ある高校の野球部では左バッターの目の訓練用に、右から左に読んでいく文書を作って読ませたそうです。
普通の横書き文というのは左から右に書かれていますから、文章を読むときの目の使い方は右バッターに有利だと考え、左バッターには逆に右から左に読む文章を読ませれば効果があると考えたようです。
実際に左バッターに右から左に読む文章を読ませる訓練をしたところ、左バッターの打率は上がったそうです。
文字を読む時の目の使い方と、飛んでくるボールを目でとらえるときの目の使い方にどの程度共通点があるかわかりませんが、打率があがったということは逆向きに文字を読むことが、何らかの点で目の使い方の変化が効果をもたらしたのでしょう。
ところでアメリカの速読の訓練テクニックの一つとして、文字を逆に並べ文章を右から左に読む、逆読み訓練というのがあります。
これは個々の文字を左右反転させるのではなく、一行ごとの文字の並びを反転させて読ませるものです。
単語単位で文字を逆に配列するというのではなく、一行全体にわたって文字を逆配列にして、右から左に読ませるものです。
単語の中で文字の配列をランダムに入れ替えるのと違って、左右が反転するだけですから文字の並びは規則正しいわけで、比較的に楽に読めるのではないかと思いますが、実際は結構手間どるものです。
文字を逆に並べて逆方向から読むことがなぜ速読の訓練になるかというと、文字を左から右に一つづつ見て読むという習慣を断ち切るためです。
普通は文字列をあると、思わず左から右へと文字を見ていって、単語を把握して意味を把握しようとします。
文字が左から右に並んでいれば、長年の学習によって自動的に音読できてしまうので、これを妨げるために文字の配列を逆にして読ませるのです。
文字を見たとたんに自動的に音声化するのではなく、単語を文字の集まりとして目でとらえる練習の一つの方法なのです。
図は日本語の場合と英語の場合を挙げていますが、日本語の場合は右から左に書かれたものを読む経験があるので多少の戸惑いがあっても、比較的に楽に読めるはずです。
英語のほうは単語を分かち書きしているのに、かなり読みずらいのは右から左に文字を並べたものを見る経験がないからです。
またp、q、b、dなどお互いに左右反転したものがあったりするのも目を迷わせる原因になっています。
こうして見ると英語の綴りというものも単に文字を並べたに過ぎないというものではなく、凝集性の高いまとまりのある形のものだということに気がつきます。
したがって英語の単語でも音声に変換しなくても、形を見てその単語が何かを見て取れるものだということが分ります。
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