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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

2010-12-25 | 小説

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる

lash~名詞・鞭打つこと、(機械可動部品間の)遊び 動詞・激しく動かす、

lush~形容詞)豊富な、景気のいい、華麗な 名詞)酒、飲んだくれ

rash~形容詞)無分別な、軽率な、せっかちな 名詞)発疹、ふけでもの

rush~動詞)突進する、殺到する、向こう見ずに行動する 名詞)突撃、大多忙、忙殺、ご機嫌取り

a life

誰かの人生がどこかで…。すれ違って、過ぎていく。伊坂作品のスタンダードです。彼の作品は、全く違うすべての作品においても。気づかないくらいさりげなく。映画のワンシーンのようにつながっている登場人物が魅力ですが…。

lush life豊潤な人生。戸田の言う。今この瞬間に生きている誰よりも豊かに生きている。という自信たっぷりな人生?

正義だとか悪だとかそういうのは見方によって反転しちまうんだ~塚本

可能性は、起こりうるという意味ではゼロではない~豊田

「未来」は探し出すものなんだ。闇雲に歩いていてもやってこない。頭を使って見つけ出さなくてはいけないんだ~黒澤

オリジナルな生き方なんてできるわけがない。世の中にはルートばかりがあふれている。人生と言うみちには、標識と地図ばかりがあるのだ、道を外れるための道まである。森に入っても標識は立っている。自分を見詰め直すために旅に出るのであれば、そのための本だってある。浮浪者になるためのルートだって用意されている。

人生に抵抗するのはやめた。世の中には大きな流れがあって、それに逆らっても結局のところ押し流されてしまうものなんだ。巨大な力で生かされていることを理解すれば怖いもの灘内。逃げることも必要ない。俺たちは自分の意思と選択で生きていると思っていても、実際は「生かされている」んだ。

人生は道じゃない海だ。ルートも標識もない、茫洋たる大海原だ。俺たちはそこで、でかい魚にでもつかまって、大きな流れに身を任されている。~黒澤

痛みはない。きっと、もっと遅れて痛くなるのだろう。そういう意味ではリストラも似ていた。痛みと恐怖はずっと後になってやってくる。

行き詰っているとお前が思い込んでいただけだよ。例えば、砂漠に白線を引いて、その上を一歩も踏み外さないようにおびえて歩いているだけなんだ。周りは砂漠だぜ、縦横微塵に歩けるのに、ラインを踏み外したら進でしまうと勝手に思い込んでいる。~黒澤

一生は日々の積み重ねだろ。人生がリレーだったらいいと思わないか。人生は一瞬だが、永遠に続く。~佐々岡

人の一日なんてどれも似たり寄ったりだよ。俺たちの昨日も、別の人間の明日だって、重ねて一度に眺めてみればどれも一緒に見えるさ~黒澤

エッシャーの騙し絵。階段を上っても元の場所にもどっていく…。

一枚のポスターをさまざまな角度から、登場人物が思う。「何か特別な日に」

黒澤と佐々岡。二人の会話がよいな。

それぞれの人生を重ねて見ているのは、読者ですが。まあ、読みての見方が変われば、さまざまな読後感、思いもあるわけで…。

私は、伊坂作品に、泥棒が出てくるのが好きだわ。うん。

 



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