図Bは図Aの外側の4つの円の外側部分を除いたもので、図Cのほうは逆に内側部分を除いたものです。
中心の円はAよりBのほうが大きく見え、CもBより小さく見え、Aと同じに見えます。
これは心理学者の盛永四郎が示したもので、中心円の大きさの見え方を決めるのは、中心円に近い図形要素ではなく、中心円から離れた部分であると説明しています。
AとCは大きな円の外側部分があるという点が共通で、その結果中心円がBの場合よりも小さく見えるので、中心円を小さく見せる原因が外側だとする説明は説得力があります。
通常はA図の下にある小さな円に囲まれた円を示し、大きな円に囲まれた中心円のほうが小さく見えるのは、囲んでいる円との対比効果によるという説明がされています。
盛永説は、対比効果を否定しているのですが、なぜ中心円から離れた部分の影響を受けているかは説明してはいません。
また、中心円に近接する図形が影響力があるのかどうかもわかりません。
実は、A図やC図を見るときと、B図を見るときとでは見ている範囲(注視の範囲)の広さが違います。
写真機の原理と同じで、狭い範囲を見ようとするときは、目が少しズームアップするので、B図の中心円のほうが大きく見えるのです。
したがって、B図の場合は近接する部分は円形ではなく、単に円弧に過ぎないのですが注視の範囲を狭めているので、中心円をやや大きく見せる効果があるのです。
A図の左下の図のように小さな円が近接していれば、こちらのほうが大きく見えるのは対比効果によるのだという説明がもっともらしく聞こえます。
ところがB図のように円形でなくても、中心円が大きく見えるのですから、対比効果でないということは明らかです。
もし対比効果だというのなら。B図の場合は近接している図形要素は、大きな円の内側部分ですから、中心円はやはり小さく見えるはずです。
注視する範囲が狭められたほうが、やや大きく見えるということは、下の文字列を見てもわかります。
この場合中ほどの「ERTY」という部分を四角で囲んでいるのですが、囲まれた字のほうは、囲まれていない部分よりもやや大きく見えます。
四角で囲んでいるから目立つというだけではなく、目が四角で囲まれた場合に注意を絞り込もうとするため、狭い部分に注意が絞られて、文字自体もやや大きく見えるのです。
文字列全体を見るときよりも、四角で囲まれた部分を見ようとすると、四角で囲まれた部分はレンズを通してみたように、浮き上がってやや大きく見えさえするのです。
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