阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

小泉首相の靖国参拝

2006年08月15日 22時42分38秒 | 政治
 終戦記念日の本日、小泉首相が靖国神社を参拝しました。

 私は反対です。何よりも国益に反しているからです。

 小泉首相は01年の総裁選前、それまでほとんど行ったこともない靖国参拝を公約にしました。それは自分が首相になりたいがため、組織票を見込んだ政治利用だったと思います。また、総選挙があった昨年は、靖国問題が争点になると不利と見て10月に参拝しました。都合良く政治利用しておきながら、「公約」を果たすために退陣が決まっている今年になって8月15日に参拝し、「心の問題」と突っぱねる態度に強い違和感を感じます。

 私は中国、韓国が反対するから行くべきではないとは思いません。両国はアジアの隣国としてお互いを尊重し、協力し合うべきパートナーであると同時に、地域のライバル国でもあります。例えば両国は日本の国連常任理事国入りに強硬に反対し、あらゆる手段を使って阻止しようとしていますが、それは両国にとって明確に国益に反するからです。長期的視野に立ち、時に相手が嫌がることをするのも外交力だと思います。同時に、例えば米国が独善的な政策に走ろうとした場合、いつでも協力できるようなパートナーシップを構築することも必要だと思います。

 しかし、例えば中国でビジネスをしている私の友人などは、小泉首相の靖国参拝により様々なビジネスチャンスを失い、また時に生命の危険さえ感じていると言います。靖国参拝を政治利用し、結果として両国に都合よく利用され国益を損ねているとすれば、それは首相として賢明な態度ではありません。 

 「二度と戦争を繰り返さない誓いのために、英霊に哀悼の誠を捧げる」という思いには、私も心から賛同します。私自身も靖国神社に参拝したことがありますが、行って良かったと思います。「平和構築」という自分自身のテーマに出会う上での貴重な経験でした。

 しかし首相として不戦の誓いを行うのであれば、他にも方法はあったはず。今回の参拝は小泉首相の身勝手なパフォーマンスに思えてなりません。

 


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5 コメント

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Unknown (Rina)
2006-08-15 23:51:27
坂口さんの意見に賛成します。というより基本的な視点、姿勢に信頼を感じます。いつも、現場はどう思っているか、弱い立場の人はどう感じてるか、その視点が一切ブレていないからです。小泉首相とは対極だと思います。
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環境作りと説明 (桧垣進)
2006-08-16 10:31:57
私は首相は是非靖国神社に参拝してもらいたいと思う者です。しかし、坂口氏が指摘する小泉さんの参拝に関する矛盾や問題点については、的を得ていると思います。心情的に参拝には賛成ですが、パフォーマンスとしてではなく、配慮と説明を尽くし、A級戦犯の分祀など参拝できる環境を作った上で、ぜひ参拝してもらいたいと思っています。
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Unknown (カフェラテ)
2006-08-16 13:50:56
昨日、小泉首相は会見で「いつ行っても批判や反発がある。ならば、今日は適切な日だ」と言われていましたが、私には、会見時の首相の言葉としては投げやりな発言に聞こえました。一国の首相であれば、ある決断をする時には、多様な価値観を持った国民に様々な批判中傷反発にさらされるのは当たり前の事で特に靖国参拝の様な大きな問題であれば、桧垣さんがコメントされている通り、配慮と説明を尽くしてもらいたいと思います。日本は、格差社会と言われてきていますが、経済力の格差が、国民の情報収集力の格差につながってきている気もします。政治家の方には、坂口さんの様に、どの様な立場に置かれている人にもわかりやすい言葉と説明をしてほしいと思います。

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Unknown (阪口直人)
2006-08-16 15:36:02


 様々なコメントありがとうございます。大変励まされます。



 Rinaさん、カフェラテさんが指摘して下さった問題については、私が国会の秘書をしている頃、また紛争解決の現場で活動していた時に常に感じていたことです。2世・3世議員など政治の世界にどっぷり浸かっている人の意識や考え方は、時に現場の意識、一般の国民の意識と乖離していて、弱い立場の人々に対して非常に鈍感だと思うことが多々ありました。小泉首相はその典型で、結果的に格差社会やアジア蔑視などの問題を生み出していると思います。この問題は私自身の政治意識のスタート地点でもありますので、このことは今後も指摘していきたいと思っています。



 一方、桧垣さんのように、違った意見でありながら、それぞれの問題点や、共感できる点を書いて下さった意見も、大変ありがたく思います。



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あれから1年 (百合丘の星)
2006-08-17 21:36:27
昨年の夏の陣から1年。

阪口さんが指摘されるように、昨年の総選挙では靖国問題は争点とされず、郵政民営化の是非を問うのみ。結局総選挙後の10月になっての小泉総理の靖国参拝でした。

これは野球でいえば隠し球にあったようなものですね。

・・・健全な高校球児は隠し球なんてしないぞ!!

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