銀右衛門文庫の経済動向

昨今の経済動向をピックアップします



勧誘や営利目的ではありません
あくまで個人の趣向の範囲とご理解下さい

3月30日

2012-03-30 | 経済動向
東京市場は売り買い交錯となりそうだ。外部環境に不透明感がくすぶるものの、来期業績への期待も根強く強弱感が対立しそう。年度末を意識したドレッシング買いが相場の押し上げ要因になるとみられる。日経平均の予想レンジは10050~10250円。

足元で外部環境が悪化しているのは気掛かりだろう。米国では市場予想を下回る指標が相次いでいるほか、アジアでは主要国の株価指数が下値模索。28日は上海総合指数が今年最大の下げ幅を記録し、29日には台湾加権指数が今年最大の下げ幅を記録した。中国はIPO増加による需給悪化懸念、台湾はキャピタルゲイン税導入懸念が、今回の下げの主因とみられるが、中国の景気減速懸念もくすぶっているため根は深そうだ。また、東証が29日発表した3月第3週(19~23日)の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は13週ぶりに売り越しに転じた。一過性の可能性はあるが、売り越し・買い越しともに続く傾向がみられるので、外国人投資家の動向には細心の注意を払いたい。きょうで2011年度相場も終了するが、3月の月中平均(9956円)、心理的な節目の1万円は上回る公算が大きく、月末・年度末に相当するため、ドレッシング買いで再び震災当日の終値(10254円)越えを期待したい。そのためにも、寄り付き前に発表される2月鉱工業生産指数(速報値)もカギを握りそうだ。2月下旬に発表された1月鉱工業生産指数(速報値)では前月比+2.0%と市場予想(+1.5%)を上回って2月連続のプラスで着地し、製造工業生産指数調査では、先行きの2月、3月ともに+1.7%を見込まれるなど、タイの洪水被害に伴う生産の落ち込みから回復に向かっていることを改めて確認された経緯がある。今回の2月鉱工業生産の市場予想は+1.3%だが、これを上回る着地となり、先行きもプラス基調が続けば、来期の業績回復への期待感が高まりそうだ。

29日のNY株式相場はまちまち。ダウ平均は新規失業保険申請件数の結果を嫌気するも、下値では買いが入り前日比19.61ドル高の13145.82ドルで終了した。新規失業保険申請件数が市場予想より弱い結果となったことが嫌気され、ダウ平均は売りが先行し、一時93.54ドル安の13032.67ドルまで下落した。しかし、10-12月期GDP・確報値が市場予想通りの着地となったほか、25日移動平均線割れ水準では買いが入り、前日比プラスに転じた。 NASDAQは前日比9.60ポイント安の3095.36ポイント、S&P500は同2.26ポイント安の1403.28ポイントで終了した。 個別では、第4四半期決算が赤字に転落したベストバイは7%下落した。

前日の日経平均は一時100円近く下落する場面もみられたが、押し目買いが入り若干下げ渋った。東証1部の騰落状況は上昇800/下落751と値上がり銘柄数が若干多く、規模別株価指数は小型のみ上昇。主力の国際優良株が売られたほか、商品市況の下落を受けて資源関連株が軟調だった。その一方で、内需関連や中小型株が底堅く推移。グリーなどソーシャルゲーム関連株が大幅反発したほか、前日ストップ高のシャープは商いを伴って上昇した。

