たくろう、吉田拓郎のアルバムを初めて聴いたのは高校生の時だった。
アルバム「元気です。」を、同じ高校生だったガールフレンドの家の部屋で聴いたのだ。もちろんそれまでも何曲かをラジオで聴いてはいたけれど、吉田拓郎のアルバムを通して聴いたのはそのガールフレンドの家の部屋が初めてだった。
そして最初にたくろうのコンサートに行ったのが、当時の「青森市市民文化会館」で、また別の高校生のガールフレンドと一緒に観に行った。
ちょうどアルバム「伽草子」がリリースする直前のライブだったと思う。
その頃の吉田拓郎はとにかくカッコよかった。心から憧れた。
そして高校を卒業して、憧れの東京生活が始まった。
たくろうのアルバム「今はまだ人生を語らず」の一曲目に入っていた「ペニーレインでバーボン」がこれまた素晴らしい楽曲で、何度も何度も繰り返して聴いていた覚えがある。
実際、原宿の表参道を少し入った場所にあった「ペニーレイン」に、当時つき合っていた女子大生の女の子を連れて行って、バーボンをしこたま飲んだ記憶もある。
馬鹿だったねー。ミーハーでした。
吉田拓郎に関しては、そんな色んな思い出がたくさん詰まっている。
そのたくろうが、最後のアルバムを発表した。
「色々あった・・でも・・いつも心に決めて来た事・・一人になっても構わないから先に行く・・それが僕の音楽人生!いよいよだな」なんて、粋なコメントまで出して52年間のミュージシャン人生にサヨナラするのだとか。
全曲通して聴いて、「元気です。」や「伽草子」や「人間なんて」や「今はまだ人生は語らず」のような傑作アルバムには確かに及ばない。
でも、いいじゃないか。70歳を過ぎた吉田拓郎が最後の力を振り絞って書き上げた渾身の9曲である。真剣に聴き続けよう。
特に、アルバム7曲目の「雪さよなら」が素晴らしい。
ファースト・アルバム「青春の詩」の「雪」に新たな歌詞を加え、タイトルも「雪さよなら」として新録された楽曲だ。
涙なしには聴くことなんて出来ない。
それから4曲目の「アウトロ」もいい。
吉田拓郎は達観している。悟っている。穏やかにさえみえる。
ああ、面白かった・・・そんな名言、俺には絶対吐けないよ。
吉田拓郎最後のアルバムかぁ・・・。
そうなんだ。翻っておいらだって、もうそろそろ準備しないとな。
すべてを整理して身軽に整え、最後のコースを悔いなく走ることを・・・。