(2020年3月10日)
匿われる弟に懸想し相姦を成就すべく旅に出て、弟に逃げられ、怒りのあまり復讐の炎を天から落とし縁者村人を殺戮し、村を破壊してアビ(plongeon水鳥)に変身する逸話はイシスの冒険(M538が基準、本書43頁)神話群で取り上げられている。当ホームサイトでは「裸の男HommeNu神話学第4巻を読む」で取り上げている(その2、2019年19月15日投稿、に詳しい)。
GooBlogにも10月XX日投稿分で紹介されている。
しかるにイシスの冒険神話の中ではDamePlongeonアビ女は前段の役割なので、レヴィストロースも解説に行を費やしていない。M550神話に入って、イシス神話とは分離して、この「アビ女」の神話としての特殊性を指摘している。
神話紹介の前にアビ女神話群の何が特殊か、幾点か挙げてみると。
写真はネットから、下に拡大。
1 水鳥のアビ(plongeon)は鳴き声が陰鬱、行動(湖水を深く潜り人には見えない)が不気味。
2 おおよそ新大陸南北の神話は文化創造を担うバイトゴゴなど英雄(ヒーロー)の物語であるに対し、plongeonアビ女はアンチヒーロー、文化、同盟の「破壊」のヒロインである。
3 神話筋書きにおいては反装飾(生首の首飾り)、反狩猟(食べられない獲物を獲る)、反同盟(人の孤立)などアンチ文化挿話が綿々とつながる。
その「反文化性」にもかかわらず、前回(3月9日)に掲示した挿画の説明でレヴィストロースは「文化成立の足取り」を説明する図式としている。その整合性を見つける為に躓いた訳だ。
神話アビ女DamePlongeon(M550 Atsugewi族伝承、本書103頁)を紹介する。
前段は昔の世界。その頃は石を加工し鏃とする技術を持たず、火を知らない世界だったと。擬人化されている登場者リス、イヌなどの機転でそれらを盗んで、狩り道具と火を所有出来るようになったとさ。
Lynx(山猫、優柔不断、余計な事をしでかす)は悪夢にうなされ、男屋を離れ実家(母、姉妹の住む小屋、成人通過儀礼の後にはみだりに立ち入らない)に床を移した。妹(Plongeon)は、別の来訪者を気にしていたから寝る前に香り良い樹脂で身を塗りたてていた。渡りに舟、その妹が寝入るすきに乗じLynxは交合した。翌朝、身の樹脂に張り付いた毛模様から、それが兄Lynxと妹は知った。
仏語の原文では兄、妹の関係は不明、弟、姉かも知れない。
弟とするとLynxは年端のいかない若者、姉との婚(たわけ)もフトした迷いだったかも知れない。寝入る際に受け入れ合図の樹脂塗り姉は、弟の夜ばいを求めていた積極性があったかも知れない。
するとイシス神話での「弟」に邪な欲情を抱く姉と整合する。また下段の「小さなモノ」に改造とも調和する。
写真:アビ。クビ回りの模様が印象的、神話ではその由来を人の心臓の首飾りとする。
相姦を恣意とするか突発とするか、恣意ならば誰の意思か、突発ならば誰がそれを装ったからか。この辺りを独断で解釈すると姉と弟の相姦、姉の弟恋慕、姉の積極誘い込み、そして半夜で逃げられた怒り…こう解釈する。皆様には別の解釈があるかと。
Plongeonは怒り狂い男屋に火を放った。
村人はPlongeonの怒りを鎮めるためにLynxを差し出すと決めた。しかし;
<non sans que Papillon eut renplace son penis par un organe derisoire>蝶がLynxの男根に細工した、とっても小さなモノに取り替えたのである。
二人は旅にたつ。Plongeonは太陽を呪い、日の入りを急かした。夜、しかしLynxの男根が小さかったから、二人は結合出来なかった。Lynxは木片を己身の変わりにして、逃げ帰った。
怒りのPlongeonは村に戻り、破壊した。村人は大籠を仕立て天に昇るが、ツギ穴からこぼれるかに脱落し、火に焼かれた。Plongeon ははじき飛ぶ心臓を集め、クビ飾りとし、湖の底に潜んだ。姉Aigle(鷲)はPlongeonを訊ねに湖水回りを続け、とある兄弟とであった。毎夜、Plongeonらしき気味の悪い声を耳にするから、それがPlongeonと見当をつけた。鹿の骨から造った鏃を代償に、狩り獲ると請け負った。
AigleはPlongeonの死体からクビ飾りをもぎ取り、確認すると心臓二人分が足らなかった。続く
