続・凹凸~くだらない日々は続く

ヲタク話題だったり、猫話題だったり、愚痴だったり。人にとってはどうでもいいような日常話題あれこれ

いつまで続くか白いひつじ熱

2011-06-05 18:40:17 | 白いひつじ断片SS
 

この土日も、比較的うだうだ過ごしました。
 うーん・・・・・・デブの元。というか、太ったから動きたくないのか、動かないから太ったのか。・・・・・・どちらかはともかく、ともかく動かないといけないのですよね。色々危険。

 長野まゆみさんの新刊が少し前に届きました。
デカルコマニア デカルコマニア
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2011-05
 どうやら、「メルカトル」「カルトローレ」と同系統の異世界系ファンタジーの模様。「白いひつじ」や「左近の桜」よりも一頁あたりの文字数が密に詰め込まれているので、読み応えはありそうな感じで、嬉しいかも。どうせ来週も定時なので、まったり読もうかと。
 まだ全然読んでませんけどね。
 昨日死ぬほど遅寝したせいか、今日はほとんど眠れず、夕方になって眠気が襲ってきて、ちょっと仮眠とってました。仮眠とるのにちょうど良い、心地よい気候だったせいもあり。
 長野ワールドに浸るのが楽しみ。今晩から読みます。一度読み出すとノンストップになるのが目に見えているので・・・・・・その前にすべきことしないと。

 というわけで?
 「白いひつじ」モノUPしときます。
 短編なのでこの日記上に。
 オリジナル主人公鳥貝ちゃんと百合子さんがイチャイチャ状態になってからの話。
 この日記上にUPしていないオリジナル設定話と絡んでいる部分がありますが、後で注釈つけときます。

