指ならしに、ごくごく短編を書いてみました。
ウェブ拍手用にしようかとも思いつつ、更新する気力もないので、とりあえず、日記にUP。
ネタ的には以前から書きたかったものです。
本当はもっと能天気話にする予定でしたが、秋から冬はどうにもシリアス傾向のお話しか書けなくなるようです。
おばかなお話が書きたいです……ノリ出すと書けるんですけどね。
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{小さな秋}
日々陽射しが緩くなり、吹く風が冷たさを増す。
昼間はまだ暖かいけれど、朝と夜が冷え込んで……着る服にも困るような、そんな季節。
「寒い……」
昼間は暑いくらいで、半袖でも十分だったのに。
帰宅後、リビングに入ってきてぶるっと震える姉を見て、尽は自分の着ていたフリースの上着を投げて寄越した。
「俺、今から風呂入ってくるから」
自分の体より随分大きくてぶかぶかのそれに袖を通しながら、姉は無防備な尽の後姿を見た。
薄いTシャツ一枚越しに見る尽の背中は、真っ直ぐに伸び、すっきりと均整がとれていて綺麗だ。
「暖かい……」
尽の残した温もりが心地よく、尽の匂いに心まで温かくなる。
とても心地いいそれらに、彼女はふふ、と、幸福に笑った。
いつの間にか、男の人に成長している弟が嬉しくて……少し、切ない。
お風呂上りの尽のために、コーヒーを淹れる準備をしながら、彼女は己の禁断の想いを噛み締めた。
髪を拭きながらリビングに入ってきた尽が、淹れたてのコーヒーの匂いに笑顔を見せる。
「おー、さすがねえちゃん、気が利く」
その無邪気な笑顔が……とても、愛しい。
他愛無い会話、普段どおりのふたりの時間。
父が遠方に赴任となり母もついていってしまい、姉弟ふたりきりの時間には慣れたはずなのに……時々、とても、不安になる。
ふたりの幸せな時間が、いつか、破綻してしまうのではないかと。
「なぁ、ねえちゃん?」
夕食後の後片付けを終え、お茶を片手にやっとテレビの前に座った彼女に、尽は微笑みかける。
弟のようでいて……弟ではない、その表情。
「俺、湯冷めしてきたみたい。寒い」
「お風呂、早く入りすぎた? また入っておいでよ」
くすっと笑う彼女に、尽は少し不満そうに唇を尖らせる。
甘えたようなその態度に、彼女は小首をかしげる。
「ねえちゃん……そんな時は、もっとこう気の効いた台詞のひとつ、言ってみてよ」
「気の効いた、台詞??」
悪戯っ子が何か企む時の表情を見せた尽は、彼女に手を伸ばす。手を伸ばして、彼女の体を力強い腕で引き寄せて。
そうして……抱きしめる。
「私が暖めてあげる、とかどう?」
「っ!」
耳元にかかる囁き声に、彼女はぞくりと体を震わせた。
「どうせ、今晩は冷えそうだし、一緒に寝よ? まだ冬の布団出してないから、寒いだろ、お互い」
彼女を腕から解放して、それでも、その手だけはしっかり逃げられないように彼女の腕を掴んでいる。
尽の提案に、彼女は顔を赤くして、睨みつける。
不安な心は、尽の言葉に態度に、既に消し去られていた。
不安が消えて、心には、愛しさだけが残った。
「ふたりで暖め合えば、冬布団はまだいらない。肉布団。うん、いい響きだね!」
「あ、あんた、それって……!」
「ナイスアイデア、でしょ?」
口や態度では怒ってみせるけれど……本当は、嬉しい。
尽に借りたフリースに残っていた、その温もりや香りは彼女に心地よさをもたらしたけれど、尽自身のそれに……彼女は、至福を味わうだろう。
どういう表情を取るか戸惑う彼女に笑いかけ、彼女の心を読んだように、尽は彼女を胸に引き寄せる。そっと、優しく。
「愛してる……」
低い声で囁かれる、心からのその言葉に、彼女も同調する。
暖かい尽の胸に抱かれて、尽を抱きしめて……この幸せな時が、破綻するその時まで……不安を忘れ、温もりの至福に包まれる。
風が冷たさを増し。
陽射しが日々緩い傾斜を辿って行き。
ふたりは、もっと、寄り添い合う。
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なんというか、ネタが息切れしてるようです(笑)。
だめですねぇ。
精進努力!
