銀右衛門文庫の経済動向

昨今の経済動向をピックアップします



勧誘や営利目的ではありません
あくまで個人の趣向の範囲とご理解下さい

1月31日

2012-01-31 | 経済動向
東京市場は売り優勢となりそうだ。高値警戒感が意識されるなか、欧米株安や円高進行、企業業績に対する懸念などから弱含みの展開が予想される。日経平均の予想レンジは、8650~8800円。

相場の過熱感を示す東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は118.29%と、買われ過ぎとされる「120%」を若干下回ったとはいえ、依然として過熱感がある水準だけに日柄調整は続きそうだ。また、東証1部の売買代金が前日比-14.5%の9583億円と1兆円の大台を割り込み、日経平均の日中値幅も58円に留まるなど、商い・値動きともに乏しくなりつつあるのも懸念されよう。足元で決算発表が相次いでいるが、30日もザラ場に決算発表と同時に通期予想を下方修正したJFE、積水化などが売られた。大引け後にも富士フイルム、京セラなど下方修正が相次いでおり、ネガティブな反応を示しそう。31日は決算発表の1次ピークで、ザラ場・大引け後を通じて決算発表が多いが、下方修正ラッシュとなる公算が大きく、相場の重しになるとみられる。なお、寄り付き前に12月鉱工業生産が発表される。11月実績は前月比2.7%減となったが、タイ洪水による落ち込みが解消されたことで3%程度の増加が見込まれており、これを上回るか否かも注目されよう。

30日のNY株式相場は小幅下落。独財務相の発言やポルトガル国債の動向が重しとなる場面があったものの、ギリシャの債務交換協議が進展しているとの期待が下支えした。ダウ平均は前日比6.74ドル安の12653.72ドルで終了した。独財務相が欧州はギリシャを支援する用意あると示す一方で、ギリシャは以前に合意した一連の緊縮財政改革を進めなければ、同国への第二次支援を実施しない可能性があるとの考えを明らかにしたことを受け、欧州債務懸念が意識された。また、ポルトガル国債は、同国の格下げを受け一部ファンドが月末にポートフォリオから外す動きがでるとの観測により売られたことも重しとなり、一時131.05ドル安の12529.41ドルまで下落した。しかし、下値で買いが入るなか、パパンドレウ前ギリシャ首相が債務交換協議で重要な進展があったと発言。欧州債務懸念が後退し、下げ幅を縮小させた。NASDAQは前日比4.61ポイント安の2811.94ポイント、S&P500は同3.31ポイント安の1313.02ポイントで終了した。個別ではGSが投資判断を引き下げたバンカメは3%安となった。一方、インドで事業を展開する方針を発表したスターバックスは1.3%上昇した。


1月30日

2012-01-31 | 経済動向
日経平均は3日続落となり、8800円台を割り込んだ。折からの高値警戒感に加え、欧米株式相場の下落、円高進行などが重しとなったようだ。相場の過熱感を示す東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は118.29%と、買われ過ぎとされる「120%」を若干下回ったとはいえ、依然として過熱感がある水準だけに日柄調整は続きそうだ。また、東証1部の売買代金が前日比-14.5%の9583億円と1兆円の大台を割り込み、日経平均の日中値幅も58円に留まるなど、商い・値動きともに乏しくなりつつあるのも懸念されよう。足元で決算発表が相次いでいるが、30日もザラ場に決算発表と同時に通期予想を下方修正したJFE、積水化などが売られた。大引け後にも富士フイルム、京セラなど下方修正が相次いでおり、ネガティブな反応を示しそう。31日は決算発表の1次ピークで、ザラ場・大引け後を通じて決算発表が多いが、下方修正ラッシュとなる公算が大きく、相場の重しになるとみられる。なお、寄り付き前に12月鉱工業生産が発表される。11月実績は前月比2.7%減となったが、タイ洪水による落ち込みが解消されたことで3%程度の増加が見込まれており、これを上回るか否かも注目されよう。

