図Aと図Cを見比べると、水平の軸線はAのほうが短く見えます。
よく紹介されるミュラー.リヤー錯視と呼ばれるもので、実際には二つの軸線は同じ長さです。
同じ長さなのだということがわかっていても、見比べてみるとやはりA図の軸線のほうが短く見えます。
ほんとうに同じ長さなのかどうかは、物差しをあてがってみればわかるのですが、目で見ていては納得できないかもしれません。
B図はAとCをあわせた図形ですが、見方を変えると、A図とCzuha B図の中に埋め込まれています。
B図を何気なく見ているときは、このなかにA図やC図画埋め込まれているということに気がつかないかもしれませんが、注意をしてみれば気がつくはずです。
とくにA図のほうは中心に目を向ければ目に入るので気がつきやすくなっています。
C図のほうは左右両側に注意を向けなければならず、その際に余分の線も見えてしまうので、気がつきにくくなっています。
この場合aという6個の記号に注意を向けて見ると、A図とともにB図に埋め込まれたA図と同じ図形が見えます。
また外側のbという6個の記号に注意を向けて見ると、C図とともに、B図に埋め込まれたC図と同じ図形が見えます。
そうすると記号aをみたときは、B図の横の軸線はA図の軸線と同じ長さに見えたわけであり、記号bを見たときは、B図の軸線はC図の軸線と同じ長さに見えたわけです。
したがってA図の軸線と、C図の軸線は同じ長さであることを、気がつかないうちに実感していることになります。
それでは意識的にA図の軸線と、B図の軸線を比べてみればどうかというと、記号aに注意を向けたまま二つの軸線を見比べると、二本の軸線が同じ長さだと実感できます。
同じように記号bに注意を向けたまま、B図の軸線とC図の軸線とを見比べれば、二本の軸線は同じ長さだと実感できます。
つまり、意識的に見比べているのにA図の軸線とC図の軸線が同じ長さだということが確かめられいるのです。
B図のなかに埋め込まれているC図を見るには、記号bに注意を向け、aを無視することができればよいのですが、これが結構難しい課題です。
bは左右に離れているので、両サイドに注意を同時に向けるのは困難で、また内側のaはどうしても視野の中に入ってきますから、無視するのが困難です。
したがってある程度の視野の広さと、離れたところに注意を向ける能力が必要です。
視野を広げて全体的な見方のなかで図形を比較する能力が要求されるのです。
B図を見るとき、4つのbに注意を向けてみて、C図と同じ図形を見ることができたら、こんどはそのままaにも注意を向ければ、図Aが埋め込まれているのも見えてきますから、そうすると3本の軸線が見えて、それらが同じ長さに見えるようになります。
図Aと図Cを直接比べるときも、軸線のみに注意を向けずに、4つの記号bと4つの記号aに注意を向けて全体的な見方をすれば、二つの軸線は同じ長さに見えてきます。
幼児と高齢者がこの図の錯視量が多いというのは視野が狭く、全体的な見方が難しいという理由によるのではないかと考えられるのです。
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