九州地方の地震がこれ以上拡大しませんように。。被害に遭われた方々へ、心よりお見舞い申し上げます。。
それにしても、私事というか、2週間ほど前だったか、小松左京の「日本沈没」がまた見たくなって、映画を本編とコメンタリー音声で繰り返し見て、小説版もダウンロードしてまた読み直したりしていたところでした。
小説は40数年前の刊行当時、最新の科学理論を引用しながら作られたようですが(竹内均氏はじめ当時一流の学者たちが協力、竹内氏は映画にも出演して、プレートテクトニクス理論の解説をしている)、それから40数年の間には、ずいぶん研究もすすんでいるのでしょうね。
小説で2、3気になったところがあります。
地球物理学者の田所博士が、船中で日本沈没の可能性について言及する会議のシーンで、「一つの地震によって放出されるエネルギーの最大値は、地殻の性質によってマグニチュード8.6-5x10の24乗エルグを越えることはない。」と言っています。
しかるに、まだ記憶に新しい東日本大震災において、気象庁は当初の発表を訂正してM9.0だと言っていたような記憶が。。
そう思って、ちょっとネットを調べてみたら、一言でマグニチュードといっても、いくつか計測方法がいくつかあるらしいですね。
気象庁のマグニチュードは、2003年以降計算方法を変更しているようです。東日本大震災のM9.0というのは、モーメントマグニチュードによる表示であり、気象庁マグニチュードでは8.4であるとされています。
震度という表示方法が、日本独自のもので国によって異なることは知っていましたが、マグニチュードも違うというのは、正直初めて知りました。
マグニチュードの表示が複数あることについて、気象庁ではその目的や性質などが異なるため、と説明しています。
話を最初に戻すと、東日本大震災の9.0という表示はモーメントマグニチュード(Mw)であり、気象庁マグニチュード(Mj)では8.4ですから、田所博士の言う8.6は越えていない、ということになります。ただ、マグニチュードは飽和する性質があり、一定の規模になると表示が頭打ちになるといいます。もともとエネルギー量の対数指標ですから、体感的に8.4だ、8.6だといわれてもぴんと来ないですけど。。
もうひとつ、田所博士の発言でこんなことがあります。
「日本列島全体は、毎年1センチメートル以上のスピードで、南東方へ移動するほどの圧力を、日本海側から受けている。(中略)日本列島の地下に、年間蓄えられるエネルギーは、これまでの所では、2.5x 10の23乗エルグを越えないと考えられてきた。これは、日本全体で、一年間に放出される地震のエネルギーに等しい。日本列島は、その中に蓄えられるエネルギーを、地震の形で放出することによってバランスを保っているのだ。」
小松左京氏の日本沈没論は、この日本海側からの圧力に対抗する、太平洋側からのマントル対流が急激に変化して減衰し、支えを失った日本列島が海溝側に沈んでしまう、というものです。この点は作者もフィクションとしてあえて設定した点らしく、実際には可能性があったとしても数百万年オーダーの話らしいのですが。ただ、今回の地震でも、内陸の土地が1メートル近く移動しているというから・・。
というわけで、ちょっと勉強させていただきました。
追記:「エルグ」は新しい計量法の施行により現在では「ジュール」と読み替えられているそうです(1 erg = 10−7 )以上もウィキペディアより。
僕はまあ、小説やウェブ上の記事を集めて上のように構成させていただいただけなので、ちょっとあれなのですが、お言葉をいただけるとうれしく思います。これからもよろしくお願いいたします。
地震のマグニュチュードのこと、わかりやすくて勉強になりました。