外部環境にやや暗雲が漂い始めている。米商務省が27日に発表した10-12月期GDP(季節調整済み、年率)速報値は前期比+2.8%で、市場予想(3.0%増)を下回った。7-9月期(+1.8%)より伸びたものの、在庫投資が最大の押し上げ要因になっており、GDPから在庫を控除した実質最終需要は+0.8%(7-9期は+3.2%)へと大幅に減速した。マクロ指標の好転を背景に、NYダウは一時リーマン・ショック後の戻り高値を更新するまで上昇していただけに、調整に転じても不思議ではなかろう。また、格付け会社フィッチが27日にイタリア、スペインを含むユーロ圏5カ国の国債の格付けを引き下げると発表。ユーロ圏3位の経済大国であるイタリアの格付けを従来の「A+」→「A-」、スペインとスロベニアを「AA-」→「A」にそれぞれ2段階引き下げ、キプロスとベルギーは1段階の格下げした。今回格下げされた5カ国の見通しはいずれも「ネガティブ」で、今後さらなる格下げの可能性もあるとしている。ムーディーズも昨年末に格下げを示唆していただけに、近いうちに発表がある可能性がありそう。欧州では、ギリシャのデフォルト回避に向けた債務削減交渉が大詰めを迎えており、この行方にも注意を払いたい。

クロージング

2012-01-27 | 経済動向
日経平均は高値警戒感から、75日移動平均(8588円)、25日移動平均(8540円)程度までの調整が予想される。相場の過熱感を示す東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は、27日に124.05%と半年ぶりの高水準に達した。騰落レシオは、一定期間の値上がり銘柄数の合計を値下がり銘柄数の合計で割った指標で、100%が中立の状態。120%以上で「買われ過ぎ」、70%未満で「売られ過ぎ」と言われる。現状は、短期的に天井圏にあることに違いなく、日柄調整を余儀なくされる公算が大きいだろう。相場格言に「節分天井・彼岸底」があるが、今年はその格言通りとなるかもしれない。仮に、外部環境が良好ならば戻り歩調を続ける可能性もあるが、その際は日経平均が心理的な節目の9000円、昨年10月末の戻り高値9152円などが意識されよう。投資主体別売買動向では、外国人投資家の買い越し額が徐々に増加しており、外国人投資家の売買動向に引き続き注目したい。

来週は欧州市場の動向が相場のカギを握りそうだ。ECBによる市場への大量資金供給で、欧州金融機関の資金繰り不安がひとまず後退したとはいえ、南欧諸国の情勢次第では再び債務不安が台頭する可能性がある。欧州では、2~4月に国債大量償還を控えているが、その第一弾が2月1日のイタリア国債償還(258億ユーロ)で訪れ、これを無事通過できるかが焦点となりそう。また、ギリシャのデフォルト回避に向けた債務削減交渉の行方も相場を左右しそうだ。米国では、FRBが異例な低水準の政策金利を従来から1年以上先延ばししたことなどを背景に上昇トレンドが継続しているが、NYダウが昨年4月末に付けたリーマン・ショック後の高値を上回ったことで、目標達成感が台頭しても不思議ではなかろう。週末の雇用統計などが重要なマクロ指標が相次いで発表され、これらが市場予想を上回るか否か注目される。アジアでは、旧正月明けの中国市場の動向が注目されそう。中国国家統計局が17日に発表した10-12月期GDPの減速で、金融緩和への期待感が高まっただけに当局の動きを注視したい。

1月27日

2012-01-27 | 経済動向
東京市場は売り優勢となりそうだ。米国株の下落や週末要因などから利益確定売りに押されそう。折からの高値警戒感に加え、企業業績の悪化も重しになりそうだ。日経平均の予想レンジは、8700~8870円。

