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 台山原発 その後の情報

2021年06月16日 | 未分類
 放射性物質(希ガス)が環境に漏れているとフランス電力がアメリカに報告した問題で、その後の報道を追ったが、中国側の情報統制が強力で、なかなか情報が伝わってこない。

 しかし、希ガスはクリプトン85やキセノン133ばかりではない。一番問題なのはヨウ素131である。ヨウ素は周期律表の希ガスに含まれないが、高温で液化プロセスを経ずに昇華する性質から、実際には希ガスとしての動態がある。

 ヨウ素131が環境に拡散すると、住民が、それを甲状腺に取り込むことにより、甲状腺障害や甲状腺癌を発症する可能性がある。この場合、子供たちは数年後に発症、大人たちでは10年程度の潜伏期間後の発症になる。
 多発性硬化症のような免疫障害にも関係がある。フクイチ事故後、千葉県では多発性硬化症が5倍になった。

 http://www.godoshigen.co.jp/learn/iodine/

 原発から希ガスが漏洩することの意味は、核燃料被覆管に破損が生じたことだ。経験上は、中性子と超高圧が招いた劣化、ピンホールが多いが、経年クリープ現象によるクラックも報告されている。
 核燃料被覆管ジルカロイの内圧は運転中、15.5Mpa=150気圧で、加圧水型原子炉内の圧力に拮抗するように設計されていて、これほどの超高圧なので、使用済み核燃料ユニットを大気中で傷つければ内部の放射能が爆発的に噴出して大変なことになる。
 核燃料被覆管ユニットは、被覆管の膨張クリープを拘束する構造になっている。

 私は台山原発原子炉のEPRという形式を知らないのだが、加圧水型の一種であることから、運転を重ねるほどに希ガス類が高圧になって蓄積することは共通で、これには、希ガス以外にも、たくさんの核種がガスとして含まれる。
 一次冷却水を超高圧効果で300度以上に加熱し、これを熱交換器に送って二次冷却水を蒸気に変えてタービンに送る構造は変わらないだろう。

 加圧水型は密封系なので、外部に冷却水や蒸気を排出しないため沸騰水型のような巨大煙突も必要としない。しかし、高圧のため原子炉内の劣化が激しく、核燃料被覆管のピンホールができやすいため、一次冷却水は放射能に汚染されやすい。
 希ガス類が原子炉に溜まると熱対流に悪影響を及ぼすので、これをベント=外部放出する構造を持っている。

 今回は、そのベントが問題になっている。この原子炉を設計製造、運用しているフランス電力公社が、フランス国内の放射能基準の数倍の放射能が外部で検出されていることを確認し、アメリカに通報し、援助を求めた。
 それは、中国側が、もし、これで原子炉を停止させると、昨年の豪雨禍以来、電力不足傾向が続く広東省の工業地帯への電力供給を悪化させることを懸念し、環境放射能基準を勝手に数倍に緩和して、発電を停止させないようにしたと報道された。

 以下は、フランス報道紙 reporterre より
 https://reporterre.net/Fuite-radioactive-a-l-EPR-de-Taishan-la-Chine-se-tait

 6月8日、EDF(フランス電力)は、30 %を所有している台山原発EPR原子炉からの放射能漏出のため、米国当局に緊急技術支援を要請した。
 専門家は、特に中国の原子力安全当局の独立性について疑問に思っている。

 台山原発における「 差し迫った放射線の脅威 」 これは、EDF内部文書が、米国のCNNによる報道によって明らかにされた。
 6月14日、EDFは、中国南部にあるこのプラントの2基の原子炉のうちの1基に漏れがあることを米国当局に警告した。
 台山原発はEDF によって建設され、30 %が所有されており、2018年に世界で最初に稼働を開始したEPRタイプの原子力発電所だ。