ウェブ拍手用にしようかとも思いつつ、更新する気力もないので、とりあえず、日記にUP。
ネタ的には以前から書きたかったものです。
本当はもっと能天気話にする予定でしたが、秋から冬はどうにもシリアス傾向のお話しか書けなくなるようです。
おばかなお話が書きたいです……ノリ出すと書けるんですけどね。
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{小さな秋}
日々陽射しが緩くなり、吹く風が冷たさを増す。
昼間はまだ暖かいけれど、朝と夜が冷え込んで……着る服にも困るような、そんな季節。
「寒い……」
昼間は暑いくらいで、半袖でも十分だったのに。
帰宅後、リビングに入ってきてぶるっと震える姉を見て、尽は自分の着ていたフリースの上着を投げて寄越した。
「俺、今から風呂入ってくるから」
自分の体より随分大きくてぶかぶかのそれに袖を通しながら、姉は無防備な尽の後姿を見た。
薄いTシャツ一枚越しに見る尽の背中は、真っ直ぐに伸び、すっきりと均整がとれていて綺麗だ。
「暖かい……」
尽の残した温もりが心地よく、尽の匂いに心まで温かくなる。
とても心地いいそれらに、彼女はふふ、と、幸福に笑った。
いつの間にか、男の人に成長している弟が嬉しくて……少し、切ない。
お風呂上りの尽のために、コーヒーを淹れる準備をしながら、彼女は己の禁断の想いを噛み締めた。
髪を拭きながらリビングに入ってきた尽が、淹れたてのコーヒーの匂いに笑顔を見せる。
「おー、さすがねえちゃん、気が利く」
その無邪気な笑顔が……とても、愛しい。
他愛無い会話、普段どおりのふたりの時間。
父が遠方に赴任となり母もついていってしまい、姉弟ふたりきりの時間には慣れたはずなのに……時々、とても、不安になる。
ふたりの幸せな時間が、いつか、破綻してしまうのではないかと。
「なぁ、ねえちゃん?」
夕食後の後片付けを終え、お茶を片手にやっとテレビの前に座った彼女に、尽は微笑みかける。
弟のようでいて……弟ではない、その表情。
「俺、湯冷めしてきたみたい。寒い」
「お風呂、早く入りすぎた? また入っておいでよ」
くすっと笑う彼女に、尽は少し不満そうに唇を尖らせる。
甘えたようなその態度に、彼女は小首をかしげる。
「ねえちゃん……そんな時は、もっとこう気の効いた台詞のひとつ、言ってみてよ」
「気の効いた、台詞??」
悪戯っ子が何か企む時の表情を見せた尽は、彼女に手を伸ばす。手を伸ばして、彼女の体を力強い腕で引き寄せて。
そうして……抱きしめる。
「私が暖めてあげる、とかどう?」
「っ!」
耳元にかかる囁き声に、彼女はぞくりと体を震わせた。
「どうせ、今晩は冷えそうだし、一緒に寝よ? まだ冬の布団出してないから、寒いだろ、お互い」
彼女を腕から解放して、それでも、その手だけはしっかり逃げられないように彼女の腕を掴んでいる。
尽の提案に、彼女は顔を赤くして、睨みつける。
不安な心は、尽の言葉に態度に、既に消し去られていた。
不安が消えて、心には、愛しさだけが残った。
「ふたりで暖め合えば、冬布団はまだいらない。肉布団。うん、いい響きだね!」
「あ、あんた、それって……!」
「ナイスアイデア、でしょ?」
口や態度では怒ってみせるけれど……本当は、嬉しい。
尽に借りたフリースに残っていた、その温もりや香りは彼女に心地よさをもたらしたけれど、尽自身のそれに……彼女は、至福を味わうだろう。
どういう表情を取るか戸惑う彼女に笑いかけ、彼女の心を読んだように、尽は彼女を胸に引き寄せる。そっと、優しく。
「愛してる……」
低い声で囁かれる、心からのその言葉に、彼女も同調する。
暖かい尽の胸に抱かれて、尽を抱きしめて……この幸せな時が、破綻するその時まで……不安を忘れ、温もりの至福に包まれる。
風が冷たさを増し。
陽射しが日々緩い傾斜を辿って行き。
ふたりは、もっと、寄り添い合う。
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なんというか、ネタが息切れしてるようです(笑)。
だめですねぇ。
精進努力!