『シリアナ』、観ました。
CIAのボブは、アラブ某国の王位継承者の暗殺の仕事を任される。ところが、
その国の第1王位継承者が、大手石油企業との契約を打ち切った為、第2王子を
継承者にしようという案を王に囁く者がいた。一方、王位継承権の争いの影で、
ひとりの貧しい青年が、過激な教義にのめりこんでいき、命懸けで“ある者”を
暗殺しようとしていた…。
まずは早速、これからこの映画を観ようとしているアナタに忠告するッ!!、
とりあえず観る前は、休養タップリ、睡眠バッチリ、どうかアタマもカラダも
リフレッシュして“万全の状態”で挑んで欲しい。でないと、複雑な構成に
ついていけない、カタい話が理解出来ない。オイラは今回、DVDの利点のフルに
活用して、何度か巻き戻しながら観たのだけど、もしもこれを映画館の大画面
にてノンストップで見せられた日にゃー、頭がパニック、途中で全部投げ出し
ちゃって、そそくさ尻尾を巻いて家に逃げ帰ったかもしれない(笑)。
さて、映画は、『トラフィック』の脚本家スティーブン・ギャガンが初監督を
務め、やはり展開も『トラフィック』同様に、舞台も登場人物も異なる複数の
エピソードが、クロスオーバーしながら同時進行していく。例えば、通常の
映画が、一本道の終着点にある目的物を描くものだとしたら、この『シリアナ』は、
その目的物を「宗教」「理念」「政治」「(アメリカにとっての)利益と経済」‥‥、
それぞれのキーワードを用いて多方面から描いていく。そして、言わずもがな、
ここでその目的物に当たるものとは‥‥“石油産業”。そこでは常に“陰謀”が
渦巻き、人間の“欲望”が氾濫する…。ボクがこの映画を観て感じたことは、
“石油”は莫大な利益を生み、そこに住む人々にとって“生活の支え”でもあった。
一方で、それゆえに民族間の争いが生まれ、多くの血が流れたのも事実。しかし、
気がつけば、獲物に群がるハイエナのように、遠くの大国までがその争奪戦に
参入し、今、その資源のほとんどが彼らによって吸い尽くされようとしている。
勿論、9・11のテロリストたちを肯定するつもりなど毛頭ない。ただ、彼らが何故、
どのような経緯でテロリストになったのかを、ボクたちはもっと知るべきでは
ないのだろうか。確かに、映画は複雑過ぎる構成で(観る側への)配慮が少なく、
途中、必要以上にエグい描写もある…、『トラフィック』と比べれば格段に
落ちる映画だが、少なくとも、ここに描かれ(作り手達が)云わんとしている
ことは、全くの的外れではない筈だ。