 このリークの重大性についてはまだ何もわかっていないが、この事件は深刻であると見なされたため、Framatomeは米国エネルギー省に通知することを決定した。
 フランスの会社は、中国での米国の技術支援から「緊急に」利益を得ることができる免除を取得しようとしていた。アメリカ当局がFramatomeから連絡を受けた6月8日以来、彼らの国家安全保障評議会のいくつかの会議が開催された。フランス政府にも警告が発せられ、中国当局との会議が始まった。

 原子力エネルギーの専門家であるイヴ・マリニャックによれば、この事件はおそらく原子炉容器内の燃料棒の非密閉に関連している。
 「これはせいぜい数万本のうち数本の被覆管にしか影響しないが、漏れを示す被覆管に含まれる放射能(キセノンやクリプトンなどの希ガスを含む)が発電ユニットに広がるには十分だ。反応器の一次回路全体 」と説明した。

 (中国当局が原子炉ベントを行ったことにより)「48時間以内にフランスでは原子炉閉鎖を引き起こしたであろう汚染のレベル」が起きていた。
 漏れが発生した場合、これらのガスは通常、バッファータンクに送られ、できるだけ遅く(ゆっくり)環境に放出されるとYvesMarignac氏は述べている。

 これらの放出が特定の閾値を超えると、原子炉を停止することが計画されていた。台山ではそうではなかった。
 CNNが相談したFramatomeの文書によると、中国の核安全当局は、住民の被曝リスクにもかかわらず、(電力需要のため)供給停止を回避するため、プラント周辺の放射線検出の許容限界を大きく引き上げた。

 この放射能濃度は、フランスの基準に基づいてモデル化された被曝防止制限量の2倍以上になる。
 原子炉は少なくとも、(問題発覚後)数週間稼働しており、48時間以内にフランスで操業停止を引き起こしたであろうレベルの汚染が続いた 」とイヴ・マリニャックは説明した。

 それにもかかわらず、米国当局は安心したいと考えている。バイデン政権によると、台山原子力発電所はまだ「 危機レベル 」に達していないと認定した。
 これらの文書の開示後にCNN、FRAMATOMEも「入手可能な情報によれば、原子炉ユニットは、操作性と安全性が保たれている 」。との当局の説明が行われた。
 「一次回路における希ガスの濃度の増加 」台山原子力発電所の問題は「 原子炉の運転手順によって知られ、研究され、予見された現象 」であると公表した。

 この現象は知られているが、特定の希ガスの濃度が通常よりも高い場合、エネルギー分野のコンサルタントであり、世界原子力産業ステータスレポートの編集者であるマイケルシュナイダーは、詳細な情報を必要とするため、臨時取締役会の開催を要請することを決定した

 この事件は、4月5日、「特殊作戦」中 に台山で放射性ガスが異常に放出されたことが検出された直後に発生したと、マイケル・シュナイダーは語った。
 この際に排出されたガスの量は年間制限の0.00044%にしか達していなかった。
 このイベントが、今回の問題につながった可能性がある。

「台山サイトで何が起こっているのかを知るのは必ずしも簡単ではない 」
 中国当局は、リークに対処するためにどのように選択したかについてまだコメントしていない。
  Framatomeを信じるなら、規制の制約を緩和することを決めたかもしれないという事実にもかかわらず、Yves Marignacは次のように質問します。
 「安全性の問題に触れるとすぐに、これは明らかに良い選択肢ではない。これは中国当局の一般的な慣行に対応しているが、彼らの行動に否定的な光を投げかけている。
「彼によれば、この決定は、5月下旬以降広東省で観測された電力不足によって動機付けられた可能性があり、多くの企業が活動を停止せざるを得なかった。

「確かなことは、透明性とチェックとバランスがはるかに少ない国では、原子力安全当局が監視していないこと、または少なくとも5カ年計画の目的が 優先されることを恐れるあらゆる理由があるということです安全性」と、Sortir du NuclearNetworkの通信責任者であるCharlotteMijeonは述べている。