日経平均株価は10114.79円 -67.78円と続落。5日線(10116円)や転換線(10127円)を意識して小動きにとどまった。RSI(9日)は前日60.6%→49.3%に低下。3月7日の安値の際につけた47.7%水準を取引時間中に下回る場面があったが、かろうじて維持した格好。ただ、直近安値58.1%を下回っており、50%水準から反発できるかが注目される。あすは上昇が強くなる5日線を超えてスタートできるかが最初のポイントだ。27日に形成した長い陽線を上方に残した状態は、あまり好ましくない。今週で2010年4月高値を起点とした上値抵抗線処にほぼ達しており、2月29日高値、3月19日高値に続いて、3月27日高値が三つ目の小さな山にとどまる可能性も。上昇力が低下している証拠でもあり注意したい。下値メドは、25日線(9897円)~基準線(9848円)だが、直近安値水準である1万円の割り込み方次第では、調整色を強める展開もあろう。変化日候補は、3月30日、4月12日となる。一方、上値抵抗線で必ず止まるというものではなく、同線をそのままブレークするケースも考えられる。次の上値メドは、2009年11月安値~2010年4月高値までの過去の習性値幅2332円を2011年11月安値から上げた10467円処。そこまで一気に上昇するケースは、突破したはずの上値抵抗線(そのときは下値支持線)まで揺り返す展開が予想され、その際に10200円~10100円処までの押しにとどまれば、再び高値更新に繋がる展開を想定しておきたい。月足の一目均衡表では、3月は遅行線が2011年8月の急落で逆転(売りシグナル)して以来、初の好転(買いシグナル)のチャンスであるが、当時2010年2月の株価水準(高値10449円、始値10212円、終値10126円、安値9867円)や転換線(10016円)と接した水準を上に完全に抜け出せずに終わりそうだ。一方、4月の遅行線の位置は大幅高となった2010年の3月のタイミングとなる。それに準じて引き続き上値追いの展開が続くか、3月に遅行線が好転できなかった反動安につながるか。3月はあと期末の1日が残っており、大きく動く際には4月の方向性を決める重要なシグナルになるだろう。

トレーダーズウエブより

3月29日

2012-03-29 | 経済動向
東京市場は売り優勢となりそうだ。欧米株式相場の下落を受けて利益確定売りが続きそう。また、前日に今年最大の下落を記録した中国株式市場の動向を見極めたいとのムードが広がり、売り一巡後も安値圏でのもみ合いとなる公算が大きいだろう。日経平均の予想レンジは10050~10200円。

28日の東京市場では配当落ちの影響で大半の銘柄が下落するなか、自動車や電機など国際優良株の一角が配当落ち分を埋め戻して上昇したことが目を引いた。来期業績の回復期待が背景にあるとみられるが、自動車部品会社のクラリオンが発表した大幅な業績上方修正をみると、自動車を取り巻く環境は想定以上に回復している可能性がある。為替相場における円高修正の流れも継続するとみられるだけに、自動車株の上昇はしばらく続き公算が大きいだろう。電機株では、鴻海グループと資本業務提携を発表したシャープに買い注文が殺到し、ソニー、パナソニック、液晶関連などにも買いが波及する形となった。ただ、液晶やテレビを取り巻く環境の厳しさを勘案すると、自動車株のような来期以降の業績回復シナリオが描きにくく、国際優良株の中でも銘柄選別の必要がありそうだ。

28日のNY株式相場は続落。欧州債務危機への懸念や、予想より弱い2月の耐久財受注の結果が重しとなった。ダウ平均は前日比71.52ドル安の13126.21ドルで終了した。ダウ平均は売りが先行した。ECBの政策委員会メンバーであるドイツ連邦銀行のバイトマン総裁が、ユーロ圏救済基金を拡大しても債務危機の解決にはならないとの認識を示したほか、予想より弱い米2月耐久財受注の結果が重しとなった。また、「四半期末を控え、ポートフォリオのリバランスが発生したようだ」(市場関係者)との指摘も聞かれるなか、指数は一時128.47ドル安の13069.26ドルまで下落した。しかし、25日移動平均線では押し目が入り、下げ幅を縮小させた。NASDAQは前日比15.39ポイント安の3104.96ポイント、S&P500は同6.98ポイント安の1405.54ポイントで終了した。個別では、ユナイテッド・テクノロジーズが1.9%安、キャタピラーが3.5%下落、アルコアが2.3%安などと、景気に敏感な銘柄が売られた。

前日の日経平均は一時100円超下落する場面もみられたが、押し目買いが入り若干下げ渋った。東証1部の値下がり銘柄数は1116(全体の66.7%)に達し、規模別株価指数はすべて下落。権利落ちの影響でメガバンク、薬品、大手商社、通信など高配当利回り株が利益確定売りに押された。その一方で、鴻海グループと資本業務提携を発表したシャープがストップ高となったほか、Vテクなど液晶関連にも買いが波及。また、上方修正発表のクラリオンが商いを伴って上昇した。ソニー、トヨタなど国際優良株の一角もプラスとなった。

