
昨日(1月28日火曜日)のテレビ朝日「報道ステーション」のスポーツ・コーナーには、唖然として、暫くの間、部屋の中で独り固まっていた。
いやあ、衝撃的な映像の乱れ撃ちだった。
92歳になるトライアスリート稲田弘さんの特集である。
番組冒頭、インタビュアーの松岡修造氏と腕立て伏せしていたのが、92歳のトライアスリート稲田弘さんという男性だったのだが、その人物についてはそのときテレビで初めて知った。
世界最高齢の現役トライアスロン選手にして、世界最高齢のアイアンマン世界選手権完走者のギネス世界記録を持つ「鉄人」であると紹介される。
ええーーー! 92歳? 噓でしょ!?

この92歳になる鉄人(いやいや、番組を観ているうち、この方は【鉄人】というよりも、そのライフスタイル等を知ると、まさに【哲人】なのではないかとさえ思ってしまう)、早朝4時半に起きて、そのまま自宅を出て、千葉市にあるトライアスロンクラブのプールで、水だけ飲んで朝食抜きのまま約1時間半かけ3500mを泳ぎ切るのだとか。
「報道ステーション」を観てから、色々とネットでこの【哲人】のことを検索してたら、いやいや凄いわ凄いわ、様々な「マジか!?」を思わず連発してしまう。

クラブのプールで3500mを泳ぎ切ると、今度は自宅に戻って朝食を済ませ、バイクの練習へと移ってゆく。
自主練の日は、朝8時にランニング10km。夕方5時からスポーツジムのプールで2000mのスイミング、土曜日は本番のレースと同じ順番で、スイム、バイクにランニング、もちろん日曜も休まずにバイクとランを必ず行うのだとか。

アイアンマンレースはトライアスロン競技の最高峰である。
スイム3.8km、バイク180km、そして42.2kmのランニング!
総距離にして226kmを16〜17時間の制限時間内に走破しなければならないのだ。殺人的な難易度だ。
そして、さらに驚いたのが、稲田弘さんがトライアスロンを始めた歳は、70歳!
79歳から9年連続でアイアンマンレース世界選手権に出場し、80歳と83歳、85歳のときには世界チャンピオンに輝いたのである。ギネス世界記録「アイアンマン世界選手権の世界最高齢完走記録」をも更新してしまったのだ。

ここまで肉体を酷使しているにも関わらず、ベスト体重を保ち、食べるものはすべて美味しく、血圧も正常値。まったく老眼鏡不要なのでそのまま新聞を読み込み、正常な聴覚を保つため、いつもテレビの音量は低めに設定しているという。

こういう凄まじい人間を目の当たりにしてしまうと、いったい自分のやっていることは何だったんだと、絶望的な気分に陥ってしまう。
最近、気力が落ちて来たとか、モチベーションが歳とともに下がっているとか、恥ずかしくて言えなくなってしまった自分がいる。
ようは、気持ちの持ちようですべては変るのだ。
志を持ち、肝を据え、困難が降りかかってきたとしても、なんとか笑ってきた人間だけが生き残る・・・。
そんな使い古した言葉を発することさえ恥ずかしくなるくらい、こういう【哲人】がこの日本には居るのである。