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<オリジナル小ネタ3>
『帰郷~ふたりで』
 夏、大学の前期試験も終わって、やっと夏休みに入った。
 この4ヶ月にも満たない生活で、鳥貝の人生は驚くほど変わった。それは、この年齢の誰しもが経験する人生の節目、というものよりも遥かに大きな区切りだったに違いない。
 夏休みに入ってすぐに、春海は帰省をきめた。とはいえ、この度のN県の実家への帰省は、長期にわたるものではなかった。予定としては1泊だけ。夏休みもアルバイトが入っているのだ。おそらく、あと何度かは機会があれば帰省するつもりではいるが・・・・・・それが、いつになるかはまだ決めていない。そもそも、往復の電車代だってばかにならないから、度々は帰れそうもないが。
 今回の帰省には実家への用があったからだ。
 新幹線をU市で降りて、乗り継ぎの前にここで昼食をとるつもりだった。手にはプラスティックのバスケット。その中では、小さな生命が寝息を立てている。ここまで2時間と少しの行程で、さんざん鳴いて疲れたのだろう。・・・・・・鳥貝も、疲れていた。他の乗客の迷惑になるから、とずっとデッキで座り込んでいたのだから。運転免許でもあれば、列車で帰ってくるよりも少々時間がかかるかもしれないが、気を使わずにすんだのだろうが・・・・・・けれど、この長い距離を運転しきる自信は鳥貝にはない。今回の旅の同行者に言えば、免許くらい喜んで、しかも最短で取ってくるだろうし、車も調達してくれる事は予想できていたが・・・・・・そういう細かいかりをつくるのは、なんとなく癪だから避けたかった。
駅前のベンチに腰掛けて、連れの帰りを待つ。バスケットの中身がいるから、飲食店にも入れず、近くのファーストフード店で連れが買ってくる昼食を待っている所だ。
 7月も後半。陽射しが随分きついが、東京のそれに比べたら空気のなんと涼しい事だろうか。N県育ちの鳥貝に、最初の東京の夏はかなり過酷なものであった。緑の多い地域にある寮内はまだいい。大学構内もまだなんとかなる。けれど、アルバイト先の街中に出てみて、その暑さに驚いたものだ。上からは陽射し、更にはビルと下のアスファルトからの照り返し。しかもビル間を駆け抜ける乾いた風は、このうえない熱気をはらんでいる。エアコンなしでは生きていけそうもない。体調の悪い時など、最悪だ。もしかすると、この夏は人生ではじめての夏バテを経験するかもしれない。
 木陰と渡る風の涼しさに、ぼんやり青い空を見上げていると、不意に声がかかった。連れの声ではない。けれど、聞き覚えのある声だった。
「春海ちゃん?」
 地元であるなら、知人に出くわすのも不思議ではない。けれど、その声の主は、あまり会いたいと積極的に思える相手ではなかった。
 少しだけ陰ってしまった気持ちで、声の主を確かめれば、やはり思ったとおりの人物で、鳥貝はその人物に対してどういう態度をとるべきか、考えてしまった。
 高校の同級生である。この春から、地元の国立大学に進学している。
「帰省したの?」
 相手も複雑な思いはあるらしく、笑顔と言うよりは苦笑で鳥貝に声を掛けて近づいてくる。
「ええ、今日と明日だけだけれど。」
 わざと、日程が短い事を伝える。
「えらく短いんだね。向こうで忙しいのかな。東京の生活にはもう慣れた?」
「・・・・・・そうね、思ったよりも、」
 あまり長話はしたくない鳥貝だったが、相手はそうでもないようで、長々と話を引き伸ばそうとする気配がある。
 この同級生も、元々は東京にある大学に進学を希望していた。けれど、力及ばず受験に失敗し、2次希望の地元の大学に落ち着いたのだ。
「あのさ、実はおれ、来年もう一度受験してみようと思うんだ、東京の大学、君と同じTK大。」
「今の大学は?」
「やっぱり、親元から離れて東京に出て、色々な事を経験してみたいんだ。だから、もしTK大に受かったら、今の大学は辞めるつもりでいる。」
 彼の進学の動機は勉強ではなく自立。そういうのもありかもしれないけれど・・・・・・と、鳥貝は思う。けれど、鳥貝の今回の旅の連れの進学の動機は、大好きな兄を追いかけて、なんだから、もっと不純である・・・・・・しかも、おそらく片手間の勉強で合格しているのだから、さらにひどい。
「君より一学年下になるかもしれないけれど、もしも、来年上京できたら・・・・・・ぼくと、もう一度付き合ってくれないかな。」
 鳥貝は、押し黙る。
 彼は、別れた恋人だった。高校時代に告白され、2年近く付き合った。関係はキスまで。彼とのキスで、鳥貝は何も得るものはなかった。彼を好きだと思っていたけれど、別れたらその気持ちは驚くほどあっさり消えていったのだ。
 そもそも、別れは彼自身からで、その理由は「遠距離恋愛に耐えられそうもない。」鳥貝は、彼の口からその言葉を聞いたときに、冷静に分析していたのだ、その言葉に隠された真意を。つまり、志望していた同じ大学に、自分が落ちて彼女が受かった。それが本当の理由だ。それなりの進学校にあって、常に成績上位者であり、勉強・スポーツもでき・・・・・・人生でほとんど汚点をしらない彼が残す事になったその汚点から逃避するための別れだったのだ。
 彼の中で、鳥貝の事や鳥貝と付き合ってきた日々がどれほど美化されているのかは分からないけれど、鳥貝にはその頃の思い出は、すでに単なる記憶でしかなかった。
 虫がいいとも思える言葉だった。けれど、怒りとか憤りはまったく感じない。不思議なくらいに。
 鳥貝は、どうやって断ろうかと考える。できるだけ彼を傷つけない言葉を選ぼうとする。彼の事は今では好きではないけれど、決して嫌いではないからだ。・・・・・・要するに、冷たく言い切れば「どうでもいい」存在となったという事なのだが。
 涼やかな風が吹いて、鳥貝の髪を揺らした。彼は目を細めてそんな鳥貝を見ている。たった4ヶ月の間に、少女から女性へと変貌と遂げつつある鳥貝にみとれていたのだろう。
 勿論、彼女のこの変貌は彼女自身の内側からくる変化によるところが大きいのも確かだが、それよりなにより、この男によるところもあるに違いない。
