「クラブみたいなハコで、DJやダンサーみたいな男の子が接客してくれるホストクラブがあればいいのに」―すべては女性ライター・高原晶が、大手出版社の編集者・塩谷に漏らした何気ない一言から始まった。謎めいた美形の敏腕マネージャー・憂夜の助力を得て、二人は一風変わったホストクラブ“club indigo”を渋谷の片隅に開いたが、順調な経営とはうらはらに常連の客が殺され、店のナンバーワンに疑いがかかる。晶は個性豊かなホストの面々とともににわか探偵団を結成、常連客の死、少女誘拐、女子高生恐喝…。次々起きる難題を処理するため、ホストクラブ「club indigo」のオーナー・晶とメンバーたちが渋谷の街を奔走する。爽快でクールな探偵物語。
第十回創元推理短編賞受賞の表題作がシリーズ化。スタイリッシュでウイットあふれる新世代探偵小説.
この作家の作品は、初めてですが、都会のホストクラブを中心に起こる数々の人間模様。
何と言っても30代半ば?ライターの晶さんのさらっとした魅力。
考えが幼くて、単純なホスト達が可愛いし源氏名もバカっぽくて…。
「矛盾のない人間なんていないわ。私だってそう。毎日もがいてる。だから少しでも潔く生きようと思う。それだけよ」
性同一性障害のテツ。ニューハーフのなぎさママ。謎めいたいい男の憂夜、ライバル店の空也は(原色の娘)では小学5年生の女の子までレディとしての扱いでクールに決める。小柄だけどバネのある?犬マン。金髪のマッシュルームカットDJ本気(マジ)。
夫婦仲の悪い家庭で孤独の苦しみから思いで作りプリクラに夢中になる少女祐梨亜。
街角に立つナンパ師。一瞬の出逢いを求めて行き交う女の子たちのあとを追い、自慢のフレーズで声をかける。ノリはあくまでも軽く、口元には笑顔、胸に秘めるは下心と熱いプライド(センター街NPボーイズ)
歌舞伎町。この町で一番おいしい”エサ”男のスケベ心。そしてそれを主食とする風俗嬢、さらにその女から搾り取ろうとする男達。夜ごと展開される明朗かつ生臭い食物連鎖。
(夜を駆る者)
オーナールーム。新人ホストの挨拶の度今時の若者のライブ感あふれる言語感覚、悪意はないが的はずれな受け答えに直面し腹を立てたり脱力したり…。
BINNGOの謎の死。敵陣に乗り込む晶さん、分厚いホストアルバム。全員が上目遣いの潤んだ瞳、ナルシズムと媚びに溢れた表情でこちらを見つめている。中には力を込めすぎて目玉が飛び出しそうな子、まぶたの周辺の筋肉が引きつっている子、壁易し目をそらすと。なぎさママ「かわいい子ばっかりで決められない」
「親なんて、子供を放ったらかしか、無理矢理いいなりにさせようとする奴ばっかりじゃん。どっちもあたしらの話なんか聞いてくれない。だから全部捨てて、楽しいこと探すために東京に出てきたの」吐き捨てるようにいうハルカ。
あわや晶さんピンチー!!薬物打たれる寸前!!狙われた理由…
無茶な若作り、むだに勝ち気な性格。見るからに縁遠そうで、失踪しても誰も心配しないと思われた…。失礼きわまりないおまけ。。
とにかく、会話が楽しいし、テンポ良く…。そして…。
一人一人のちっぽけな人生の重みが切なくて、哀しいインディゴの夜。
続編も期待できるな!!