BUONA GIORNATA!

取材や旅、見仏、ヨーガ、読書の日々をつづります

猛スピードで母は

2007年12月11日 | 
長嶋有の芥川賞受賞作「猛スピードで母は」(文春文庫 400円)。

表題作は小学6年生の慎と母親の物語。慎の目線で語られる母親の圧倒的な存在感が印象的です。

でも、私は合わせて収録されている「サイドカーに犬」のほうが好き。
父親の愛人・洋子との共同生活をつづった作品で、おなじく子どもの目線で語られます。大雑把で大胆、でもしっかりした芯を持つかっこいい女性として描かれる洋子との交流が、複雑な関係なのになぜかさわやかです。

何よりびっくりしたのは、著者が男性だと知ったとき。女性の描写が繊細で柔らかかったのでてっきり女性が書いたものだと思い込んでいました。

「サイドカーに犬」は今年、竹内結子主演で映画化されています(私はまだ見ていませんが)。映像と、原作の印象と比べてみたいような…。でもいつも、どれを見ても、原作のほうがいいなあと思うのでためらっています。

卵の緒

2007年12月08日 | 
前回に引き続き、瀬尾まいこの著作から「卵の緒」(新潮文庫 420円)をご紹介。

なぜだか分かりませんが、私は“家族モノ”に弱く、つい泣いてしまいますが、これもじんわりと涙がにじんだ1冊です。

2編が収録されていて、「卵の緒」は自分が捨て子だと感づいている少年とその母親のお話。
冷静に状況を見る大人な一面と、子どもらしい素直さを持つ育生くんのかわいらしさ、自分に正直で芯の強さとあふれ出す愛情を出し惜しみしない母親。血がつながっていなくても、確かにある絆を感じさせます。
母親が、初めて赤ちゃんの育生に会ったときどんなにかわいいと思ったか、どれほど強い決意で育生を引き取り、深い愛情を持って育ててきたかを話すシーンは、かなりじーんときます。

もう1編は異母姉弟のお話。
姉はクールな女子高校生。複雑な事情で一緒に住むことになった、愛想がよくて気が利く小学生の弟(父親の愛人の子)をなかなか受け入れられないけれど、次第になくてはならない存在になっていきます。
最後は別れで終わってしまうけれど、それでもふたりは強い絆で結ばれたかけがえのない家族になります。私にも弟がいるせいか、登場人物の性格やシチュエーションとは全然違うのに感情移入してしまい、涙をこらえることができませんでした。

天国はまだ遠く

2007年12月07日 | 
この1年もたくさんの本に出合いました。
印象に残ったものを数回にわたって紹介します。

1回目は瀬尾まいこの「天国はまだ遠く」(新潮文庫 380円)

仕事や人間関係で行き詰まり自殺を考える23歳のOLが主人公。
彼女はいよいよ人生を思い切ろうと日本海側の地方へ、人があまりいない奥へ奥へと向います。山奥にある「民宿たむら」にたどりつき、自殺を決行するも失敗してしまいます。そして民宿の主人である、がさつで大らかでたくましい若い男とのふれあいや、自然に囲まれた生活によって彼女が生きる力を取り戻していく、というお話。

淡々とした静かな語り口で物語は進んでいきます。主人公が自分が思っているのとは全然違う、のんきでマイペースな性格を発揮していくエピソードはくすりと笑えます。民宿の主人との会話やキャラクターの対比も○。
さわやかであたたかい風が吹くような読後感です。

ミュシャ展

2007年12月06日 | Weblog
いよいよ終盤に突入した「アルフォンス・ミュシャ展」に行ってきました。

フランスの女優サラ・ベルナールのポスターで有名なミュシャ。「これも見たことある!」というリトグラフがたくさんありました。

ポスターといっても、劇場などに貼ってあったものでしょうから、予想以上にサイズが大きく、なかなかの迫力。とくに「ペルフェクタ自転車」はその大きさにびっくりしました。

印象的だったのは、パリ時代とチェコ時代で描く女性の顔や色調ががらりと変わっていること。パリ時代は可憐な良家のマドモアゼルや粋なマダムといった感じですが、チェコ時代は少し色調が暗く、女性の顔が完全にスラブ系なんです。祖国を深く深く愛していて、チェコの産業や文化振興のために尽くしたそうです。

写真は連作≪四季の花≫より「百合」。1898年制作、リトグラフ。

■ミュシャ展は宮崎県立美術館で12月9日(日)まで開催中。




ひこにゃんの行く末は

2007年12月02日 | Weblog
私とおまさのアイドル(?)ひこにゃん=写真=は彦根城400年記念キャラクター。

昨年の夏に、おまさのお里帰りについていって彦根城見物に行ったとき、お城の前にさりげな~く、大きくもない看板に描いてあったひこにゃんが最初の出会いでした。見つけた瞬間、おまさは「何これ~!?恥ずかしいやん!ひこにゃんやて!」と叫び大笑いでしたが、私たちの予想をはるかに裏切り、ひこにゃんはゆるキャラブームに乗って人気急上昇!全国的な人気者になったのでした。

そんなひこにゃんも、彦根城400年記念イヤーが終わり引退か?と思われていましたね。ひこにゃんを創ったデザイナーさんと彦根市のあいだでもめごとがあったり・・・。どうやら両者は和解(?)への道を探るべく話し合いを進めるとか。せっかくのひこにゃんブームですからね。キャラクターグッズも売れて、市はまだまだPRに一役買ってほしいでしょうし。

ブームは去るもの。どこまでひこにゃんが愛され続けるかは分かりませんが、私とおまさにとっては「永遠のアイドル」とまではいかないものの、これからもずっと想い出に残る、愛すべきキャラクターなのです。今後もひこにゃんの動向、要チェックです!

いよいよ師走!

2007年12月01日 | Weblog
あっという間に今年も残すところあと1ヶ月ですね。早いものです・・・。
よい1年だったね、と言えるように「終わりよければすべてよし」な1ヶ月にすべく過ごしていきたいと気持ちを新たにしました!

さて、最近見たポスター=写真=。
左が普通よく見かける、県が作ったポスター。そして、右のポスター!これも県のものなんですよ!「THE KENCHO」なんて、「県は新しくなりました」というメッセージを感じますね~。この1年テレビに出ずっぱりの東国原知事効果でしょうね。なんだか映画「県庁の星」を連想させるようなポスターです・・・。

ちなみに、よ~く見ると「あれれ?」というところに知事が写っています。必見。。。