相場の過熱感を示す東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は、26日に121.3%と半年ぶりの高水準に達した。騰落レシオは、一定期間の値上がり銘柄数の合計を値下がり銘柄数の合計で割った指標で、100%が中立の状態。120%以上で「買われ過ぎ」、70%未満で「売られ過ぎ」と言われている。120%超の状況がしばらく続く可能性はあるが、相場が短期的に天井圏にあることを示唆するものだけに留意したい。ちなみに、12日続伸していたコマツが大幅反落したのも、相場が天井圏にあることのシグナルかもしれない。足元で決算発表が本格化しているが、発表後の反応はあまり芳しくないようだ。25日の大引け後に決算発表したファナックは、好決算ながら10-12月期業績の伸びが鈍化したことで利益確定売りに押され、26日のザラ場中に決算発表した信越化学も決算直後に売られた。直近の相場上昇で好決算ならば材料出尽し、芳しくなければ失望売りと、良し悪しに関わらず利益確定売りの材料になるように見受けられる。なお、26日の大引け後には、任天堂、NEC、日立建機などが相次いで下方修正を発表しており、相場全体に利益確定売り機運を強める可能性がありそうだ。

26日のNY株式相場は反落。上院で連邦債務上限の引き上げ投票が否決されたことから、米財政状況について懸念されことが重しとなった。ダウ平均は前日比22.33ドル安の12734.63ドルで終了した。予想を上回る12月耐久財受注の結果を好感し、ダウ平均は買いが先行。一時129.65ドル高の12841.95ドルまで上昇した。しかし、上院で連邦の債務上限を1.2兆ドル引き上げることについての投票が始まると、直近の高値圏で推移していることもあり投資家の慎重姿勢から、次第に利益確定の売りが優勢に。上院での投票結果が否決されると、前日終値を下回ったが、堅調な10-12月期決算を発表したキャタピラーなどが下支えし、小幅安の水準で終了した。NASDAQは前日比13.03ポイント安の2805.28ポイント、S&P500は同7.60ポイント安の1318.45ポイントで終了した。10-12月期決算を発表した企業ではキャタピラーは2.1%高となったが、慎重な見通しを発表したAT&Tは2.5%安で終了した。

1月26日

2012-01-26 | 経済動向
東京市場は売り買い交錯となりそうだ。FRBがFOMC後の声明で、異例の低金利の延長を決定したことやアップル好決算などを背景に、NYダウが約8カ月ぶりの高値をつけたものの、日経平均はこれを先取りするような形で上昇しており、反応は限定的か。短期的な過熱感が強まっており、上値の重い展開が予想される。日経平均の予想レンジは、8750~8950円。

足元で円安が進展しているのは、欧州債務問題に対する過度な不安感の後退や米国の良好なマクロ指標・主力企業の好決算などポジティブ要因に起因するものだが、日本の財政を不安した側面もありそう。財務省が25日に発表した12月貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が2051億円の赤字(前年同月は7195億円の黒字)。3カ月連続の赤字で、市場予想(1641億円の赤字)以上に悪化した。さらに、2011年の通年では2兆4927億円の赤字で、第2次石油危機後の1980年以来(31年ぶり)の赤字転落となり、赤字額も80年に次いで過去2番目の大きさを記録した。東日本大震災や円高の影響で輸出が落ち込む一方、福島第1原発事故後の全国的な原発停止の影響で、火力発電用の燃料輸入が急増したことなどが響いた。震災という一時的な要因が大きいとはいえ、歴史的な円高などで日本の輸出競争力は低下しており、貿易赤字が続くとの見方は多い。さらに、財務省が明らかにした国債や借入金などを合計した「国の借金」が、2012年度末に過去最大の1085兆円規模になる見込み。国家予算は2009年度以降、新規の国債発行額が税収を上回る事態が続くなど火の車状態。IMFは、日本が2015年までに消費税率を10%に引き上げることを目指していることについて、公的債務の縮小が不十分として財政再建に向けた一層の努力を促したうえで、「日本国債の金利が急上昇する可能性は短期的には低いが、いつまでもその状態が続くとは限らない」と言及しており、欧州債務問題は対岸の火事ではない。現在は歴史的な円高水準にあるため、円安進展は好材料と受け止められるが、日本の財政不安を主因とした円安ならば歓迎はできないだろう。なお、24日付「米ウォールストリート・ジャーナル」が、「輸出立国、日本の時代の終わり」というタイトルの記事を1面に掲載し、歴史的な円高が続くなか、企業の海外移転が加速し貿易赤字を抱える状態が続けば、日本は巨額の債務の返済に苦しむ事態に直面する恐れがあると指摘していることも留意したい。