銀右衛門文庫の経済動向

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1月24日

2016-01-24 | 経済動向
東証1部の騰落銘柄数は値上がり1920/値下がり8と値下がりが極めて少ない記録的な動き。売り込まれていた銘柄ほど買われやすい地合いで不動産株が軒並み上昇、なかでも住友不動産や東京建物などが強い動きとなった。鉄鋼なども買われ、新日鉄住金やJFEHDなどが大幅上昇。材料のあったところでは、通期上方修正と増配を発表したミクシィが大幅高。上方修正発表のボルテージや今期大幅増益見通しに加え配当政策を見直したモバファクなど、ゲーム関連がにぎわった。特許査定通知の受領を発表したカルナバイオはストップ高まで買われた。一方、業績下方修正を発表したタムロンが逆行安となった。

神様仏様ドラギ様といった動きで、日本株は一気に息を吹き返した。先の緩和期待で上げるのは将来の果実先取りの懸念はあるものの、年初から日経平均は3000円超下げており、とりあえず止血材料が欲しかったところ。その点において今回の発言はまさに干天の慈雨となった。そもそも年初からの暴落で値ごろ感だけは相当強まっていただけに、何らかの材料があれば反転しやすい地合いではあったと想定されるが、足元の市場の動揺をECBが強く警戒していることが伝わったことは、今後もグローバル株式市場にとって下支え材料になると考える。今週2003年来の安値をつけたNY原油も切り返す動きとなっており、リスクオンの流れから買い戻しの動きが強まり下値不安が和らぐようなら、こちらも株高材料となる。日経平均は今年14営業日で上昇がやっと3日目であるが、きょうの1勝はこの先の流れを変える可能性もある。

【来週の見通し】 引き続き波乱の展開が続くと予想する。注目はFOMCと日銀金融政策決定会合の日米中央銀行イベントで、これらのイベントを前に市場は催促相場の様相を呈しやすく、大きく切り返すような展開も十分想定される。ドラギECB総裁発言が22日の大幅高をもたらした分、FRBや日銀への期待も高まりやすい。ただその分、市場の失望を誘うような内容となった場合、期待はく落から大きく売られる可能性もある。また、日米で企業決算が本格化する。株価の下落でバリュエーションは切り下がっており、決算に関してはポジティブ材料に対してより好反応しやすいと予想するが、先陣を切った安川電機や日本電産の決算後の株価反応は芳しくなく、決算が売り材料となる動きが多く出てくるようであれば、企業決算への警戒感が強まる展開も想定される。米国では「iPhone」の販売減速が懸念されるアップルの決算が相場のかく乱要因となりやすい。月末で日米とも経済指標も多く、マクロ、ミクロ材料満載のなか、振れ幅の大きな展開が続くと考える。

【今週を振り返る】 軟調な展開となった。原油価格が歴史的な下落となり株式市場の重しとなるなか、日経平均は週初から大幅安で1万7000円を割り込み売り優勢の展開。グローバル市場も不安定な動きが続いたことからリスクオフの様相が一段と強まり、昨年9月の急落時につけた安値や昨年来安値、1万6500円など節目を次々に下に抜け1万6000円割れにまで迫るなど下値を探る動きが続いた。ドル円が一時115円台に乗せるなど、急速な円高進行も市場の重しとなった。一方、ドラギECB総裁が3月の追加緩和の可能性を示唆したことが刺激材料となり、22日には941円高と急速に戻す場面も見られた。日経平均は週間では188円の下落となるも、週足では3週ぶりに陽線を形成した。