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書籍 『アメリカの論理』 吉崎達彦(著)

2007年10月01日 | Book
政治アナリスト・吉崎達彦さんの『アメリカの論理』を読みました。出版は2003年4月。つまりブッシュ政権誕生からイラク戦争開戦直前までの、アメリカ外交の動きをリポートしています。

この本の特色は、アメリカの共和党・保守層・ネオ保守などの思想を簡単に説明し、それぞれの違いを指摘しながら、ブッシュ政治について論評を加えているところです。「保守」「タカ派」と言ってもいくつかのグループに分かれることが指摘されています。アメリカ政治に疎い私には、その区分けに注意が行きました。

著者の指摘では、アメリカ保守は大きく分けても、「親ビジネス派」(ハト派で富裕層より)、「新保守主義」(タカ派で富裕層寄り)、「大きな政府派」(ハト派で貧困層寄り)、「草の根保守」(タカ派で貧困層寄り)などのグループがあるとのこと。例えばイラク開戦まで最後まで外交による他国との協調を目指したパウエルは「大きな政府派」に入るのに対し、チェイニー副大統領は「新保守主義」に、そしてブッシュ現大統領は「草の根保守」に含まれるとのこと。

日本のメディアを通じてアメリカ政治に分かったような気になっていると、貧困層寄りの政治を行うのは民主党というイメージがありますが、とりわけ南部の経済的下層の民衆の支持を集めているのが「草の根保守」です。

この本では政治シンクタンクがアメリカ政治で果たす役割の大きさも指摘されていますが、そのような知的エリート集団が保守思想をもつ場合は「親ビジネス派」「新保守主義」に入るようです。しかし、現実に共和党が民衆からの支持を集めるのは、大衆的にアピールする「草の根保守」の思想だということです。

その「草の根保守」思想の詳細は述べられていませんが、おそらくそれは、カリスマ的なリーダーシップをもち、「強いアメリカ」「自己責任」というシンプルなスローガンを掲げるものなのでしょう。銃規制への反対・妊娠中絶反対などの思想も含まれるのかもしれません。

この「草の根保守」は、心情的に大衆へのアピールを重視するのですが、現実の政策として貧困者への救済を強く打ち出すことはないようです。それよりも、「自己責任」というメッセージで自助努力を促し、大衆の中から生まれる自発的な助け合いを望んでいるのではないでしょうか。

その点では、ブッシュ大統領が小泉前首相とウマがあったのもよく分かります。どちらも大衆受けがよかったのですが、それは現実的な大衆援助の措置を考えることではなく、「強さ」をアピールすることで心情的な支持を集め、それによって政治を動かすのです。

アメリカは9.11テロによって、日本は長期的な不況によって混乱に陥っていた時代でした。そうした時代には、地道に具体策を考える「政策」よりも、「政治」の方がより人々にアピールした時代だったのではないでしょうか。


参考:吉崎達彦さんのHP 『溜池通信』

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