  2014年にブルームバーグ機関からの記者とのインタビューで、原子力安全庁の国際関係のディレクター(ASN)ステファンPailletすでにそれがあったと説明し、「 それは台山サイト上で行われるかを知ることは非常に簡単ではない、常に 」。
 フランスは、次のように付け加えました。 EPRの管理に関して中国人とは定期的な関係はありませんが、フィンランド人とは関係があります 」。

 その領土に47の原子力発電所がある中国は、今日、フランスと米国に次ぐ世界第3位の原子力エネルギー生産国です。これらの発電所が2019年 に、国の年間電力需要の5 %しか提供しなかった場合、この割合は今後数年間で増加する可能性があります。
 毎日英国によるとガーディアン、数十億ドルは確かに近年では、中国政府が原子力エネルギーに投資されています。
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 引用以上

 上のニュースによれば、現在、台山原発で起きている問題は、環境への放射能漏洩が、フランスにおける基準の数倍以上に達していて、運営に3割の権限を有するフランス電力が環境汚染問題から原子炉停止を提起したが、中国当局は、勝手に環境基準値を引き上げて、原子炉の停止を拒んでいるということだ。
 それは、昨年の大洪水以来、発電所の浸水毀損から電力不足が続いている広東省にあって、台山原発からの電力供給を停止したくないという当局の思惑に基づいている。

 今年の4月5日に、中国当局は、台山原発で「特殊作戦」を行い、以来、二基ある原子炉の一基から異常な放射能が漏洩するようになった。いったい何をやったのか? と思うが、当局は一切情報を出していない。
 フランス電力は、アメリカ、バイデン政権に問題を通報したが、バイデンは、まだ危機段階に達していないと認定し、静観を続けている模様。

 これらの問題は、中国当局の全体主義的体質から、情報が封鎖され、何が起きているのか正しく知る情報が凍結されてしまっている。
 これまでなら、かつて自由があった香港から、たくさんの情報が出ていたが、今回は、香港紙も含めて、「何の問題もない」という中国当局の統制報道しか得られない。

 しかし、中国民主化活動家、魏京生が次のように警告している。(妻が核技術者)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%8F%E4%BA%AC%E7%94%9F

 https://twitter.com/WEI_JINGSHENG

 前中國核工業部核物理學家黃慈萍:「高碳鋼,它本身就比較脆,它會爆炸,這就很可怕了。他們(中共)在想安撫民心,說指標還是正常,它還正常,他一旦不正常,爆炸了,那就完全不正常。它不是一個簡單的慢慢、慢慢泄漏的問題,而是一個很可能造成爆炸的問題。」https://ntdtv.com/b5/2021/06/14/a103142715.html… via

@ntdchinese

中国原子力産業省の元核物理学者である黄Ciping氏は、「高炭素鋼自体は比較的もろく、爆発するだろう。それはひどいことだ。彼ら(CCP)は人々を安心させようとしている。インジケータはまだ正常であり、正常です。異常で爆発すると、完全に異常になります。これは、単純でゆっくりとしたゆっくりとしたリークの問題ではなく、爆発を引き起こす可能性のある問題です。」https:// ntdtv.com/b5/2021/06/14/a103142715.html…経由

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 引用以上

 加圧水型原発は、高炭素鋼=鍛鉄の圧力容器で、非常に脆く、脆性劣化が起きやすいのが特徴。もしも、160気圧の超高圧で爆発すれば、沸騰水型原発の数百倍の恐ろしい被害が出る。
 それは物理的爆発とともに、ほぼ全量の放射能が、環境に爆発的に拡散することになる。もしフクイチ事故が沸騰水型でなく加圧水型なら、東日本全体に数千万の死者が出ていたことは確実だ。

 私は、台山原発の問題が、電力需要の観点からのみ隠蔽され、無視されているとすれば、今後、「原子炉の爆発」という視点から、問題を見つめ直す必要を感じている。