ザ・名も無きランナー

50才から始めたマラソン。こころと身体が一つになって燃焼している感じが好きです。楽しんで走っていきたいと思っています。

ランニングフォームについてⅡ

2010年05月25日 | 参考資料

<3> 内山雅博氏はかなりシンプルだ。仲間同士でのデジカメ動画によるフォームチェックと修正を勧めている。


 ①腰が落ちている場合:着地時に腰が足よりも後方に下がっている。骨盤はなく足だけを動かして走っている状態。

(原因)腹筋や背筋などカラダの軸となる筋力が不足し、骨盤を動かせていない。または上半身の動きが弱く、下半身が連動して動かない。

(デメリット)歩幅が大きく広がらず、スピードが出せない。また着地時に膝や腰への負担が大きく疲れやすい。故障にもつながる。

(予防運動)腰の周りをほぐす。前後の開脚をスムーズにする。膝の伸びをよくする。

 ②腕が振れていない:カラダの前でばかり腕を振り、後ろまで引けていない状態。

(原因)姿勢が悪く背筋がまっすぐになっていないと肘を大きく後ろに引けない。背中や肩甲骨周りの筋力も弱い。

(デメリット)本来上半身と連動して動くはずの下半身が動かず、歩幅も小さくなる。足だけで走る状態。

(予防運動)上半身と下半身の連動を高める。肘を後ろに引く感覚を確認。

 ③前傾している:カラダの軸が前に傾きすぎてる状態。

(原因)カラダの軸をまっすぐに保つことを意識できていない。スピードを上げようとするあまり、上体ばなり前へ倒してしまう。

(デメリット)足腰への負担が大きく、故障につながる。地面をキックする後ろ足の膝を伸ばしきれず、カラダをスムーズに前に運べない。

(予防運動)胸を開き背筋を伸ばす。背筋を伸ばす感覚を覚える。

 ④反り返っている:背筋が反り返っていて、足に上体がついて行けていない。がむしゃらに走っている時に現れやすい。

(原因)足を前に出そうとするあまり、上体がついていけず反り返ってしまう。カカトからの滑らかな着地が出来ず、キックに力が入らない。

(デメリット)着地からキックまでの足の動きが正確にできない。肩や背中に力が入り無駄な疲れが出てしまう。

(予防運動)足をより前に出す練習。

 次にスピードを速くするためにはストライドを広げることが必要とし、決め手はキックであるという。

 ⑤キック時は、膝をまっすぐに伸ばして真下にキック。このときのキックする力が大きいほどストラドは広がる。肘をしっかり後ろへ引くことで、腰の切れも良くなり歩幅がスムーズに広がる。着地時には、足首をリラックスさせてスムーズな着地を作る。

<4> 小出義雄氏のQ&Aによる解説はさらにシンプルとなる。


 「人間のカラダは一人一人みな違っている。一つの理想的なフォームで走ろうとするのは無理がある。自分にとっての理想的なフォームは走り込んで行くことで自然に出来る。しかし故障につながりやすいフォームは修正した方が良い」と言い、以下のポイントを挙げている。

 ①背筋を伸ばす:背中が丸まっていると深い呼吸が出来ない。姿勢を良くして腰を高く保つ。

 ②あごを引く:あごを出すと呼吸は楽だが、重心が後ろになってスピードを出しにくい。

 ③上体はまっすぐに:左右どちらかに曲がっていると故障の原因になる。

 ④腕は前後に振る:横振りになっている人はなるべく前後に振る。リズムを大切に。

 ⑤着地はカカトから:つま先から着地すると、足のアーチをクッションとして利用できず、足首の関節で衝撃を吸収するのでアキレス腱やふくらはぎの筋肉に負担がかかるので、滑らかにカカトから着地しよう。しかしカカト着地を意識しすぎるとブレーキがかかってしまう。

 ⑥一直線上を走る:腰のひねりをきかせて走るとそうなる。腰の回転によってストライドが広がるが、上体まで回ってしまうとカラダが左右に揺れたロスの多い走りになる。だから力強い腕振りが必要となる。ジョギングを楽しむ場合は意識しなくて良い。

 ⑦楽に走れる歩幅:もっとも楽に走れるストライドがその人の理想のストライド。長く走り続けるためには無理のないストライドを保ち続けることが大切。ストライドを広げるためには、腰を高く保つこと、強いキックが必要になり、着地衝撃も大きくなるので、それに耐えるだけの筋力が必要となる。

 ⑧少し先を見て走る:目線をどうするかは特に神経質になる必要はない。ただ足元を見て走ると上体が前屈みになり、肺が圧迫されて深い呼吸が出来なくなる。逆に反り返ってしまうと体重が後ろに残ってロスの多い走りになる。5~10m先の路面を見て走るのが基本。

