肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『Dolls [ドールズ] 』、観ました。

2006-05-18 21:19:50 | 映画(た行)

バンダイビジュアル Dolls

 『Dolls [ドールズ] 』、観ました。
一本の赤い紐につながれ、さ迷い歩く男女。迫り来る死期を感じ取った老境の
ヤクザと、彼をひたすら待ち続ける一人の女。事故で人気の絶頂から転落した
アイドルと、それでも彼女を慕い続ける孤独な少年。3つの愛の行方とは‥‥。
 あまり評判の良くない映画ですが、世間で言われるほどの“愚作”ではないと
思った。ただし、世間で言われるように「ラストが分からん」というのも事実。
‥‥で、観終わったボクの感想は「北野監督、ずいぶん無理してるなぁ」って
カンジ(笑)。日本古来の人形様式を取り入れて“日本の美”にこだわった。
美しい映像に酔い、美しい音楽に聞き惚れる、『ドールズ』は美しい‥‥しかし、
その美しさはすべてが“様式的”でボクの心には響かない。ある意味、これは
北野監督の“狙い通り”かもしれないけどね。ただ、ボクが彼に望むのは
そんな“小手先の芸術性”なんかじゃない、『あの夏、いちばん静かな海。』や
『キッズ・リターン』の頃に感じた“飾らない純粋さ”なの。最近の北野作品を
観るとそれが一作品ごとになくなってきてる。『座頭市』しかり、この『ドールズ』
しかり、それが残念でした。
 さて、映画は3つの悲恋が少しづつ絡んだ進行のオムニバス形式。その3つの
ストーリーに共通するのは、愛し過ぎたがゆえに崩壊し、“狂気”へと変わって
いく愛‥‥。「愛の重さ」、「心のモロさ」がテーマになっている。個人的には
三橋美智也を主人公にした“2話目”が好きだ。タイトルにある「Dolls」は、愛を
失い、“魂の抜け殻”になった彼らを「人形」に例えてるんだろうね。

 



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