銀右衛門文庫の経済動向

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5月8日

2012-05-08 | 経済動向
東京市場は買い優勢となりそうだ。前日に今年最大の下落したことに加え、週明けの欧米市場が底堅い推移をみせたことでリバウンド狙いの買いが入りそう。ただ、外部環境に不透明感が否めないほか、主力業が底割れの様相を呈しているだけに戻りは限定的だろう。買い戻し一巡後に伸び悩む公算が大きい。日経平均の予想レンジは9000~9250円。

日経平均は4月4日(230円安)を上回り、今年最大の下げ幅を記録。2月14日(9052円)以来、約3カ月ぶりの安値で引けた。200日移動平均(9066円)、心理的な節目の9000円を割り込むと、さらに調整色を強める可能性があり警戒すべきだろう。日経平均は年初につけた安値から1割程度高い水準にあるが、個別ベースでは底割れしている銘柄が多いのが気掛かり。東証1部で年初来安値を更新したのは227と今年最多を記録し、業績不振の電機株(ソニー、パナソニック、シャープ、NEC)、原発停止で苦境の電力株の安値更新は当然としても、震災復興関連として一時期買われていた大手ゼネコン株、日銀による追加緩和で恩恵享受との見方もあった地銀株、ディフェンシブの代名詞である通信株なども安値更新。さらに、14時に本決算を発表した三井物産も今期業績予想が市場予想を下回る減益見通しだったことから失望売りを浴び、5カ月ぶりに年初来安値を更新するなど主力株で下値模索となる銘柄が相次ぐところに、現在の相場環境の厳しさがうかがえる。個人投資家に人気だったソーシャルゲーム関連株に至っては、消費者庁が特定のカードをそろえると希少アイテムが当たる「コンプリート(コンプ)ガチャ」と呼ばれる商法が違法と判断したとの報道を手掛かりに、グリー、DENAなどがストップ安となり、関連銘柄にも急落が相次いだことで投資家心理はさらに冷え込んだといえよう。全般的に売られすぎの感が強いものの、地合いが好転しない限り反発は期待しにくい。5月相場はGW明けの動向が相場のカギを握っているが、今年を含めて3年連続でGW明けに急落。2010年に至っては、欧州ソブリンリスクに端を発する金融不安に加え、中国の金融引き締め観測や朝鮮半島問題の緊迫化、ドイツの空売り規制などの動きで下げに拍車がかかり、月間下落率は11.7%とリーマン・ショック直後の2008年10月(23.8%)以来の大きさを記録した経緯がある。現在の相場環境は2010年の5月と似通う部分もあるだけに、今後の相場下落には注意したい。

7日のNY株式相場はまちまち。バフェット氏の発言でセンチメントが改善したほか、スペイン銀行発のシステミックリスク懸念が後退した。ダウ平均は前日比29.74ドル安の13008.53ドルで終了した。6日に実施されたフランス大統領選では緊縮財政に反対を表明するオランド氏が勝利したほか、ギリシャ総選挙でも緊縮財政策を受け入れた連立2与党が過半数を確保できない結果となり、欧州財政の建て直しが遅れるとの懸念が重しとなった。ダウ平均は売りが先行し、一時53.36ドル安の12984.91ドルまで下落した。しかし、著名投資家バフェット氏が、先週末や本日に一部株式を買い増したことを明らかにし、市場のセンチメントが改善した。また、スペイン政府が国内銀行のバンキアを含む銀行を救済する方向で動いていることから、システミックリスク懸念が後退し、米金融株に買いが入るなか、指数は一時先週末終値を回復する場面がみられた。ただし、引けまで勢いが続かす、結局はり優勢で終了した。NASDAQは前日比1.42ポイント高の2957.76ポイント、S&P500は同0.48ポイント高の1369.58ポイントで終了した。個別では、メキシコ当局へのわいろ問題が指摘されるウォルマートへバフェット氏が前向きな見方を示したことが好感され、同社株は0.8%上昇。また、バークシャーハザウェイ(クラスB株)は1.9%上昇した。

前日の日経平均は安値圏でのもみ合いに終始。GW期間中に欧米株式相場の急落、円高進行など外部環境が急速に悪化したことを受けて、リスク回避の動きが強まった。東証1部の値下がり銘柄数は1516(全体の90.5%)に達し、規模別株価指数はすべて下落。主力の国際優良株、資源関連株、金融株などが軒並みとなり、コンプガチャ規制報道を受けてソーシャルゲーム関連が急落し、グリーなどがストップ安となった。

日経平均株価は9119.14 -261.11円と大幅反落。日足均衡表では基準線が大幅に水準を切り下けるタイミングで下げが加速する格好となった。4月後半にかけての動きを中段もち合いとみると、3月高値からは、下げ、戻り、下げの3波目の動きが現在進行中。一方、昨年10月の戻り高値(9152円)や遅行線が当時の雲上限と接することで下値の節目としていったん意識されやすい。9300円あたりまで目先反発の可能性はあるが、それだけでは下値不安の現状は変わらない。4月のもみ合い高値9690円水準から、下げ、戻り、下げの小さな3波の動きになってくる展開が想定される。下値メドとしては、200日線(9066円)は既に下げに転じているため、下げている間に株価が一時的に下回る展開などが想定され、昨年2月高値を起点に7月高値を通る下値支持線上の8900円~8700円まで見ておいた方がよい。足元から急速に4月のレンジに戻るような動き、例えばRSI(9日)で代用すると3月高値からの初動の下げでつけた水準(3.5%水準)を切り上げ、50%水準を上回るような勢いで反発がないと、9500円以上に浮上するまでには少し時間がかかると思われる。目先の上値メドは9300円処。4/18付けた終値ベースの高値9667円を超えると、1万円処までが視野に入ってくる。週足では、上昇が続く26週線(9119円)がサポートになる一方、52週線(9158円)がやや下向きに転じたことで上値抵抗となりえるか。ここ1~2週間が正念場とみられる。変化日は5月15日、30日、6月6日、21日。