赤い水性の部屋

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The legendary tale of a brave heart   その1

2016年02月09日 | Weblog
 だんだん記憶が薄れてきます(笑)

 3 ある英雄の記憶 ~「虹の国と氷の国」より (西村 友)

 指揮者である西村友氏の作品です。彼の作品を初めて聞いたのは一昨年のバンド維新での『シュレーティンガーの猫』でした。ご本人の指揮による演奏も聞きましたし、ご本人のお話も聞きました。演奏に取り上げたい良い曲で、実はコンクールの候補曲でした。結局その年は『カントスソナーレ』でしたが・・・
 演奏を担当した学校の先生からもいくつか情報を聴いていましたので、なんとなく作者のパーソナリティーも理解できますし、今回の曲も納得のいく作品です。
 曲にまつわるエピソードや『虹の国、氷の国』については、全日本吹奏楽連盟の会報の通りですので、ここでは省き、実際い演奏してみた時の考えたことをまとめていきたいと思います。(正確に言うと、今日、初めて会報を読んだのです)

 冒頭トランペットのファンファーレで始まります。一瞬イメージしてしまうのはコレ
 華やかな明るい・・・というよりはEroicamenteの通り、ヒロイックにさすらいの旅人、荒野の英雄といった感じです。a-mollでいいのでしょうか?荒野をさすらう英雄がお城の城門の前に立つと、扉が開き、民衆の歓声に迎えられる・・・Aに入ります。英雄のEs-durです。
 Aの三小節目のティンパニとスネアドラムがリズムが違うので、慣れないと「?」どっちか間違えたの?って思いました。

あと、この曲は3rdトロンボーン、恐らくバストロンボーンを想定して書いていると思います。きっとバストロンボーンと書くと、バストロンボーンでない団体は失格になってしまうがために配慮されたのかと思います。Esクラリネットの効果が絶大だと思いますが、ピッコロ、グロッケンとの音程には常に配慮が必要だと思いました。Aに入ったのもつかの間、4拍子+3拍子の変拍子が始まり、近親調のc-mollが続きます。

 Bのテーマ、主人公のテーマは9・6・7拍でしょうか?演奏者で意見を出してみたり、歌詞を入れてみたりしてみるとバンドの個性が出るように思います。低音がcの持続(バッソオスティナート)ですが、当然ブレスをします。ブレスの音が短くなったり飛び出したりしないよう、交代でブレスしつつ、それがわからないように練習する必要があります。

 Cから木管群に引き継がれます。トロンボーン、ユーフォ、ファゴットで奏でる対旋律も入ります。バランスを工夫して、調和のとれた音色を工夫したいですね。決して個々の音が目立ったり飛び出すことのないように気を付けましょう。低音群はcとgのパワーコードで、曲全体が重厚な雰囲気になります。Dの前のrit.の程度も指揮者によると思います。

 Dで転調します。c-mollからのg-mollですね。三連符を中心とした音楽です。これも連想しますね。他にもスーパーマンのテーマ、火星「戦いの神」など、三連符の打ち込みは戦闘のイメージです。モチーフは別にして、演奏上の注意ですね、はい。例えばスネアドラムはどうでしょう。自分が演奏するとすると、合奏の中で自分だけがこの動きなので、やりにくさを感じると思います。タンバリンを強烈に連打するとこの2パートはケンカしてしまうのではないでしょうか?何らかの工夫や狙いを持って演奏する必要があります。楽譜通り正確に演奏したとしても、それは何にもならない、逆に邪魔なうっとおしいものになってしまいます。打楽器パートにはセンスが求められますね。上手さの定義を考えさせられます。

 Fで戦士の悲哀に満ちたフレーズ。弦楽器でビューンと演奏するの所でしょうが、吹奏楽なので無理です(笑)そうなると、ビブラートの掛けられるサックスやフルートでメロディーを演奏したいですね。クラリネットにも連符をさせればホルンも少し楽なのにと、経験則で思ってしまいました、そのホルンの三連符、常に3パートが演奏するように割り振られているということは、抜ける休符で厚みが変化しないようにという要求があると思います。いずれにしても、この場面、想像しているのと実際のバンドの音に少しギャップが出るはずです。クラリネットが12人とかの大編成なら別ですが・・・あっ、この曲は大編成だからいいのか。
 ちなみにこのフレーズ、『逆襲のシャア(三枝成彰)』の5:49あたり、『ブラックジャック(宮川彬良)』の5:28あたり、両方を演奏したことのある自分にとっては、初めてという感じではありませんでした。ちなみに宮川さんのブラックジャックの演奏のアシスタントをやったことがあるんですよ、ボク。逆シャアの時も最初のバンド維新でご本人の解説を受けています。

 Gで戻りますが、Bとは違います。和声も違います。コピペではありません(笑)ここにこだわって演奏してもらえると、聞いているほうは嬉しくなります。が、やはりスネアドラムは孤独です。同じメロディでも和声で雰囲気・表情はガラッと変わります。これについてはこの本の9ページ参照。


 Hは難しいですね。特に三小節目のバスがバシッとハメるには至難の業かと思います。アッチェレランドするとかっこいいんだけどな、乱れちゃうか・・・Hが乱れるとIがおかしくなる・・・←バシッ、バシッ やめなさい!!(内野風に)

 Iはオーボエのソロの中間部。戦士の休息、文字通り『愛』のシーン。tenerezzaという見慣れない指示です。調べてください、はい。伴奏は、はい、もうハーモニー合わせですね。もちろん倚音、繋留なども考えて、タテヨコ音程だけにならないように、抑揚のあるロマンティックな音楽を表現しましょう。前出の天野先生の本の第6章です。JBCバンドスタディにもこのことについては書かれています。ここの楽語はMalinconiaです。戦士とは孤独で悲しいものなんですね。現場的視点ですが、フィンガーシンバルが間に合わないかもしれません。セッティングに工夫が必要かと思います。生徒任せではなく、指導者も気を配ってほしいツボです。

 Jに入ると少し変化します。そう、Pochiss. piu mossoです。恥ずかしながら初めて見ました。合唱ではよく出てくるそうで、学校でよく歌われる『信じる』に出てくるようです。ポチッと調べてみましょう。ということは、ウチの学校の3年2組の期末試験には出ていた可能性がありますね。
 美しい旋律だと思います。ファゴットの役割が大きいですね。臨時記号が多いので、3パートの音のバラつきをよく整えて、やはり誰かが飛び出すことのないようによく練習したい箇所です。タンバリンはどうやってタイにするのでしょうか(笑)

 Kも同じく声部のバランスが難しいです。個々の奏者の力量、パート間の力量の差が出ないようにするには、異学年で構成されるであろう中学のバンドにとっては大変な作業かと思います。トランペットは音が高いです。課題曲にGは出ない・・・んじゃなかったでしたっけ?逆に飛び出過ぎないないように、よくコントロールする必要があります。また、テナーサックス・アルトクラリネット・ユーフォニウムのラインのように、同じ声部なので動きが違うので練習の作業工程が余計に手間がかかるのも難点で、初見合奏の先日では、それをチェックして、整えている時間はありませんでした。

 さて、癒された戦士は再び戦場へと向かいます。守るもののために・・・なんて感じでLへ入るのは次回。戦士は癒されましたが、筆者は疲れました(笑)

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