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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

楊逸「時が滲む朝」

2008-09-25 | 小説

梁浩遠と謝志強。2人の中国人大学生の成長を通して、現代中国と日本を描ききった力作。『ワンちゃん』に次ぐ期待の新鋭の第2作!

1988年夏、中国の名門大学に進学した2人の学生、梁浩遠(りょう・こうえん)と謝志強(しゃ・しきょう)。様々な地方から入学した学生たちと出会うなかで、2人は「愛国」「民主化」「アメリカ」などについて考え、天安門広場に行き着く――。
大学のキャンパスで浩遠と志強が出会った「我愛中国」とは。同窓の友人たちとの議論や学生生活を通して、現代中国の実像を丹念に描きつつ、中国人の心情がリアルに伝わってくる力作です。物語の後半では日本も登場し、国境を越えるダイナミックな展開から目が離せません。

 

随分話題になった本ですが…。期待していただけに…。私は、ワンちゃんの方が、感情の描き方とか描写に優れていたと思う。

主人公が男性だからかなあ。きっかり150ページほどの中編小説にしては、内容スケールが大きいだけに、例えば、「ワイルドスワン」や「大地」の読後、いたく感動したような、そんな感覚は、この少ない文章から得ることは出来ない。

 

でも、理想に燃えるのは、立派なことだけど。そのために、犠牲になっている家族や、周りの人がいるってこと、これは、中国の民主化に燃えた、ある青年の物語ではなくて、どんな環境にも言える事じゃないかな。

 

人は、そのことに気づきながら、何かを捨てることを学び、誰かを大切にしながら、結局はそうやって、自分なりにバランスを考えながら、生きていくんだって、メッセージが隠されています。

いくつか出てきた漢詩が良かった。

説是寂寞敵秋的清秋 (寂しい秋の清秋だろうか)

説是遙遠的海的相思 (遙か遠い海への思いだろうか)

假如有人問我的煩憂 (もしぼくの憂いを訊かれたら)

我不敢説出 的名字 (きっとあなたの名を口に出来ないのだろう)~載望舒

 

対酒当歌 人生幾何

譬如朝露 去日苦多

慨当以慷 憂思難忘

何以解憂 唯有杜康

青青子衿 悠悠我心

但為君故 沈吟至今  ~ 曹操

 

軽軽的我走了  (そっと、僕はもう行ってしまうんだ)

正如我軽軽的来 (そっとやってきたときのように)

我軽軽的招手  (軽やかに手を振り)

作別西天的雲彩 (西空の雲へのお別れの挨拶にする)

悄悄的我走了  (そっと、僕はもう行ってしまうんのだ)

正如我悄悄的来 (そっとやってきたときのように)

我揮一揮衣袖  (軽やかに袖を振り払い)

不帯走一片雲彩 (雲を一抹たりとも持ち去らないように) ~徐志摩

 

籠着心頭的愁的曙色 (心頭にたむろする憂いの夜明けの色)

被夏日的晨光劃破  (夏の朝日に引き裂かれ)

隔断時空的灰楼群  (時を隔てる灰色のビル群)

那 一辺         (その向こうには)

黄土高原嘗眩暈過的金色 (黄土高原を眩しく輝かせた金色)

溶載着那朝陽中狂馳的列車的血液 (朝日に駆け巡るあの列車を溶かした血)

若流淌着苦難的黄河 (さながら苦難が流れる黄河のようだ)

 

んー。どうしても変換できない2文字があって空欄になっています。。トホホ。

 

 

 



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