ザ・名も無きランナー

50才から始めたマラソン。こころと身体が一つになって燃焼している感じが好きです。楽しんで走っていきたいと思っています。

ランニングフォームについてⅣ

2010年05月27日 | 参考資料
 これまでのランニングフォームに関する解説の内容をぼんやりと頭に入れておき、走るという動作について、立つ→その場で足踏み→歩行→駆け足→ペース走、を実際に行いながら、走るという動作について自分なりに考えてみる。

 ■その場に立ってみる
 両足に体重が乗っていて、身体の揺れに応じて微妙に重心が前後左右に動いているのを感じる。おそらく重心は左右に開いた足の間の上のどこかにあるのだろう。

 ■その場で足踏みをしてみる
 もも上げと同時に片足が地面を離れ、残りの片足に全体重が乗っているのを感じる。足踏みを繰り返していると、全体重が左右の足裏を行ったり来たりする。左右の足の離れ具合の小さい方が重心の左右移動も小さいからカラダのブレも小さいだろう。一本線上を走る意識が大切なことが頷ける。

 足踏みに合わせて自然に左右の手が前後に振れる。右足が上がる時は右手が後ろに下がる。手足が前後逆に振ることで、重心の前後の動揺を小さくするように釣り合いをとっていることが分かる。

 手の動きを意識的に止めても、勿論もも上げは可能だが、自然にももの上がりが小さくなる。手の動きを加えると、もも上げの動きが大きくなる。つまり手の振りが足の動きを安定させダイナミックにさせているのがわかる。

 着地は拇指球あたりから始まり、ついですぐにアーチ全体で体重を支えている。足底のアーチが着地衝撃を緩和させているのが理解できる。
 
 ■足を踏み出し歩いてみる
 足を踏み出すということは、拇指球のあたりに力を加えることである。それはまた体重をアーチのあたりから足趾の方に移すことであり、その結果重心を前方に移動させる動作であるようだ。私の意識としては前傾姿勢が先に来るよりも、足の地面を押し出す動作から歩行の第一歩が開始されるように思う。

 手は自然に振られるが、手の動きを止めても歩くことは出来るから、歩きは本質的に足の動作の結果であり、決して手の振りの結果ではない。しかし手の振りはカラダのバランス取りとリズム形成に重要な役割を果たしていることが体感できる。

 着地部位はアーチ後部の踵に近いところであるが、すぐにアーチ全体で体重を支え、そのまま体重が足趾の付け根の方に移動し、そのあたりで地面を後方斜め下に押しながら、足趾を最後に地面を離れる。

 片足に全体重が乗る瞬間があるのだから重心はその上にあると考えられる。左右の足の間隔が狭い方が、重心の移動つまりカラダの左右の動揺は明らかに少ない。しかし歩行時に一本線上を歩くように意識して歩く人は、モデルさんを除いていないだろう。歩く時は左右の足の間隔が多少開いていても問題ないし、それがふつうだ。

 カラダは前傾しているのかもしれないが、実際にはその意識はない。歩行に関しては意識的にカラダを前傾させる必要はないように思われる。むしろ足底で全体重を支えで移動させることと足底の前部で地面に力を加えて押し出すことが歩行にとって重要に思われる。

 ■駆け足をしてみる
 歩行とは違って、足底前部での地面を押し出す力が強くなる。足の趾のスナップを利かせることの重要性が理解できる。推進力がここから生じるのを実感できる。

 一瞬カラダが空中に浮く時間がある。空中から落下してくるカラダの体重を受け止めて支えるのだから、足への重力負荷が歩行よりも大きいことは明らかだ。足首や膝の関節、足底のアーチへの負担が意識されるので、着地の姿勢、仕方が重要なのだろうと思う。またカラダの各部への過剰な負担をかけないようにするためには重心の上下動は少ない方が良いだろう。

 カラダは自然に前傾する。脊柱を支えるために背筋が緊張するのが分かる。試しに反り返って走ってみると、重心を前に移そうとするのか腰を浮かせて突き出しつま先立ちで走る格好になる。腹筋と太腿の前部の筋が緊張している。スピードを上げて走り続けることはとてもできない。したがって正しく走るということは、重心を前上方に保ち続けることであり、そのためにはカラダの前傾を維持することが必要であり、さらにそのためにはカラダの前方に移った重心を後方の脊柱で釣り上げるようにして支えることが要求される。つまり背筋が重要なのだ。

 自然に肘を曲げて腕をリズミカルに振る動作が加わる。試しに手を振らないで走ってみると、いかにも不安定な走りになる。腕を振る方がはるかにバランスが良くリズムが安定する。