 とりあえず自分の走りやすいフォームで走ってみて、無理があったら修正すると言うのが小出流か。

<5> 最後にリディアード氏の本から、腰高を勧める一節を紹介。


 「腰を前に運ぶことを忘れてはいけない。…腰を前にスムーズに運ぶには、まずは頭を上げまっすぐ前方を見つめることだ。頭がうなだれていると腰が後ろに引け、膝は高く上がらない…。へっぴり腰のまま上体を前傾させ…この姿勢ではストライドは伸びず速く走れない。…腰の位置を少し前に移すだけで…ストライドを伸ばしより速いペースをキープできる。」

 


ランニングフォームについてⅠ

2010年05月25日 | 参考資料

 レースで無事に速く帰ってくるためには、パワーを無駄なくロス無く推進力に向け多走り方が必要となる。それに寄与するためのランニングフォームについて考えてみたい。

<1> 金哲彦氏の最近の考え方は体幹重視であり、その肝は丹田にある。


 ①体幹を胴体の中心を通る1本の柱と考え、体幹を中心に胴体を左右に回して走ると、前後左右にカラダがブレることなく前進できる。

 ②丹田とはへそから5cmほどの部位で、ここに重心を置くことでカラダのバランスがとれ安定した状態を保つことができる。

 ③リズミカルに肩甲骨を引くことで骨盤が回旋し、骨盤が回旋すると足が勝手に前に出る。走るためのエネルギーは肩甲骨から生まれる。

 ④骨盤を回旋させると同時に骨盤を前傾させる。そうすれば胴体がしっかり安定して楽に走ることができる。

 以上の丹田・肩甲骨・骨盤に意識を集中してフォームを崩さないことが長距離を走る秘訣である。その他の注意点としては以下の通り。

 ⑤顔:目線はまっすぐ前に向ける。

 ⑥腕振り:肩甲骨が動くから腕が振られるという感覚。肘はカラダより前にでない。

 ⑦着地:まっすぐに足を下ろして着地し、しっかり足全体で全体重を支える。

 なんらかの理論的裏付けがあるのだろうが、丹田はともかく肩甲骨を意識するのは実際にはかなり難しい。説明の単純化が理解の難易度を上げている気がする。

<2> 川越学氏も体幹重視だが、各部位の説明はより具体的だ。


 ①腕振り:肘を直角くらいに曲げ、そのまま肘を後ろに引いて戻す感覚で前後に振る。脇が開かないようにする。腕がきちんと振れていれば足も自然と前に出る。

 ②着地:必ずカカトから地面に着け、足をカラダの真下に着地させる。着地後スムーズにつま先へと体重を移動させる。最後に足先をしっかり進行方向に向け、拇指球から自然に体重を抜いていくように地面を蹴り出す。

 ③腰の位置:腰を同じ位置に保つことを意識して、腰高のフォームを作る。歩幅を広くするためには腰を高い位置に保ち、足をより強く蹴り出さねばならない。

 ④目線:まっすぐ前を見る。

 ⑤走線:左右の足が両側に開かず、常にカラダの中央付近に着地し、ほぼ一直線上を走るようにする。右足を振り出すときには腰の右側が前に出て、左足を振り出すときには腰の左側が前に出るように。

 正しいフォームをカラダに覚え込ませるまではなるべくゆっくり走ったほうが良いという。悪いフォームの例として以下のことが対策とともに挙げられている。

 ⑦肩が上がっていると、余計な力のために疲れやすく、腕振りもうまくいかないのでスピードが出ない→肩をリラックスさせ、腕をカラダの横にまっすぐに下ろし、肘を軽く曲げる。

 ⑧腰が落ちていると、足の筋肉、膝、腰に負担をかけ、ストライドが広がらず推進力が得られなくなる→背筋をまっすぐに伸ばし、腰を高い位置に保つように意識する。

 ⑨あごが上がると、カラダのバランスが崩れ腕振りがスムーズに出来ず、推進力が得られなくなる→まっすぐ前を見ることによって自然に正しい位置に来るようにする。

 ⑩カラダが前に傾いていると、着地や踏み出しが後方で行われるので、十分なストライドが確保できず、また重心が前に来ているので、つま先からの着地となり足への負担が増える→背筋を伸ばし姿勢をまっすぐにし、目線は前に向ける。

 ⑪カラダが後ろに反っていると、重心も後ろに移動し、推進力が後方に逃げるのでスピードが落ち、呼吸もしづらくなる→カラダの軸を意識してまっすぐ立ってからウォーキングから再開する。

 ⑫左右のバランスが悪いと、どちらか一方の足への負担が大きくなって故障につながる→カラダの軸を意識し、頭の位置を一点に保つように意識する。

 ⑬腕振りのバランスが悪いと、上半身の力が下半身にうまく伝わらず、推進力が失われスピードが出ないし、無駄にスタミナをロスしてしまう→腕に疲労を感じたら、肘を後ろに引くようにして、前後にリズミカルに腕を振って修正する。

 自分のフォームが良いのか悪いのかは自分だけではなかなか分からない。コーチや仲間がいれば指摘してもらえるが、せいぜい街中のショーウィンドウに写った自分の姿で推測する他はない。最近は家族に携帯電話のムービーで撮ってもらう方法も利用できるかな。