日経平均株価は10182.57円 -72.58円と反落。権利落ちとはいえ、前日の陽線の下方で戻りが鈍い印象もあったが、5日線(10118円)や転換線(10127円)処をサポートに小さな陽線を形成して取引を終えた。RSI(9日)は前日75.5%→60.6%に低下。直近安値58.1%や3月初旬に調整した際の47.7%水準を下回る動きには要注意だ。本日の動きで短期的な見方に変化はないが、5日線の上昇をサポートに高値更新が続くかが注目される。一方、2010年4月高値を起点とした右下がりの上値抵抗線や、2010年9月安値~2011年2月高値までの上昇幅2095円を2011年11月安値から上げた10230円処にほぼ達した。2月29日高値、3月19日高値に続いて、三つ目の小さな山を形成するだけにとどまる可能性もあるため注意したい。ただ、上値抵抗線で必ず止まるというものではなく、同線をそのままブレークするケースも考えられる。次の上値メドは、2009年11月安値~2010年4月高値までの過去の習性値幅2332円を2011年11月安値から上げた10467円処。そこまで一気に上昇するケースは、突破したはずの上値抵抗線(そのときは下値支持線)まで揺り返すシナリオとなるが、押し目が浅ければ10200円~10100円処から再び高値更新に繋がる展開を想定しておきたい。下値メドは、25日線(9875円)~基準線(9847円)、3月7日安値9576円。変化日候補は、3月30日、4月12日となる。月足の一目均衡表では、3月は遅行線が当時2010年2月の株価水準(高値10449円、始値10212円、終値10126円、安値9867円)や転換線(10016円)と接する水準が終値ベース(30日終値)での上値の節目になりやすい。当時の高値10449円と合致する日足ベースの節目10467円(上記)まで上値を伸ばすと想定した場合、3月中には到達するシナリオが浮上する。変化日候補の30日に向けて残り2日間の動向が注目される。


3月28日

2012-03-28 | 経済動向
東京市場は売り優勢となりそうだ。前日に今年最大の上げ幅を記録した反動や、配当落ちの影響もあり利益確定売りに押されそう。ただ、相場の先高期待は根強いとみられ、朝方の売り一巡後は押し目買いで徐々に下げ渋る展開が予想される。日経平均の予想レンジは10100~10250円。

きょうの東京市場は、3月期決算銘柄の配当・優待の権利落ち日に相当する。SQ算出日の日経平均終値がSQ値を上回ると、その後の相場が堅調となるように、権利落ち日には配当落ち分(今回は85円程度)を埋め戻して上昇すると、その後の相場が堅調になるアノマリーが存在する。昨年と一昨年の3月の権利落ち日は小幅安となったが、大半の埋め戻しに成功し、その後に騰勢を強めた経緯がある。今回も同様に埋め戻しに成功して、震災当日の水準をキープできれば、新年度相場への期待感がさらに強まりそうだ。その一方で、権利落ち分を超過する形で下落すると、リスクオンに傾き出したムードに冷や水を浴びせる形になりかねない。今後の相場動向を展望するうえでも、重要な日になりそうだ。

27日のNY株式相場は小幅反落。軟調な3月リッチモンド連銀製造業指数の結果などが重しとなった。ダウ平均は前日比43.90ドル安の13197.73ドルで終了した。ダウ平均は買いが先行し一時23ドル程度、上昇した。しかし、3月リッチモンド連銀製造業指数の結果が予想を下回ったことを受け、売り優勢に。指数は持ち直す場面がみられたものの、「引けにかけて、ダウ構成企業の17銘柄に4億ドル程度の売り注文が入った」(市場関係者)との指摘がきかれるなか、一時47.30ドル安の13194.33ドルまで下落し、当日安値圏で終了した。NASDAQは前日比54.65ポイント高の3122.57ポイント、S&P500は同19.40ポイント高の1416.51ポイントで終了した。個別では、堅調な第2四半期決算を発表したウォルグリーンは1.3%高。また、第1四半期決算を発表したレナーも4.7%上昇したほか、この動きにつれてDRホートンやビーザーホームズなどの住宅建設株に買いが入った。

