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>自民党の裏金は完全に「脱税」である 「政治資金は非課税」というフェイクにだまされるな 古賀茂明

2024-03-26 08:59:14 | 社会問題 日々雑感

自民党の裏金は完全に「脱税」である 「政治資金は非課税」というフェイクにだまされるな 古賀茂明

政官財の罪と罰 2024/02/13/ 06:00

古賀茂明
古賀茂明氏「アベ政治は終わったはずなのに、何か得体の知れないものに支配されている」|日刊ゲンダイDIGITAL

2月1日、市民グループ「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」(代表・藤田高景氏、告発代理人弁護士・大口昭彦氏、一瀬敬一郎氏、長谷川直彦氏)は、自民党安倍派のいわゆる5人衆(萩生田光一自民党前政調会長、西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅自民党前国会対策委員長、世耕弘成自民党前参議院幹事長)を含む安倍派の議員・元議員計10人を「裏金・脱税」で東京地方検察庁に刑事告発した。

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 同会の代表・藤田氏は「今回の自民党裏金疑惑は、倫理の底が抜けた、非常識極まりない行為。法律違反であり、明確な犯罪行為だ」「説明責任を果たさぬ政治家は永田町から退場してもらうしかない」と憤りを込めて語った。同氏によれば、多くの市民から怒りの声が寄せられていて、これは何とかしなければと立ち上がったそうだ。

 

 実は、私も藤田氏から声をかけられ、当日の記者会見に臨んだ一人だ。正直言って、居ても立っても居られないという気持ちだった。脱税については、これまで誰も刑事告発していなかったからだ。

 テレビの街頭インタビューでも、今回の裏金疑惑については、ほとんど批判一色である。

 会社勤めの人は、すべての所得を把握され、そもそも脱税の機会さえ与えられない。140万もの事業者がインボイス導入への対応で一円単位で消費税納税のための帳簿を整備する複雑な仕事を初めて経験し、悲鳴を上げている。

 それを脇目に、国会議員は、パーティー券収入の一部を裏金として隠し、好きなように使っていたが、安倍派幹部という重責を担う議員でさえ地検はお目こぼしにした。

「信じられない!」という声が上がっても、飼い慣らされた政治部記者や自民党の御用コメンテーターたちは、「秘書が知っているだけではダメで本人の関与を立証するのは難しいから立件はできない」とか、「そもそも政策活動費の使途は届けなくても良いから、政策活動費を政党支部として受け取ったと言って報告書を訂正すれば何の問題もない」とか、「何でもかんでも立件するわけにはいかず、4000万円、あるいは3000万円を超えなければ無罪放免になるというのが相場だ」などというようなことをわけ知り顔で解説していた。

3000万円までなら立件しないのは検察の怠慢でしかない

しかし、3000万円までなら立件しないというのは、単に検察の怠慢でしかない。起訴しないから有罪にならないだけである。これまで裁判で3000万円未満なら無罪だという判決が出たことは一度もないのだ。

 日本の検察は、客観的証拠によって立証するということが苦手だ。だから、とにかく自白に頼る。日本ほど自白に頼る検察は先進国にはないと言っても良いだろう。だから、自白してくれなければ、今回のような案件はことごとく不起訴になる。法律も甘いのだが、そもそも、検察の能力が低くやる気もないために、これほどの政治スキャンダルが野放しにされてきたのだということを国民はよく認識する必要がある。

今回の事件で脱税について立件が見送られたことはまさにそれを象徴する出来事だ。

 多くの国民は、これも法律が甘いから政治家が逃げおおせてしまうのだと思っているかもしれないが、それは大きな間違いであることを今回の市民による告発は明らかにした。

 どういうことか順を追って解説しよう。

 まず、一口に裏金と言ってもいくつかの異なるタイプがある。ここでは今回の市民団体による告発状にしたがって安倍派の裏金を3つに分類した。

 第一は、各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納めたあとで、ノルマを超えた分の金額を安倍派が議員側に返すやり方だ。形の上では安倍派の収入に計上された上でキックバック分も各議員の政党支部の収入にも計上される。量的規制に違反しない限りは、政治資金規正法上は直ちに違法とは言えない。

 第二は、各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納める際に、ノルマを超えた分の現金を安倍派が各議員に返すやり方である。安倍派の収入に計上しないだけでなく、各議員には政治資金規正法上の収入の記載をしないように念押ししたもので、各議員の政治資金としても表に出ない。非常に汚いやり方である。

 第三は、もっと酷いやり方だ。各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納める際に、安倍派に収入があったのにそれを報告せず、その分を各議員の懐にしまい込む、「中抜き」のやり方だ。本来は、安倍派のパーティー券を売っているのだから、その売り上げは安倍派のものであるにもかかわらず、勝手に自己のものにしているので、横領罪になる可能性がある行為である。また、パーティー券の購入者に対しては、安倍派のパーティー券だと言って売ったのに、実際は、自分のものにしているので、支援者に対する詐欺罪になる可能性すらある。

 

政治資金と報告すれば非課税というのはフェイク

 前にも述べたとおり、テレビや新聞では、政治家の収入は「政治資金」だと報告しさえすれば非課税になるというような情報が垂れ流しになっていたが、これは完全な「フェイク」である。

