60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

縦書きと反り眼

2007-08-18 22:11:22 | 文字を読む

 縦書きの文章を読む場合と横書きの文章を読む場合を比べると、たえが気のほうが早く読めるという説があります。
 子供のうちは縦書きから覚えるので、横書きよりも縦書きのほうが速く読めるのが自然ですが、大学生以上にになると差はなくなるということです。
 つまり、速く読めるかどうかは慣れの問題で、文字が縦に並んでいれば速く読めるということではないようです。
 速さの問題は別として、縦書きよりも横書きのほうが読んで眼が疲れやすいという人がいます。
 文字をゆっくり読む人でなく、速く読む人からの意見です。

 若いうちと違い、年をとってくると焦点距離を短くしてものを見続けると、遠くのものを見ようとしたとき焦点距離をすぐに変えることができないで、ものがぼやけて見えます。
 横書きの文字を見るときは、ある程度の文字数をまとめて見るときでも焦点距離を短くしたままですみます。
 ところが縦書きの場合は、ある程度の文字数をまとめて見ようとすると、焦点距離を長くしなければなりません。
 眼が左右に二つつついているため、左右の視野が上下の視野より広いためです。

 このことを実感するために上の図を使ってみます。
 左側はブロックが横に並んでいる場合で、ブロックにはさまれた直線が斜めに見えますが、実際は水平です。
 この場合直線の左端と右端を同時に注視すると、斜めに見えていた直線が水平に見えるようになります。
 斜めに見えてしまうのは両方を同時に注視できていないからで、うまくいかないときは最初に直線の左端を注視し、そのまま右のほうに注意を向けて右端を見れば直線は水平に見えるようになります。

 右側はブロックが縦に並べられていますが、この場合もブロックに挟まれた直線は垂直線なのに斜めに見えます。
 この場合も直線の上端と下端を同時に注視すればよいのですが、左右の両端を見る場合と比べ焦点距離を長くしなければなりません。
 ちょうど眼を見開いた感じで、いわゆる反り眼になった状態になります。
 横線の両端を見るときはいわゆる伏目でも見ることができますが、縦線の両端を見るときは反り眼になりがちです。

 横書きの文章を読むときは、伏目で焦点距離を短くしたままで読み続けがちになり、その結果、毛様体筋が緊張し続け、眼が疲れてすぐに遠いところに焦点を合わせることが難しくなります。
 若ければ眼の水晶体もやわらかく、弾力があるので毛様体筋の負担も少ないのですが、年を取れば毛様体筋の力も衰え疲れやすくなるのです。
 縦書きの文章を読むときは時々反り眼になるので、毛様体筋が伸縮するので疲れにくいのです。