祥泉暦

日常の出来事の記録

「プラハの春」上下 春江一也著

2021-02-12 09:24:00 | 書籍
2度目の読破、なのにまるで初めてのような感動!!
今回はゆっくりじっくり読んだので、
しかも諸事情により何度も中断、
そして老眼が進んだらしく昼間でもスポットライトが必要で、夜は無理。

それにしても1度目の私の読解力の乏しさに驚く。
何を読んでいたのか、、、


2年前の秋、友達と中欧旅行に行き、最後にプラハを訪れた。
それもあっての再読なのだが、
舞台になったプラハの街を鮮明に思い出した!
プラハ城はもちろんのこと、市街地を見下ろしながら葡萄畑の小径を歩いた時の光景。
スメタナ モルダウ川の旋律を思い出すヴルタヴァ川、
アールヌーボーを代表するチェコ人画家ミュシャ(チェコ語はムハ)の
ステンドガラスに目を見張った聖ヴィート教会、
そして何度も通ったカレル橋、特に夜は別物!
旧市街広場で時計塔を見上げながら飲んだチェコビールの美味しかったこと。
あーーー、また行きたい!

けれどもあの素晴らしいと感動した場所は、
あの悲劇的な歴史を刻んだところ。。。
ちゃんと歴史を学ばないと旅行はありえない。
最初に読んだ気になっていた「プラハの春」を
もっとちゃんと理解していたら、
旅はもっと違っていたはず、残念。
仕方ない、それが私。

それにしてもこの「プラハの春」に
登場する人物は、ハッピーエンドが全くない!
これでもかこれでもかとみんな悲劇的な結末。
著者は、日本人のチャコ在中の官僚である外交官。
東ドイツ出身のサファイヤ色の目をした才女と恋に落ちる。
当時は実るはずのない恋。
「史実に基づいたノンフィクション」と著者は明記しているが、
どこまでが事実か、、と想像を駆り立ててしまう。
そこが面白い。
あまり知ることのない史実「プラハの春」を
とても詳しくわかりやすく書いているところは、
さすがリアルに目撃した外交官らしい。


歴史を省みると
権力で人の命を無惨にする過去の事実に突き当たり
民の哀れみや悲しみが文学を生む。

また探そう、面白文学を。