東京で開かれた大学政策フォーラムでの講演報告の3回目です。前回は、論文数や特許件数とGDPとの相関分析のデータをプレゼンしましたが、今回はその他の指標との相関です。今までブログでお示ししたデータですが、今まで使ってきたGDPとは異なるGDPを用いて分析をしたので、数値が異なる部分があります。
まずは、教育に関係するOECDのデータの説明をざっとしました。グラフの部分は、前にも紹介したものの繰り返しなので、以前からのブログの読者の皆さんは飛ばしていただいてけっこうですよ。
要するに、日本は大学や高校修了生は多いが、博士修了生が少ないというデータですね。
次に、各教育区分修了割合と論文数との相関を検討しました。第1行は人口当り論文数の年です。第1列のDR,DPというのが人口コホート当り博士修了割合、人口当り博士修了割合を表しています。Tは高等教育修了割合、USは後期中等教育修了割合、BUSは後期中等教育に至らない割合を示しています。当然の結果と思われますが、博士修了割合と論文数は有意の正相関を示しました。しかし、他の教育区分の割合とは相関しませんでした。
次に各教育区分の修了割合と特許登録件数との相関を検討しました。博士修了割合が最も低く、しかし特許登録件数が最も多いという例外的な日本を除いた場合には、論文数と同様に、特許登録件数は博士修了割合と正相関しました。また、大学+後期中等教育修了割合についても、特許登録件数と相関する傾向がありました。
一人当たりGDPとの相関では、博士修了割合との相関は弱くなりましたが、大学+後期中等教育修了割合は相関するようです。
GDP3年平均成長率との相関を検討したところ、大学+後期中等教育修了割合と最も強い相関を示しました。博士修了割合とは、リーマンショックまでの時期には正相関が認められました。大学修了割合については、他の教育区分修了割合とは異なる挙動をするようであり、後年のGDPやGDP成長率との相関は不明瞭です。