60歳からの視覚能力

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注意の幅

2008-11-20 23:23:27 | 注意と視野

 左側の図を見ると、白と黒の縞模様の棒が5本、縦に並んでいますが、垂直でなく斜めに見えます。
 右側の図は、左の図の灰色の部分を白くしたもので、黒い部分だけが見えるようになっています。
 右側の図を見ると、黒い棒は縦に垂直に並んでいるのに、やや斜めに並んでいるように見えます。
 この黒い棒は曲がって見えますが、二つの長方形を少しずらしてくっつけたものです。
 縦の列は同じ形の図形が垂直線上に並んでいるので、垂直に見えるはずなのですが、長方形をずらしてつないでいるため、斜めに見えます。
 しかしこの場合は、一番上の棒と一番下の棒を同時に見ると、4つの棒は垂直線上に並んでいることが楽に実感できます。
 たとえば一番左の列の、上と下の棒を同時に見ると、一列目は垂直に見えます。
 同じように二列目の上と下の棒を見れば、二列目は垂直に見えるといった具合です。

 一番上の棒と一番下の棒に同時に注意を向けてみるのは、距離が離れているので、視幅が狭いと難しいかもしれません。
 この場合上と下の棒を同時に見ようとして、目を見開いてみようとしがちですが、目をことさら見開かなくても、意識を同時に一番上としたの棒に向けてみれば、4本の棒は垂直に並んで見えます。
 また上下の棒を見るのでなく、真ん中にある四つの点二注意を向けてみていると、黒棒はどの列も垂直に見えるようになります。

 右側の図は構成が単純なので、錯視の度合いがやや弱いのですが、、左側の図形になると錯視の度合いがより強く、垂直に見えるにはより強い視線のコントロール力が必要です。
 たとえば一番左の列の、一番上と下の黒い棒を同時に注視しようとしても、視線がスリップしてしまいがちで、二つの黒い棒にのみ注意を向けるのが困難です。
 そのためほかの列の要素が目に入ってしまい、垂直に見えず斜めに見えてしまったりします。
 そこで、上から順に4本の黒棒をしっかり見つめていきます。
 そのあと一番上の黒棒と下の黒棒を同時に注視すれば、全体は垂直に見えるようになります。
 同じように二番目の列、三番目の列について見ていくと、それぞれの列は垂直に見えるようになります。
 選択的注意によって錯視が消えるのです。
 
 こんなことをしてなんになるかというと、上下の視幅を広げることができ、人目で注視できる文字数が多くなります。
 そうすると、認識視野が広げられ、楽に読み取れる文字数が多くなるので、文章を読み取るときのストレスが少なくなります。
 この場合も中央の4つの点に視線を向けて見ていると、灰色の部分が前面に出てきて見え、緋色の枠が黒と白の縞模様の上にかぶさっているよう見えます。
 このとき、灰色の縦の帯が上下同じ幅で垂直に見えますが、それは間接的に黒と白の縞の棒がすべて垂直に見えていることになります。


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