匿われる弟に懸想し相姦を成就すべく旅に出て、弟に逃げられ、怒りのあまり復讐の炎を天から落とし縁者村人を殺戮し、村を破壊してアビ(plongeon水鳥)に変身する逸話はイシスの冒険(M538が基準、本書43頁)神話群で取り上げられている。当ホームサイトでは「裸の男HommeNu神話学第4巻を読む」で取り上げている(その2、2019年19月15日投稿、に詳しい)。
GooBlogにも10月XX日投稿分で紹介されている。
しかるにイシスの冒険神話の中ではDamePlongeonアビ女は前段の役割なので、レヴィストロースも解説に行を費やしていない。M550神話に入って、イシス神話とは分離して、この「アビ女」の神話としての特殊性を指摘している。
神話紹介の前にアビ女神話群の何が特殊か、幾点か挙げてみると。
写真はネットから、下に拡大。
1 水鳥のアビ(plongeon)は鳴き声が陰鬱、行動(湖水を深く潜り人には見えない)が不気味。
2 おおよそ新大陸南北の神話は文化創造を担うバイトゴゴなど英雄(ヒーロー)の物語であるに対し、plongeonアビ女はアンチヒーロー、文化、同盟の「破壊」のヒロインである。
3 神話筋書きにおいては反装飾(生首の首飾り)、反狩猟(食べられない獲物を獲る)、反同盟(人の孤立)などアンチ文化挿話が綿々とつながる。
その「反文化性」にもかかわらず、前回(3月9日)に掲示した挿画の説明でレヴィストロースは「文化成立の足取り」を説明する図式としている。その整合性を見つける為に躓いた訳だ。
神話アビ女DamePlongeon(M550 Atsugewi族伝承、本書103頁)を紹介する。
前段は昔の世界。その頃は石を加工し鏃とする技術を持たず、火を知らない世界だったと。擬人化されている登場者リス、イヌなどの機転でそれらを盗んで、狩り道具と火を所有出来るようになったとさ。
Lynx(山猫、優柔不断、余計な事をしでかす)は悪夢にうなされ、男屋を離れ実家(母、姉妹の住む小屋、成人通過儀礼の後にはみだりに立ち入らない)に床を移した。妹(Plongeon)は、別の来訪者を気にしていたから寝る前に香り良い樹脂で身を塗りたてていた。渡りに舟、その妹が寝入るすきに乗じLynxは交合した。翌朝、身の樹脂に張り付いた毛模様から、それが兄Lynxと妹は知った。
仏語の原文では兄、妹の関係は不明、弟、姉かも知れない。
弟とするとLynxは年端のいかない若者、姉との婚(たわけ)もフトした迷いだったかも知れない。寝入る際に受け入れ合図の樹脂塗り姉は、弟の夜ばいを求めていた積極性があったかも知れない。
するとイシス神話での「弟」に邪な欲情を抱く姉と整合する。また下段の「小さなモノ」に改造とも調和する。
写真:アビ。クビ回りの模様が印象的、神話ではその由来を人の心臓の首飾りとする。
相姦を恣意とするか突発とするか、恣意ならば誰の意思か、突発ならば誰がそれを装ったからか。この辺りを独断で解釈すると姉と弟の相姦、姉の弟恋慕、姉の積極誘い込み、そして半夜で逃げられた怒り…こう解釈する。皆様には別の解釈があるかと。
Plongeonは怒り狂い男屋に火を放った。
村人はPlongeonの怒りを鎮めるためにLynxを差し出すと決めた。しかし;
<non sans que Papillon eut renplace son penis par un organe derisoire>蝶がLynxの男根に細工した、とっても小さなモノに取り替えたのである。
二人は旅にたつ。Plongeonは太陽を呪い、日の入りを急かした。夜、しかしLynxの男根が小さかったから、二人は結合出来なかった。Lynxは木片を己身の変わりにして、逃げ帰った。
怒りのPlongeonは村に戻り、破壊した。村人は大籠を仕立て天に昇るが、ツギ穴からこぼれるかに脱落し、火に焼かれた。Plongeon ははじき飛ぶ心臓を集め、クビ飾りとし、湖の底に潜んだ。姉Aigle(鷲)はPlongeonを訊ねに湖水回りを続け、とある兄弟とであった。毎夜、Plongeonらしき気味の悪い声を耳にするから、それがPlongeonと見当をつけた。鹿の骨から造った鏃を代償に、狩り獲ると請け負った。
AigleはPlongeonの死体からクビ飾りをもぎ取り、確認すると心臓二人分が足らなかった。続く
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