下手の横好き日記

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篠田真由美『翡翠の城』

2007-07-07 19:59:39 | 
建築探偵シリーズの第3弾です。

神代教授が帰国し、京介の修士論文も進み始める。
そんな中、『未明の家』の関係者から日光の建築物についての情報が持ち込まれる。
依頼の建物は老舗ホテルの所有する別邸で、京介の論文のテーマにも関係があるらしい。
京介たちは調査に向かうが、待っていたのは欲望と権力と謎に縛られた巨椋一族だった・・・
京介は、異様な建物「碧水閣」にまつわる謎を解き明かすことができるのか!?

今作は『未明の家』同様に「建物」が主役となっていて、
その分「事件」の方は、ちょっと小粒というより些細なことになってます(^^;
何だか、殺された人の影の薄さが気の毒になってくる位に・・・
『未明の家』の明音と娘たちもかなり強いキャラでしたが、
今回の巨椋(おぐら)家の女性たちもかなりの個性派たちです。
その存在感が大きすぎて、事件が思わず霞んでしまうわけで。

だから正直、事件の犯人は?というのも「どうでもいい」ことになってきて、
とにかく、巨椋家の内紛はどう決着が付くのか、とか、
「碧水閣」の謎や当主・真理亜を苦しめる積年の思いは晴れるのか、という興味が主でした。
これはそういうミステリです。まさしく、建物のミステリ。

京介の「憑き物落とし」風、建物と人の心の解明が見事でした。
彼のおかげで、無事に「碧水館」を覆っていた黒雲は晴らされたのですが、
最後の蒼のフォローが心にしみましたね。あれで真理亜は救われたのですよね。

さて、今回は作中に主人公チームの事情の一部がパラパラと登場していました。
蒼って・・・やっぱり・・・たぶん・・・・なんだろうな。
しかし来春からは高校に行くと言っている蒼。彼の成長も気になりますね~。