 確かに、政治資金規正法上は、政治資金収支報告書に収入として記載し、かつそれが政策活動費として使われた場合は、使途を届けなくても問題はない。

 しかし、だから、何に使っても非課税になるとはどこにも書いていない。

 正確に言えば、政治家の収入について、非課税で申告・納税が不要になるという根拠になり得るのは、所得税法第9条第1項第19号以外には存在しない。

 そして、その条項に何と書いてあるかと言うと、

「公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの」とある。

 わかりにくいかもしれないが、簡潔に言うと、非課税となるためには、

  1. 公職選挙法の適用を受ける選挙に関して
  2. 法律で認められた範囲での選挙運動に関連する収支であり
  3. その収支報告書が提出されている

 という3つの要件を「すべて」満たしていなければならない。

 したがって、政治に関連する支出なら何でも良いわけではないことは明らかである。

 私的な支出が対象にならないのはもちろん、単なる議員仲間の集まりでの飲食費でも対象外だし、選挙のためであっても有権者や地方議員の買収は認められていない行為であるから、これも対象外だ。また、政治目的でも、「政治工作」などへの支出も不可である。

 さらに、先に解説した3つの裏金類型のいずれにおいても、公職選挙法上の報告書が出されていないので、その一点をもってしても非課税の条件を満たしていない。

 結論から言うと、今回明るみに出た裏金はいずれも所得税法上の非課税の要件を満たしていないから、明らかに課税対象である。税務当局は速やかに課税処分を行うべきだ。

 

脱税疑惑について本格的な捜査が行われた形跡はない

 さらに、前述の第二、第三の類型では、政治資金規正法上の記載もせずにその収支を隠していたのであるから、悪質性も十分だ。また、第一の類型でも、正当な選挙活動に使っていなかったとすれば、単なるミスや失念という言い訳は通らない。偽りその他の不正により本来支払うべき所得税の支払いを免れたということになるはずだ。

 つまり、いずれのケースでも脱税の罪に当たる可能性は極めて高いと言わざるを得ない。

 東京地検は、今回の裏金疑惑のうち政治資金規正法違反についての捜査を終えた。会計責任者7人と、議員では、池田佳隆衆議院議員、谷川弥一前衆議院議員、大野泰正参議院議員の3人が立件されたが、安倍派5人衆や下村博文元文部科学相・安倍派元事務総長、塩谷立自民党元総務会長・安倍派元事務総長らの大物議員は無罪放免となった。

 一方、脱税疑惑については、本格的な捜査が行われた形跡はない。

 ここまで読んで、読者の皆さんはどう思うだろうか。

 政治資金規正法違反でさえ、「秘書がやったと言えば逃げられるのか」「トカゲの尻尾切りだ」という批判が渦巻いている。世論調査で自民党に政治改革はできると思うかと聞けば、これまた大半の人ができないと答える。テレビの街頭インタビューを見ても、ストレートに自民党や岸田文雄首相を批判している人がほとんどだ。

 政治への信頼は文字どおり地に落ちた。内閣支持率も岸田政権誕生以来最低水準に落ち込んでいる。ここまで来たら、岸田首相も生半可な対応では済まないとわかってはいるだろう。しかし、「火の玉になって」という言葉とは裏腹に、真相解明は時間稼ぎに終始し、改革の本丸である企業団体献金の禁止や政策活動費の廃止についてはいまだに抵抗している。

 彼の行動を見ていると、自民党が権力を握っている限り、国民がどれだけ怒っても何の意味もなさず、「民主主義」を根底から否定する政治が延々と続くのだということがよくわかる。

 その岸田首相の頭の中にあるのは、解散総選挙での起死回生の復活劇とそれによる秋の自民党総裁選における再選だ。

 

怒れる納税者の声を社会と納税者に示そう

そこには、「国民はバカだから時間が経てば忘れる」という安倍晋三元首相から引き継いだ哲学がある。先々週の本コラムで書いたように、バイデン大統領の招待による国賓級待遇の訪米と、散々批判されてもこだわった所得減税によるまやかしの実質賃金上昇を見せれば国民は騙されるという読みもある。

 頼りない野党を見ることに慣れた国民は、政権交代など「夢のまた夢」だと思っているかもしれないが、今回の自民党への信頼失墜はこれまでの一過性のものとは違うようだ。

 

 現に、2月9日の本コラムで紹介したとおり、自民党員にさえ野党に投票しようとする動きが広がっており、総選挙になれば、自民党の得票が大きく落ち込む可能性が高い。

 政権交代はすぐそこまで近づいているのに我々国民が気づいていないだけなのかもしれないのだ。

「民主主義が眠ればファシズムが目覚める」と言うが、それは、国民が動かなければ、私利私欲に目が眩んだ権力者の思う壺だということを意味する。

 時はちょうど所得税の申告時期だ。

 庶民には一円の脱税の余地も残さず徹底的に徴税する税務署だが、最上級国民である国会議員には裏金を非課税のまま好き勝手に使わせるというダブルスタンダードを許す国民はいない。「そんなことを許すなら、我々は税金を納めないぞ!」と声を張り上げて税務当局に抗議すべきだ。

 これからは、官邸、自民党、検察に加えて国税庁や税務署に対してデモを行うのも一案だ。

 また、野党は、各選挙区の自民党議員の裏金疑惑について固有名詞をあげて説明を求める街宣活動を行うべきだ。

 日本中で、怒れる納税者の声を社会と政府自民党に示そうではないか。

 岸田首相が、「国民はバカではなかった!」と気づくまで。

 

https://dot.asahi.com/articles/-/213962?page=1

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