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久しぶりの産業被曝事件

2021年06月12日 | 未分類
  エックス線照射のまま作業 日鉄工場社員、大量被ばくか 兵庫
 https://news.yahoo.co.jp/articles/39859f65fb9231b4035d753a37b4df30af396106

  兵庫県姫路市の日本製鉄の工場で社員2人が被ばくした事故で、2人の被ばく量が法令で定められた限度を大幅に超えていた可能性が高いことが11日、厚生労働省への取材で分かった。

 何らかの原因でエックス線が照射されたまま作業していたとみられ、姫路労働基準監督署が事故原因を調査。兵庫県警も業務上過失傷害の疑いで調べている。

 日本製鉄や厚労省によると、2人は5月29日、同社瀬戸内製鉄所広畑地区の工場内にある測定室で、エックス線で鉄板表面のめっきの厚みを測る装置を点検。作業終了後に体調不良を訴え、搬送された病院の検査で被ばくが判明した。

 放射線業務に携わる作業員の被ばく量の限度は年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトと法令で定められている。2人の被ばく量は確定していないが、同省の担当者は「50や100というレベルではない」と話した。
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 引用以上

 久しぶりの労基署案件、産業被曝事故が起きた。それも、もしかしたらJCO臨界事故・福島第一原発事故以来の死亡事故に発展する可能性が濃厚だ。
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E6%9D%91JCO%E8%87%A8%E7%95%8C%E4%BA%8B%E6%95%85

 実は、私もX線透過試験に従事したことがあり、同僚のミスか故意によって被曝させられた経験がある。今から30年以上前なので、当時はフィルムバッジを身につけていたものの、上司が回収したまま何一つ報告がなく握り潰された。
 その会社を辞めてから、いろいろな精神的問題が出たが因果関係を証明できないのが被曝というものだ。

 立入可能性のある関係者には線量計着装が義務づけられているが、X線が出ていないことを前提にした施設点検のタテマエでは、身につけていなかった可能性がある。

 「メッキ用厚み計」の場合は、一般的に使われているアイソトープ、コバルト60(1.1~1.3MeV)・イリジウム192(0.32MeV)ではエネルギーが強すぎるので、医療用に近い弱いX線(0.05~0.01MeV)が使われる。この弱いX線の性質は、人体細胞の吸収率が非常に高いので被曝危険性は、エネルギー量あたりで、むしろコバルト60より高い。

 放射されたX線の大半が人体に吸収されてしまうため、細胞へのダメージが著しい。とりわけ眼の水晶体や乳腺などにはダメージが強い。生殖腺被曝も著しいので、この被曝者は例え命が助かっても、二度と子供を作ることができない可能性がある。精原細胞が破壊された可能性が強く、受胎しても奇形児になってしまう確率が高い。

 上のニュースでは「50ミリ~100ミリシーベルト」のレベルではない」と、厚労省担当者が話していることから、おそらくシーベルトの単位で浴びてしまったのだろう。
 被害者が体調不良を訴えていることから、場合によっては致死的線量を浴びている。

 短時間での放射線被曝の線量効果は、100%死亡となる致死被曝量が7シーベルトであり、半数致死被曝量が4シーベルトである。
 福島原発事故のように、長期にわたってじわじわと大量に被曝させられた場合は、症状が出るのに長い時間がかかる可能性があるが、7シーベルト被曝した場合の致死的効果が消えるわけではない。
 1シーベルト以下を短時間で被曝しても無症状が普通なので、吐き気などの症状を訴えている今回は、数シーベルトを浴びている。

 これほどの大線量被曝は、JCO臨界事故以来であり、被害者は外部被曝=細胞死によって助からない可能性が強く、助かっても精神障害などの深刻な後遺症が残る。
 ただし、古い細胞は簡単には死なないが、新しい細胞が再生されないため、古い細胞が脱落を始める半月程度までは、大きな変化は見られない可能性があるが、細胞脱落とともに皮膚や臓器に恐ろしい異常が出てくるようになる。言い換えれば、じわじわと緩慢なる死に至る。
  http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/jco/kid9912.html

 福島の場合も、被曝者が死にはじめた(震災関連死と名付けられた)のは、事故から半月~数ヶ月の間だ。福島では放射能内部被曝が最大の問題となり、セシウムによる心筋梗塞死が大量に発生したが、今回は放射線外部被曝だけなので、症状が本質的に異なる。
 皮膚や臓器、脳の障害がメインになり、福島のような循環器系疾患は少ない。

