彼女は彼女なりのすっきりした性格が感じられ、この人もなかなかいい人だなと感じたのであった。
つい数ヶ月前、失意のどん底にいたジェラールは、驚くほど短期間でいい人を見つけたものだ。