 ■ペース走をしてみる
 実際に1人で走ってみるとこれまで考えもしなかった自分の走り方の癖に気づかされる。気づくと言ってもこのやり方はあくまでも主観的なものだから、他人にはもっと色々な癖や問題点が見えているのだろう。走り始めてスタミナのあるうちは各部位に注意を向けてフォームの修正を試みることができるのだが、バテてくるとそんな余裕は全くなくなりフォームは徐々に統制を離れていってしまう。また気持ちよく走っていると、ついついボーッと何も考えずに恍惚の状態に陥っていることがある。でもそんな時はきっと自分にとって一番無理なく走っている時なのだろうと思う。そんな限られた条件の中で、走っている時の自分のランニングフォームを点検してみた。

 まずカラダを前に駆動させていく足の運びであるが、腕の振りに合わせて左右交互にリズミカルに動かし、着地は踵の前部から始まって、カラダの真下に来た時に土踏まずのアーチ全体で体重を受け、最後は足趾の付け根、基節骨の面あたりで地面を後方斜め下に押し出すようにして離れていく。ただ左右差があり、右は拇指球あたり左は拇指球から第4趾の付け根にかけての面で押しているのが分かった。膝は常に伸びきらずに軽く曲がっており、これが着地衝撃を緩衝するクッションの役目を果たしているのだと思う。左右の足が一本の直線上を進むというわけにはいかず、せいぜい幅10cm程度の帯状のライン上をほぼ前に平行な足並みとして進んでいくという有様である。自覚的にはカラダの左右へのブレはあまり感じないし、飛び跳ねることもなく走っているつもりなのだが、他人から見ればどうだか分からない。私は筋力が乏しいので、無理に腰を回転させストライドを伸ばして一直線上を走ろうとは思わないし、出来るだけ地を這うような走りで膝や足首に加重負荷をかけない走り方に徹したいと思う。

 足の運びと連動して動く上肢については、肩胛骨を意識して走ることは私には到底難しかった。現実には、こぶしを軽く握り、脇を引き締めるようにカラダに近い部分で肘を振っており、前腕尺側が意識されていて、こぶしがカラダを軸にして回って斜め前にくるように動いている。こぶしは常にカラダの前で動いており、後ろに行くことはない。確かに肘頭に意識を持っていくと腕の振りがより進行方向に平行になり、カラダが若干起きて胸郭が広がってくる気がする。その方が足の推進力に協調的に働くだろうし、呼吸スペースも拡大するように思われる。今のやり方ではエネルギーロスと呼吸上のデメリットがあるかもしれない。

 スタミナのあるうちはまだ体幹はしっかりしており、丹田を意識することで重心を前に高く持っていくことが出来ている気がする。しかし疲れてくると背筋が痛くなり、前屈みとなり重心を前に高く持っていくことが難しくなる。せいぜい腰が折れないように意識するだけで精一杯となる。やはり背筋の強化が必要だ。

 頭の位置は正しい頸椎の並びに添うのが一番楽な気がする。リラックスした状態で首にチョット力を入れると頸椎がクッと正しく整列する感じになる。これを保持するのが一番安定している気がする。この状態で走っていると視線は丁度数m先の地面に落ちている。状況に応じて周囲に注意を払うのは言うまでもない。先に飛び跳ねることもなく走っているつもりと書いたが、多少の上下動はあるようだ。視野が散乱することはないが、軽いサングラスをかけるとこれがピョンピョン鼻の上で跳ねるのだ。ただしふつうの眼鏡なら問題は無い。

 出来れば自分のランニングフォームを動画にとって専門家にチェックしてもらえると良いのだが、カラダに染みこみ覚えてしまった悪い癖の修正はなかなか難しいような気もする。結局は自分にとって一番楽な走り方に戻っていくのかもしれないが、気がついたら微調整を心掛けるとしよう。

ランニングフォームについてⅢ

2010年05月27日 | 参考資料
 今回はWEBで見かけた気になる参考記事を簡単に整理しておく。

<6> ヤマシン理論の「中間疾走におけるランニングフォーム考察」のポイント。(言いたい法大:http://yamashin.client.jp/theory-of-yamashin.html)  

 氏のイーブンペース理論(最初から最後まで一定のペースで走りきるのが最もエネルギー効率の良い走り方である)は、私の考えと一致するので、この記事はとても興味深いものであった。ただし、その根拠をレース途中でのペースの上げ下げが無駄な乳酸を生じさせるからとしているが、私のはレース途中でのペースの上げ下げが無駄にブドウ糖を消費させてしまうことを根拠としており、そこが見解の相違点である。

