風の谷通信

専業農家からの引退を画策する高齢者。ままならぬ世相を嘆きながらも、政治評論や文化・芸術・民俗などに関心を持っている。

記録的暖冬と放射性廃棄物

2007-03-03 19:53:16 | 健康/生命

風の谷通信  さん農園便りNo.2-052

この冬は暖冬といわれて過ごしやすかったが、実は記録的な暖冬で、場所によっては夏のコメ作りへの影響が心配だという。

気象庁の発表によると、大雑把な取りまとめながら、昨年12月~今年2月の平均気温が全国153観測地点のうち75地点で観測史上最高であり、同2位が32地点、同3位が13地点であった。都市化の影響が少なくて長期的監視の拠点となっている地点(長野県など)の平均気温は平年値よりも1.52℃高かったという。

温暖化の原因として 1)北極が寒気を蓄積する時期であった 2)エルニーニョ現象 3)地球温暖化 の3点が指摘されている。 単なる「温暖化」だけではないらしい。

一方、この期間の雪は、当然のことながら、20地点で観測史上最低を記録した。

兵庫県内での平均気温は、神戸8.5℃、姫路6.7℃、豊岡5.6℃、洲本3.7℃、それぞれ各地点での観測史上1位または2位の高温である。 また豊岡の積雪は平年の6分の1以下。

積雪は田に力を与え、病害虫を殺し、夏の稲作用の水源となる。それが不足すると、もし梅雨の降雨が少ない場合に稲作が被害を受けるかもしれない。

先日の新聞記事で南極の棚氷が溶け去って、その後に新種の生物が増えていることが紹介された。これ程に母なる地球がひずんでいるのに、温暖化にも環境保全全般にも目をつぶって我を通す国がいくつかある。そのうちの大きな国は「一神教」の国である。偉大なる神がすべての世界を造った。最後に神自身に似せて人間を造り、我を崇めればそのお返しに守ってやる、と約束した。人間は、他の生物の上に君臨し他の生物を支配する。また、理由は知らないが人間と自然は対立関係にあり、人間は自然を征服する力を持つ。 その結果、人間は自分以外の世界を自由に支配して傲慢となり、ついには自らを危機に陥れるほどにまでなってしまった。 母なる地球「ガイア」の温暖化による危機はすべてこうした人間の傲慢のせいである。

きょうの読売新聞の解説記事によると、高レベル放射性廃棄物は、それが人の傍にあると人は約20秒で死ぬという。それほど危険なので、無害になるまで数万年に渡って地下に埋めて保存する。その地層は10万年間の隆起が300m以下の地層で、その場所の地下300mよりも深い場所に埋める、という。なぜそんな危険なカスを産むもの=本来は「ただ地下に眠るものをもの」を掘り出して利用するのか。人間の傲慢以外のなにものでもない。

こうした傲慢さがガイアの危機の原因であろう。地球温暖化や環境破壊と放射性物質の利用は全く別次元の問題のようでありながら、実は同じ原因から生まれたものである。 人間が高度に発達して砂漠の一神教になってしまった今、あらためて森の宗教に帰って、自然と一体化する思想が必要である・・・とは哲学者・梅原猛さんの所論である。森の宗教のクニ・日本までが「地下に眠るもの」を欲望のままに掘り出した挙句にそのカスの捨て場に困っている。勿論温暖化問題にも目をつぶって傲慢をかまし続けている。

どこかで一線を画して自然・環境・神に対して傲慢を捨てなければ、現代人は子孫に対して生きるにふさわしい世界を残せないかもしれない。 危険が身近に迫っていることを思うと、何かしなければならないと思い、どうにも気がせかされて仕方がない。  合掌