梁浩遠と謝志強。2人の中国人大学生の成長を通して、現代中国と日本を描ききった力作。『ワンちゃん』に次ぐ期待の新鋭の第2作!
1988年夏、中国の名門大学に進学した2人の学生、梁浩遠(りょう・こうえん)と謝志強(しゃ・しきょう)。様々な地方から入学した学生たちと出会うなかで、2人は「愛国」「民主化」「アメリカ」などについて考え、天安門広場に行き着く――。
大学のキャンパスで浩遠と志強が出会った「我愛中国」とは。同窓の友人たちとの議論や学生生活を通して、現代中国の実像を丹念に描きつつ、中国人の心情がリアルに伝わってくる力作です。物語の後半では日本も登場し、国境を越えるダイナミックな展開から目が離せません。
随分話題になった本ですが…。期待していただけに…。私は、ワンちゃんの方が、感情の描き方とか描写に優れていたと思う。
主人公が男性だからかなあ。きっかり150ページほどの中編小説にしては、内容スケールが大きいだけに、例えば、「ワイルドスワン」や「大地」の読後、いたく感動したような、そんな感覚は、この少ない文章から得ることは出来ない。
でも、理想に燃えるのは、立派なことだけど。そのために、犠牲になっている家族や、周りの人がいるってこと、これは、中国の民主化に燃えた、ある青年の物語ではなくて、どんな環境にも言える事じゃないかな。
人は、そのことに気づきながら、何かを捨てることを学び、誰かを大切にしながら、結局はそうやって、自分なりにバランスを考えながら、生きていくんだって、メッセージが隠されています。
いくつか出てきた漢詩が良かった。
説是寂寞敵秋的清秋 (寂しい秋の清秋だろうか)
説是遙遠的海的相思 (遙か遠い海への思いだろうか)
假如有人問我的煩憂 (もしぼくの憂いを訊かれたら)
我不敢説出 的名字 (きっとあなたの名を口に出来ないのだろう)~載望舒
対酒当歌 人生幾何
譬如朝露 去日苦多
慨当以慷 憂思難忘
何以解憂 唯有杜康
青青子衿 悠悠我心
但為君故 沈吟至今 ~ 曹操
軽軽的我走了 (そっと、僕はもう行ってしまうんだ)
正如我軽軽的来 (そっとやってきたときのように)
我軽軽的招手 (軽やかに手を振り)
作別西天的雲彩 (西空の雲へのお別れの挨拶にする)
悄悄的我走了 (そっと、僕はもう行ってしまうんのだ)
正如我悄悄的来 (そっとやってきたときのように)
我揮一揮衣袖 (軽やかに袖を振り払い)
不帯走一片雲彩 (雲を一抹たりとも持ち去らないように) ~徐志摩
籠着心頭的愁的曙色 (心頭にたむろする憂いの夜明けの色)
被夏日的晨光劃破 (夏の朝日に引き裂かれ)
隔断時空的灰楼群 (時を隔てる灰色のビル群)
那 一辺 (その向こうには)
黄土高原嘗眩暈過的金色 (黄土高原を眩しく輝かせた金色)
溶載着那朝陽中狂馳的列車的血液 (朝日に駆け巡るあの列車を溶かした血)
若流淌着苦難的黄河 (さながら苦難が流れる黄河のようだ)
んー。どうしても変換できない2文字があって空欄になっています。。トホホ。