前日の日経平均は先物主導で上げ幅を拡大し、約1年ぶりの高値で引けた。東証1部の値上がり銘柄数は1555(全体の92.8%)に達し、規模別株価指数はすべて上昇。地合い好転で、主力の国際優良株、資源関連株、金融株など幅広い銘柄に買いが入った。インサイダー問題で調整色を強めていた証券株が大幅高となったほか、米国の金鉱山で新鉱床確認と発表した住友鉱山が商いを伴って上昇。その一方で、オリエンタルランドなどの優待関連の一角が利益確定売りに押されたほか、規制懸念からグリーなどソーシャルゲーム関連が逆行安となった。

日経平均株価は10255.15円 +236.91円と大幅続伸。5日線(10099円)上にマドを開けて上値を伸ばす展開となった。後場からはさらに騰勢を強め、昨年7月の戻り高値(10207円)を更新。東日本大震災直後の急落で形成したマド(10254円)を埋め戻す格好で取引を終えた。RSI(9日)は前日63.6%→75.5%に上昇。直近の下げない力が溜まっていたところに、転換線(10127円)の強い上昇が株価を押し上げた印象だ。一方、2010年4月高値を起点とした右下がりの上値抵抗線や、2010年9月安値~2011年2月高値までの上昇幅2095円を2011年11月安値から上げた10230円処にほぼ達した。2月29日高値、3月19日高値に続いて、三つ目の小さな山を形成するだけにとどまる可能性もあるため注意したい。ただし、上値抵抗線で必ず止まるというものではなく、同線をそのままブレークするケースも考えられる。次の上値メドは、2009年11月安値~2010年4月高値までの過去の習性値幅2332円を2011年11月安値から上げた10467円処となる。そこまで一気に上昇するケースは、突破したはずの上値抵抗線(そのときは下値支持線)まで揺り返すシナリオとなるが、押し目が浅ければ10200円~10100円処から再び高値更新に繋がる展開を想定しておきたい。下値メドは、25日線(10099円)~基準線(9847円)、3月7日安値9576円。変化日候補は、3月30日、4月12日となる。月足の一目均衡表では、3月は遅行線が当時2010年2月の株価水準(高値10449円、始値10212円、終値10126円、安値9867円)や転換線(10016円)と接する水準が終値ベース(30日終値)での上値の節目になりやすい。当時の高値10449円と合致する日足ベースの節目10467円まで上値を伸ばすと想定した場合、3月中には到達するシナリオが浮上する。変化日候補の30日に向けて上昇基調が続くと見込むこともできよう。

3月27日

2012-03-27 | 経済動向
東京市場は買い優勢となりそうだ。欧米株高、円安進展など地合い好転を背景に主力株へ見直し買いが入りそう。ただ、直近高値(10172円)を試す展開は想定しにくく、買い一巡後は期末配当取りを意識した動きが予想される。日経平均の予想レンジは10000~10150円。

きょうの東京市場は、3月期決算企業の配当・優待の権利付き最終日を迎える。年初からの株価上昇で妙味は薄れているとはいえ、大手商社や医薬品、通信株などでは配当利回りが4%近い銘柄などが多い。これまで配当関連の主役だった電力株の現状を勘案すると、最終日に駆け込み的な買いが入る可能性はあろう。その一方、優待関連ではオリエンタルランドが2002年5月以来の高値をつけたほか、電鉄株でも昨年来高値圏にあるような銘柄が多く、やや過熱感が否めない状況。権利落ち後の利益確定売りを勘案すると、最終日の駆け込み買いはリスクが大きいかもしれない。外部環境はやや好転したとはいえ、不透明感がくすぶり続けており、高配当利回り銘柄や優待関連銘柄への注目度が高まりそうだ。

26日のNY株式相場は大幅続伸。FRB議長の発言を好感し、6月末以降も金融緩和政策が続くとの期待が高まった。ダウ平均は前日比160.90ドル高の13241.63ドルで終了した。ダウ平均は買いが先行。独3月Ifo景気期待指数と同現況指数の結果がそれぞれ市場予想より強い内容となったことが好感された。また、FRB議長が「失業率低下のためには緩和的な金融政策の継続が必要」と発言したことで、6月末で切れるオペレーションツイスト後も、金融緩和政策が継続するとの期待が高まった。指数は一時163.13ドル高の13243.86ドルまで上昇した。NASDAQは前日比54.65ポイント高の3122.57ポイント、S&P500は同19.40ポイント高の1416.51ポイントで終了した。個別では、中国政府と今後の投資や商標権などで協議したアップルは1.8%上昇した。また、11%の増配を発表したアメックスは2.5%高となった。

