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「眺める」と「観察する」

2008-01-19 22:44:01 | 視角と判断

 上の一番左の図では二本の水平線は右側がやや狭まって見えますが、ほとんど気がつかないほどです。
 ところがまん中の図のように斜めの線が一本ずつ加わると、狭まり方が強まって見えます。
 つまり線が加わって見え方がハッキリしたわけで、右の図のようにさらに斜めの線が増えると一層二本の線の間隔が右に行くにつれて狭まって見えます。
 これをさらにハッキリ示したのが下の図で、はじめの二本の線の間隔が右に行くにつれ狭まって見え、次の二本の線も右にいくにつれせばまって見えますから、二番目の線と三番目の線との間隔は右に行くにつれ逆に広まって見えます。
 四本の横線はいずれも水平線なので、平行線なのですがとてもそのようには見えないのではないでしょうか。

 ところで上の右側の図を見ると、二本の水平線は右側が狭まって見えるのですが、これは見方の問題です。
 二本の線の間隔が右側に行くにつれ狭まっていると見えるのですが、実は二本の線の間隔をよく見ないで判断しているのです。
 実際二本の線の左端の間隔をよく見て、次に線の右端に目を移し間隔を見ると左端の間隔と同じだということが見て取れます。
 つまりじっくり観察すれば、二本線の左端の間隔も、右端の間隔も同じだということが感じ取れるはずです。
 左右両端の間隔をよく見たあと、図の中央(黒丸のあたり)に目を向けて見ると左右両端は周辺になるので本当はハッキリは見えないのですが、じっくり見たあとなので同時に見えます。
 同時に見えたとき両端の間隔は同じに見えますから、二本の線は当然のことですが、平行に見えます。
 
 もちろん初めから二本の線の両端に同時に注意を向けて見れば、二本の線は平行に見えるのですが、慣れていないと同時に左右両端を注視することはできません。
 そのため左のほうから見てしまうのですが、右端は周辺視野で見えていてもハッキリと見えないので、間隔がよくつかめず、右に行くにつれだんだん間隔が狭まるという見え方に支配されてしまうのです。

 このような現象は下の図についてみるとさらによく分ります。
 この図で四本の横線は水平線なので、実際は平行線なのですが、真ん中の二本の線は傾いて見えます。
 ところが左右の尖端をよく観察すると、四本の線は等間隔に並んでします。
 左右両端の間隔が等間隔なのですから、間の二本の線も当然平行であるはずで傾いているということはありえないのです。
 この場合も視野が広ければ、同時に線の左右両端を見て、等間隔であることが見て取れ、その結果四本の線が平行であると見えます。
 しかし左右両端が遠いので、同時に注視できないので、つい左側から見て右端の間隔まで観察していないのです。
 そこで左右両端を別々に注意して観察し、そのあと図のまん中部分に目を向けながら左右両端に注意を向ければ四本線が平行に見えるようになります。
 「眺める」のと「観察する」のでは同じ視覚的判断でも結果が違うのです。