 氏によれば、理想的なランニングフォームとは、等速直線運動を維持するために上半身のブレや接地でのブレーキロスを出来るだけ排除した走り方であり、運動エネルギーと位置エネルギーを無駄なく等速直線運動に転換する走り方だという。これは概ね正しいと考えるが、ランニングにおける位置エネルギーが推進力として大きな役割を果たしているのかどうかは疑問だ。確かに傾斜のあるコースの下りではプラスに作用し登りではマイナスに作用するだろうが、平坦な道ではむしろ垂直方向の力が重力負荷として膝や足首に負担をかけてしまうのではないかと、私は考える。だから出来るだけ位置エネルギーの生じないような走り方こそが重要なのではないだろうか。

 氏がランニングの推進力として特に重視するのは、重心を捉えてそれをそれを的確に地面に伝えることである。真っ直ぐ立って少し顎を引いて頭を下げ、腰を折らないように気をつけながら上半身を少し前に倒す、これを骨盤の前傾という。この時に地面に対して最も力の入る足の裏の部位が重心の真下であるという。この部位で地面を蹴ることが出来ればエネルギーを無駄なく推進力に転換することができるだろう。走っている最中は地面を押すベクトル方向は後方斜め下方になるが、実際には足を真下にストンとおろし、足の回転運動をスムーズに行う意識で十分であるという。そして「接地と重心と骨盤を意識すれば自然と効率の良い走りができる」というので、練習時に意識してみたいと思う。

<7> 宇佐見彰朗氏のアトミクラブHPへの特別寄稿、ランニング学研究より一部抜粋。(http://www.amy.hi-ho.ne.jp/atomi/toku_kiko/usami_2.html)

 ①「踵からの接地」が踵最後部からの接地と思われがちだが、それは歩行動作での接地法であって、走動作では踵部分の前側と捉えた方が良い。むしろ接地開始部位は土踏まずと指示した方が効果的だ。土踏まずからの円滑な接地によって着地時の衝撃緩和がもたらされる。実感としてよく分かる。

 ②走る時に足の趾が「スナップ動作」の役割を果たせればスピードコントロールや衝撃緩和に有効である。そのためには足底での重心移動、足が地面を離れる時の個々の趾先の感じを感じ取れるようにすることだと言う。なんとなく分かる。

 ③ヒトが移動を開始する時には、進行方向へ支持足の足底部を基点としてカラダ内で重心移動が開始し、移動方向へカラダが傾き始める。完全に片足で全身が支持された時に、反対側の足が地面を離れて前方に運ばれ、その後に着地する。したがって重心移動、前傾姿勢が重要であることを説く。私の実感としては、歩き始めでも走り始めでも第一歩は前傾姿勢よりも足の裏で地面を後方に押す動作から始まるように思える。いざ走り始めてしまった後は、動作の継続という点で前傾姿勢が自然に維持されるのではないかと思う。
 
 ④前傾姿勢の維持には腹筋力と背筋力のバランス、足底の接地の仕方、重心のあり方、肘振りの仕方が重要である。それらを複合的に共同させるために、へそを前上方向(角度45度)へ引き上げることを意識するのがポイントである指摘。前傾姿勢の維持とは脊柱を一定の傾斜に維持することだから、脊柱周囲の筋群の強化が重要なのではないかと私は思う。腹筋と言うよりむしろ背筋の方が重要なのではないだろうか。意識としては重心を前上方に引き上げる感覚が大事なことは頷ける。

 ⑤氏が重視しているのは肘振りである。走るリズムは腕を振ることによって得られる。この動作は従来腕振りと表現されてきたために、手首だけを振ったり肩も一緒に振るなど腕全体に無駄な緊張が加わり、カラダのバランスやスピードコントロールに悪影響が生じている場合がある。そこで肘の先端を意識して振ることにより、手首や肩の無駄な緊張が省かれ、長時間シャープに一定の振幅で肘振りが出来るようになる。これは非常に有益な示唆である。肘を意識することで胸郭が広がり呼吸にも良い影響が出るのを実感できる。

 ⑥一本の線上を走るようにすると、上半身の揺れが少なくなり安定度が増してくる。一本の線上に足元をしっかり踏み込み続けながら走るように意識する。これを実行するには腰を回転させストライドを大きくする動作が必要であり、相当の筋力、走力がなければ実際には行えないと思う。実力がついてくれば自然にそういった傾向になっていくのではないだろうか。今の私にはそこまでは出来ない。

 ここまで具体的に教示してくれるヒトは身近にいないので、この記事はとても参考になった。実際のランナーや指導者の体験と自分の拙い体験とを比較しながら、自分のフォームを効率よいものに修正していく努力が必要だと思う。