おかんのネタ帳

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江北図書館

2015-12-03 13:37:57 | 湖国日記
この秋、「読書」について記事を書いたんですけど、
県内の読書会の歴史、図書館の歴史を調べていて見つけたのが、
木之本にある、「江北(こほく)図書館」でした。



滋賀で最古の私立図書館。
余呉町出身の弁護士、杉野文彌氏が郷里の青少年に勉学の場をと、
明治35年、私財を投じて、3000冊の蔵書で杉野文庫を設立したのが始まり。

田舎では借り手も少ないと、その後、郡役場のある木之本に移転、
杉野氏が一万円を寄付し、寄贈された図書などもあって、明治39年、
財団法人江北図書館として開館しました。



現在の建物は、昭和50年に伊香農協の建物を移築したもの。
老朽してあちこち雨漏りもしているそうです。
でも、修理する資金がないようで・・・



杉野文庫が誕生した頃は、全国に図書館はわずか67館。
江北図書館が開館した頃は、127館。
明治後期から図書館は増えて、大正期には、県内にも19館の図書館ができ、
その数は、東京と並んで全国5位だったそうです。

しかし、世界恐慌や太平洋戦争で図書館を維持できなくなり、多くは姿を消します。
戦後、県内で残ったのは、公立が県立図書館と、彦根と水口、私立は近江兄弟社と、
この江北図書館の5館だけで、全国でも下から2番目になってしまいました。

こんな中でも、江北図書館は存続してきました。
杉野氏の「郷土の青少年に本を」という気持ちを継いで、
旧伊香郡の市町村など、地域の人々が守ってきたようです。



ここにしかない、和洋書や郡役所の資料、古地図などがあるそうです。
雨漏りしたりするので、貴重なものは滋賀大に預かってもらっているとか。



運営は寄付金など。図書館前の駐車場も貸しているようです。
市町合併で、公的な補助金もなくなり、本当に存続が危ぶまれています。

100年もの長きにわたって、地域の文化啓発に貢献したからと、
サントリー文化財団から、2013年に、地域文化賞をもらったそうです。



公立図書館が充実し、県内各市町に公立図書館がある滋賀県。
公立図書館の県民一人当たりの貸し出し冊数は日本一(平成25年度)です。

私立図書館は全国でも20館程度しか残っていないようで、
多くが大企業や宗教団体を母体とする図書館です。
1地域の人々が守ってきたところは、江北図書館しかないとか。



とはいうものの、スタッフの確保もままならないので、
子どもたちへの読み聞かせなど、おはなし会もなかなか開催できないとか。
ネットの情報を見て、大阪とか県外から訪れる人もいるそうで、

「頑張って、存続させてください」

みなさんに声を掛けられる、スタッフの方がそうおっしゃってました。

時代の荒波の中、100年以上にわたって地域て守られてきた私設図書館。
地域の文化を支えてきた、小さな図書館があることを、ぜひ、知って欲しいですね。




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