60歳からの視覚能力

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支持されやすい説明

2007-02-26 23:54:57 | 視角と判断

 A図の場合は折れ曲がった紙に上から光が当たっているように見えます。
 同じ濃さの部分なのに上のほうが薄く見えるのは、白い色が影になってはいい色に見えると脳が判断するからだというのが心理学の説明でした。
 ところが同じように曲がった紙を描いて配色を変えたB図では、上から光が当たっていると考えれば薄く見えるほうの部分は元は白でなく灰色であったと解釈せざるを得ません。
 そうするとB図では、同じ濃さである二つの部分が違った濃さに見える理由を、影によって説明することはできなくなります。

 A図を平面でなく立体的に見て、白い部分は日が当たっていると見て、薄い灰色の部分が陰になって見えるというのは、そのように解釈することもできると言うことに過ぎません。
 B図もA図とおなじようなに日が当たっていると解釈すれば、白い部分は陰になっているはずですから、白い部分は発光しているとでも解釈しなければなりません。
 こうした解釈は不自然ですから、誰でもが無意識のうちにこのように脳が解釈しているとは思えません。
 二つの部分が違った濃さに見えるのは、そのような脳による解釈が原因なのではなく、解釈以前にそのように見えるからです。

 A図の場合は図が立体的に見えることから説明が考えられたのでしょうが、C図のような例を見ればそのような説明はしなかったでしょう
 C図は直方体が並べられているように見えますが、直方体のひし形に見える上面はすべて同じ濃さの色なのに、真ん中のものは、上下のものよりも薄く見えます。
 この場合はなぜそのように見えるかということを、光と影のような日常的な経験を利用して説明することは出来ません。
 説明できなくてもともかく、真ん中のひし形は上下のひし形より薄く見えるのです。
 A図の場合でも、光と影のような説明がなくても、同じ色が違って見えるのですが、光と影という説明がスマートなので広く支持されたのでしょう。