祥泉暦

日常の出来事の記録

旅屋おかえり 原田マハ著

2022-10-30 15:46:00 | 書籍
先日「丘の上の賢人」を読んで、
この」旅屋おかえり」は、まだ読んでいなかったことに気がつきました。
この本はだいぶ前から我が家の本棚にありました。てっきり既読と思い込んでいたのです。

前回読んだ「夏物語」が長編でシリアスだったため、この小説を読みはじめは、甘いデザートの様な感じを受けていました。
が中盤になり、原田マハ小説の罠にハマりました。もう全く動けなくなりました。

「人情溢れる感動モノ」には、やっぱり弱い!!いつも感動した箇所を忘れたり、遡って探しきれなかったりするので、今回は印をつけておきました。

「時間が経過するほど強く美しくなるもの」のフレーズです。
最近特にそう思うのだが、この年齢になったからこそ理解が深まったり感動深くなることが多い。若い頃多くの時間とエネルギーをかけても何だかバッとしなかったことでも、この時期になってそれらがクリアになることがある。
人との絆、家族との関わり、友達への思いなど、、、

私が長い間関わってきた 書道 がそれそのもの!!! 書道の理解もさることながら、関わり方そのものに変化が起きました。それは 時間 という大切な要因があります。ここまで関わったからその思いは更に強くなり私の思いが美しい方向へ導かれると思うのです。

それと併せて、読書による世界観の広がりを実感する!大切な時間を知らなかった考え方見方を学べるのが読書だと思う。

「旅」という主題とはかけ離れた読後感になってしまったけれど、私の偽りのない思いと変化なので、私の記録とします!

夏物語  川上未映子著

2022-10-23 14:25:00 | 書籍
「世界が絶賛する最高傑作!米TIME誌ベスト10    米ニューヨークタイムズ必読100冊 40カ国以上で刊行決定!」のキャッチコピー。それに村上春樹氏の賞賛コメントが 表紙の帯にあって、夫が思わず手に取った一冊でした。

私は普段、裏表紙にあるあらすじを何故か読む習慣がありません。
今回も大長編ながら、何も知らず読み始めました。

ひと言では著しきれない、なかなか感慨深い長編でした。シリアスな内容なだけに、
暗いイメージになり易いところ、最後はハッピーに終わったので内心ほっとしています。

子どもに恵まれないご夫婦にとって、一つの手段として「精子提供」も肯定すべきものであるけれど、
生まれてくる子供にとってどうなのかは重大な問題です。


小説の中で、精子提供で生まれてきた善百合子が
子供側の意見として、大人、親のエゴであると主張する場面はとても辛く、思わず涙しました。
例えば、生まれつきの難病を背負って生まれてきた子が、苦痛だけを背負わされて死んでいく時も、親への慰めはあっても子供への慰めは薄い。子どもは生を受けて迷惑だったのだと。だから「自分の子どもに会いたい」という理由で産むべきではないと。

妊娠する事は「おめでた」とも言うので、本来は大変祝福すべきものなのに、
ひとりの子供を大人になるまで育て上げる事や無事に出産できるのかどうかの不安は相当なものです。

また、真っ白な赤ちゃんの心に親がどう関わるかで様々な色に染められる事になります。
その覚悟はあるのか?!

様々な問題や課題を含んだこの物語は「たいへん重い」
しかし少子化時代にそれを言ってしまえば、これからの人にますます不安を煽いでしまいます。

主人公の夏子が好きになった精子提供で生まれた逢沢の子供を出産するという選択をした事に心から拍手をしました。

責任は重大だけれども、子供を幸せにしてあげる事を貫けば、親も子供と一緒に成長するストーリーになるはずです。きっと。。

川上映未子の作品は以前「きみは赤ちゃん」を読み、今回は2作目です。娘と息子のところに第一子が誕生するタイミングに、
初めて孫に出会うための心構えみたいなつもりで読みました。
あれから8年以上経ち4人の孫達に出会う事ができとても幸福な気持ちでいます。
しかしながら、現実的に様々な社会問題がある事も知っています。

若い人たちにとって明るい社会、未来を願って止みません。

丘の上の賢人 旅屋おかえり 原田マハ著

2022-10-09 17:31:00 | 書籍



先日テレビドラマとして放映されたものかと思ったら違ってました💦

美術関係の作品もコミカル的な作品も、
外を舞台にした作品も
国内を舞台にした作品も
すべて取材に徹しているところが
原田マハ作品の醍醐味である。
自称 旅好き と語っていたけれど、
それは作品作りの命となっていて、
ストーリーもさながら
出てくる現地の景色や美味しいものの
旅の本、グルメ本にもなっている。

今年の私たち夫婦の帯広旅行は、
正に原田マハさんの影響でした。
「デトロイト美術館」巻末の対談集から
の情報だったのですが、
何と「フーテンのマハSP 旅すれば乳濃いし」というなんともおかしなタイトルの短編にここまで詳しく六花亭を賞賛しているのは知りませんでしたw
読んでいておかしなくらいに映像として甦りました!

後先になってしまいましたが、、、
やっと本題の」丘の上の賢人」に。
多少コミカルな話を涙なくしては読めない人情溢れるストーリーにしているところが、原田マハ小説の素晴らしいところです!
小樽には行っていませんが、私も「ウニ」十勝のお寿司屋さんで食べました。
礼文島は、学生時代に行きましたが、
また行きたいと思います。
すっかりハマっていますね、わたし。




コンビニ兄弟 町田そのこ

2022-10-05 18:15:00 | 書籍


手軽に読めるものを短時間に数冊まとめ買いをする時に、
「本屋大賞」の推薦はありがたい!
受賞でも候補作でも構いません、ハズレはほとんどありません。
そして、初めての作家さんに出会うこともしばしば、と言うかほとんどです。

コンビニで働く人達をほのぼの目線での短編集。完結しながらも続いているので、読んでいて面白い。
そしていつも何気に利用しているコンビニという場所は、主人公の店長目線で見ると、確かに様々な人間に出会える不思議な場所なのかもしれません。そして、気に入ったら日常に使う事になるので、地元に根付いた様々なサービス特長など特別感があっても不思議ではありません。

コンビニ、もちろん私の子供時代、学生時代にはありませんでした。
都内での出店から始まったのだと思いますが、記憶を遡ると、
結婚して再度上京した時に、
学生時代に酒屋だったところが
某「7.〇〇」に変わっていました。
扱っている商品が多彩で、目に止まる商品が垢抜けている印象でした。朝7時から夜11時までの営業も魅力的でした。こんなお店が、1人暮らししていた学生時代にあったら良かったなぁと思いました。
それから急速な勢いで店舗数が増えました。今ではなくてはならないお店となっています。

そしてこの物語は、まだ行ったことのない九州を舞台にしているのも私には新鮮でした。

最近はあまり刺激的なストーリーは好まなくなりました。自分を否定される様なものも読後感の後味が悪く敬遠しています。笑
そういう意味では、とてもほのぼのしたストーリー集でした!