前日の日経平均は上げ幅を40円強に拡大する場面もみられたが、大引けにかけて伸び悩み。ほぼ安値圏で取引を終えた。東証1部の値下がり銘柄数は1073(全体の64.0%)に達し、規模別株価指数は大型のみ上昇。国際優良株や資源関連株の一角が堅調だった一方、インサイダー問題に揺れる証券株やメガバンクなど金融株が軟調で相場の重しになった。また、規制強化への懸念からソーシャルゲーム関連が大幅安となった。

日経平均株価は10018.24円 +6.77円と小幅反発。転換線(10030円)を意識して小動きが続いた。RSI(9日)は前日58.1%→63.6%に上昇。基準線(9770円)の上昇が続くなか、あすの転換線の強い上昇をきっかけに5日線(10077円)上に回復できるかが注目される。一方、ザラ場ベースの直近高値10172円(3/19)を超えたとしても、伸び悩む展開が想定される。2月29日高値、3月19日高値に続いて、それらに比較的近い三つ目の小さな山を形成するパターンとなる可能性があり注意したい。上値メドは、2010年4月高値を起点とした右下がりの上値抵抗線、2010年9月安値~2011年2月高値までの上昇幅2095円を2011年11月安値から上げた10230円処、2009年11月安値~2010年4月高値までの過去の習性値幅2332円を2011年11月安値から上げた10467円処となる。下値メドは、25日線(9815円)~基準線(9806円、27日見込み)、3月7日安値9576円となる。先週安値9999円を下回ると25日線までは早そうだ。変化日候補は、3月30日、4月12日となる。

クロージング

2012-03-24 | 経済動向
日経平均は心理的な節目の1万円を挟んでのもみ合いが予想される。足元で中国や欧州の景気減速懸念が台頭するなど、外部環境に不透明感がくすぶっており、日柄調整を余儀なくされる公算が大きい。週間ベースでの上昇が6週連続、週足ベースでの陽線が10週連続で途絶えるなど、年初からノンストップで上昇してきた相場に息切れ感が垣間みえるほか、相場の過熱感を示す東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は124.7%と「買われ過ぎ」とされる120%を上回る水準にあるなど過熱感は解消されていない。それだけに、3月限SQ値(9946.46円)や昨年3月の月中平均(9852円)程度までの調整が考えられるが、押し目買い意欲も強いとみられ下値は限定的だろう。その一方で、外部環境が好転に向かえば再び上値追いの展開も考えられる。昨年7月につけたザラ場ベースの震災後高値(10207円)を更新すれば、震災前日の水準(10434円)および心理的な節目の10500円回復も現実味も帯びてきそうだ。

来週は、27日が3月期決算銘柄の権利付き最終日で、翌28日は配当落ち日に相当する。年初からの相場上昇で配当利回りは下がったとはいえ、ドコモ、武田、大手商社など利回りが4%近い優良株が多い。例年は電力株が高配当利回りとして意識されていたが、原発問題の影響で電力株へ向かうはずだった資金はこれらの銘柄に振り向けられる可能性もあろう。商社株に関しては、足元の商品市況下落や中国の景気減速懸念などで調整しているだけに、投資妙味もありそうだ。また、優待関連の代表格である電鉄株やOLC株などにも駆け込み的な権利取りの動きがみられるかどうか注視したい。指標面では、30日発表の2月鉱工業生産指数(速報値)にも注目されよう。2月下旬に発表された1月鉱工業生産指数(速報値)は前月比+2.0%と市場予想(+1.5%)を上回り2月連続のプラスで着地し、製造工業生産指数調査では、先行きの2月、3月ともに+1.7%を見込まれるなど、タイの洪水被害に伴う生産の落ち込みから回復に向かっていることを改めて確認された経緯がある。2月鉱工業生産の市場予想は+1.3%で、これを上回る着地となれば来期の業績回復への期待感が高まりそうだ。さらに、30日には2月自動車生産の発表もされるが、自動車を取り巻く環境が劇的に好転しているため、この発表を手掛かりに再び自動車株に買いが入る可能性もあろう。