今朝の外務委員会では日朝政府間協議において合意した特別調査委員会について、また、ミャンマーのティラワ経済開発区における住民立ち退き問題に対する質疑を行いました。
拉致被害者等を調査する特別委員会の在り方とミャンマーのティラワ経済開発区の問題点について外務委員会で質問 衆議院インターネットTV(6月6日)
拉致被害者、特定失踪者、日本人配偶者、また戦後の残留者について再調査を行う日朝合意に関して、私が懸念するのは人的往来などの制裁を解除する時期が、早急過ぎる点です。合意では「北朝鮮が包括的調査のために特別委員会を立ち上げ、調査を開始する時期」とされていますが、開始しただけで結果が出る前にカードを切ってしまうことで実効性のある交渉につながるのか甚だ疑問です。特別委員会の委員長は誰なのか、また、その権限はどの範囲まで及ぶのか、未だに不明です。特に最高権力者である金正恩第一書記から権限が付与されているのかどうかも定かではありません。身分確認を行う際にDNA調査などの科学的調査を行うことも必要でしょう。
合意文書では日本側も現地訪問など情報を共有できる措置を取ると文言がありますが、調査を行うのが北朝鮮の関係者だった時、果たして本人が「日本に帰りたい」と言えるのかどうか。北朝鮮が茶番を繰り返すことがないよう調査・ヒアリングのプロセスを日本側が監視し、実効性を担保できるようにすべきと強く求めました。
そもそも経済制裁自体の効果について、私は北朝鮮政府より国民を苦しめる結果になることを危惧しますが、交渉の戦略として、結果が出る前に報酬を提供することが、北朝鮮の不誠実な対応を招くことがないのか、目を光らせなくてはなりません。
ミャンマーのティラワ経済特区については、私は2年前に訪問し、それ以来どのような開発が行われるのか注視してきました。水曜日には「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」として、ミャンマーにおける日本の援助と人権について報告会を実施。ティラワ経済特別区において、立ち退きを強いられた現地の住民の声を聞く機会をNGO『メコン・ウォッチ』と『ビルマ市民フォーラム』の方々に作って頂きました。勇気を持って現状の問題点を指摘して下さった住民の方々の声は、大変貴重なものでした。
この開発の受益者は広くミャンマーの国民自体でなくてはなりません。日本のミャンマー支援・投資のモデルケースになるためには、環境や人権問題には細心の注意を払い、住居移転を強いられる住民の不満などにも耳を傾け解決していかなければならないと考えています。
圧倒的なスピードと低コストで大規模開発を進める中国との比較においても日本が開発する場合、時間やコストはかかっても、それ以上の価値・メリットをミャンマーの人々が感じられるように開発事業を行うことが日本の戦略として必要なのです。ミャンマー政府はティラワ開発に関して移転を余儀なくされる住民については国際基準に準拠した条件を提示するなど、これまでとは異なる姿勢を示しており、JICAも丁寧な対応をしているとは感じました。しかし、全ての住民が不公平感を持つことなく事業の恩恵を被る。そんな高い理想を実現するためには多くの難題があります。1997年に移転を通告され、2013年まで放置された揚句に移転させられた人々は1997年当時の補償額である1エーカー(4046㎡)あたり2万チャット(当時の実勢レートでは約20ドル)つまり、1㎡あたり1円にも満たない額の補償が全てとはいくらなんでも不公平すぎます。
住民の立ち退き・移転に関する補償の在り方や、安全な飲料水の確保を含めた住環境の整備について早急に対応するよう求めるとともに、第三者による評価や検証を行う必要性も主張しました。
今朝の外務委員会にて
写真上:ティラワ経済開発区の立ち退き問題について現状をお話に来られた方々から「ビルマの竪琴」を頂きました。