「こいつ、誰?」
 遠慮することを全く知らない、ぶっきらぼうな声が頭上から降ってきた。普段は耳に心地よい美声に違いないそれの持ち主は、声と釣り合うくらいのきれいな青年だった。
「・・・・・・百合子さん。」
 ファーストフードの紙袋を手にして、目をやや険しくした百合子が鳥貝の背後に立っていた。
「なに、なんか用?」
 威嚇する声をして、相手を睨みつける。
「百合子さん、まって。彼は高校の同級生なの。ちょっと、お話をしていただけで、その、」
「同級生、ね・・・・・・ふーん・・・・・・、」
 百合子は、今度は鳥貝を見下ろしてその表情から情報を読み取ろうとする。困惑した鳥貝の表情から、相手がただの同級生ではなく、また、交わしていた会話の内容に、それとなくあたりをつけた。
「そ。わかった。」
 何かやらかすんじゃないかと思っていた百合子だったが、あっさりとした事を口にして、鳥貝にファーストフードの紙袋をひとつ渡した。
「え? あ、ありがとうございます・・・・・・?」
 利き手の右ではなく、左手に渡そうとする事に何かひっかかりを覚えた鳥貝だった。もちろん、ひっかかりは的中する。
 伸ばされた鳥貝の左手を取って、これみよがしに自分の左手と繋ぎ合わせた。まるで、ふたりの左手につけたペアリングを見せ付けるように。
 そして。
「今日は、春海の両親にしっかり、ご挨拶しないとな。」
 とか云いつつ、鳥貝の唇を簡単に奪った。
 百合子お得意の、鳥貝の思考を停止させる濃密なキス・・・・・・のハズだが、さすがに鳥貝もこの状況では思考を停止させるわけにはいかない。
 開いている手で百合子胸を押しやって、顔を真っ赤にして怒鳴った。
「百合子さん! どうして、そういうことするんですかっ!」
「好きだから。」
 悪びれずにっこり笑う。
「昼も、夜も、おまえを独占していたいから。」
 人前で、こういうことができ、こういう言葉を簡単に言えるのが、この男なのだとわかってきていた鳥貝だったが、慣れない。慣れるわけがない。衆人環視の前でも、自分の欲望が先立つときは、あっさりとやってのける。
 この困った性格を、兄はよくもコントロールできていたものだ、と、鳥貝は改めて思う。鳥貝だって最近は方向性を変えさせる事くらいはできるようになってきたけれど、それでも、コントロールは難しい。鳥貝への恋愛感情が絡む場合は、特に。
 呆然と、固まっていた同級生の男を、百合子は勝ち誇って見る。
 鳥貝と百合子の関係がどうかなんて、目の前でここまでされてしまいえば一目瞭然だろう。何より、こんな美しい外見をしているくせエキセントリックな行動をする男に、常識と安いプライドに縛られた彼が、太刀打ちできるはずがないのは彼自身にも分かった。
「ご、ごめんね・・・・・・。そういうわけだから。受験、頑張って・・・・・・!」
 鳥貝は慌てて立ちあがって、荷物と百合子の腕をとると、半ば駆け出すように改札口に向かった。
「ちょっと、春海春海、折角飯買って来たのに・・・・・・!」
「ここはわたしの地元なの。他の誰かにも見られている可能性が高いのに・・・・・・もぅっ!」
「いいじゃん。婚約者とでも紹介しておいて。」
「婚約なんてしてないもの。」
「・・・・・・じゃあ、ダンナ様でもオッケー。」
「誰がですか。」
「お互いの両親公認だし・・・・・・実質そんなもの、」
「知らない。」
 じゃれあいながら足早に去っていく彼らを、青年は唖然として見送った。
 鳥貝のそんな豊かな表情は、彼と付き合っている間に見たことはなかったように思う。特に、怒った所なんて、一度も。
 それに、彼はふと、記憶を呼び起こす。
「あの顔は、見たことがある・・・・・・。」
 あれだけ整った顔、印象に残らないわけがない。
 そう、取り寄せたTK大資料の中にあった。昨年の首席新入生の顔写真、そこで見たのだった。「百合子」という珍しい苗字とともに記憶に残った。TK大に主席で入学するような人間がどんなものだろうか、と思ったような気もする。
 それが、あの男。
 とてもじゃないけれど、一般の常識では縛られそうもない人間だった。おそらく、意識の根底からして常識では測れそうもない。
 昔付き合っていた彼女が、どういう経緯であの男と出会い、付き合うようになったのかは分からないけれど。
 来年に再度受験する気持ちは変わらないけれど・・・・・・鳥貝とヨリをもどせる可能性はゼロなのだと思わずにはいられなかった。
「いっそ、心地よい完敗かもしれない。」
 と、彼は呟いた。
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 子猫の件についてですが、オリジナル設定では鳥貝ちゃんの暮らす洋館には猫が住み着いています。その猫の生んだ子なのです。春に母親に一匹里子に出す約束をとりつけたのを、百合子とふたりで届けに来た感じ。
 鳥貝ちゃんの元カレは、男前な方です。鳥貝ちゃんも外見についてはほとんど描写してませんが、かわいい設定ではあります。オリジナルの鳥貝くんも外見的描写はほとんどなしですが、おそらく長野作品少年的な白皙の美少年であることが予想されるので、それの対象として。
 柔らかな黒髪を肩くらいまで伸ばしていて、黒目がちの丸い目をしていて、小ぶりな顔に細い首に・・・・・・美少女、というほどではないですが、垢抜けてはいない、純朴系でかなりかわいい部類、といった所。
 ・・・・・・まだまだ白いひつじものを生み出しています。キケンですね。
 原作の続きになるようなお話も書いているのですが(勿論、女主人公設定で)、それもまたUPします。需要ないのになぁ・・・・・・・。


※ウェブ拍手ありがとうございます!
 本日下さった方、ありがとうございます。
 6月です。季節が巡るのは、実に早く、あっという間な気がするのは、それだけ年をとってしまったからでしょうか(苦笑)。
 1日1日を踏みしめて、大事にして、生きていってください。後悔は少ない方がいいのですから。
コメント
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