 被曝者の受容線量を推定するのは、染色体異常を調べれば、かなりの精度で分かる。
 https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-02-06-01.html

 https://www.rerf.or.jp/programs/roadmap/health_effects/late/chromoab/

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhps1966/13/3/13_3_171/_pdf/-char/ja

 ところが、福島第一原発事故の被曝者に対して、国は染色体検査を拒否した。これは、事故被曝被害を隠蔽する目的だったと考えられる。
 とってつけた理由として「染色体異常は200ミリシーベルト以下では出ない」とか、さまざまな屁理屈で弁解したが、実際には、福島県だけ震災直接死よりも、はるかに多い2000名以上もの「震災関連死」が、200ミリシーベルト超える被曝を受けたのは確実だったにもかかわらず、原子力産業から多額の献金を受けていた民主党、細野豪志らの指示によって検査が拒否され、被曝が隠蔽された。

 民主党は、菅・枝野・海江田・細野らの党幹部の大半が、福島事故直後でもベトナムへの原発輸出に奔走し、東電など原子力産業から多額の献金を受けていたことから、原発事故被害の隠蔽に躍起になっていた。
 http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201110270777.html

 大熊町・双葉町などの現地では、現地入りした報道関係者の報告によれば、事故10日後でも毎時数ミリシーベルトの被曝が確認されたなかで住民が生活していたとの報告があるのだから、「震災関連死」として「避難ストレスによって死亡した」と決めつけられた住民の大半が、おそらくトータルで数シーベルトの致死的線量を被曝していたと思われる。

http://www.jca.apc.org/mihama/News/news64/news64chromosome.htm

 今回の被曝事故が、被害者に与える影響は、以下の千葉市アイソトープ線源事故のような局所的なものではなく、全身的な障害になると考える。
千葉市におけるイリジウム192線源による深刻な被曝傷害事故
  https://atomica.jaea.go.jp/data/pict/09/09030211/04.gif

https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-03-02-11.html

しかし、数十シーベルトを被曝したJCO事故のような凄まじく残酷な結果にはならないと思われるが、じわじわと体調不良が進行し、細胞の再生による回復が阻害されているため、一ヶ月ほどして死亡する可能性がある。生きながらえたとしても、チェルノブイリ事故リクビダートルに現れたような精神障害・認知症は避けられない。

 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Burla-J.html

 http://www.asyura2.com/11/senkyo119/msg/572.html

工業用X線は、電源を切れば停まるものであり、アイソトープのように環境を汚染する心配がないので、(放射能ではなく放射線にすぎない)それほど深刻に考える必要はないが、一般の産業災害、交通事故などと同じレベルで、災害防止に取り組む必要がある。

 今回の事故を見ると、X線被曝環境で作業するにあたって、放射線が出たままになっていたなど、産業事故としては言語道断、あまりにも初歩的すぎる致命的事故であり、これは重過失事故として処理されなければならないだろう。
 こうした重大事故が起きるのは、ハインリッヒの法則から考えて、日常的に無責任、不注意、人間劣化による事故が多発していたのは確実だ。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

https://news.goo.ne.jp/article/kobe/nation/kobe-20210603013.html
 この報道によれば、
【同社は3日現在、事故の発表や近隣住民への説明をしていない。広報担当者は「近隣への影響がないため広報していない。警察などには報告しており、事故を隠したという認識はない」と説明した。
 同製鉄所広畑地区では、5月21日に関連会社社員が一酸化炭素中毒で死亡。26日には足場を解体中の下請け会社作業員が転落死するなど事故が相次いでいる。】

 と書かれているので、やはり頻繁に重大事故が続いていたようだ。日本製鉄というのは、新日鉄と住友金属が合併して2019年に社名が確定したばかりで、世界第三位の鉄鋼企業だが、このようなお粗末な事故を引き起こすということは、よほど体質が官僚化し、従業員も劣化していることを示すものだ。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%A3%BD%E9%89%84

 日本では、明治時代から産業界のランドマークであり続けた、三菱・東芝・日立などが軒並み原発に未練を持って大失敗を続け、社屋が揺るがされているが、日鉄も、同じ轍を踏んで、社屋が傾き始めているような事故だ。
 決して小さな事故ではない。今の日鉄と日本産業界の劣化体質を象徴すると考えるべきだ。

 竹中平蔵=自民党のせいで、消費に罰金を科すような愚劣な経済政策が横行し、日本の景気は無茶苦茶にされているが、活気を失った産業は、必ず福島第一原発事故のような取り返しのつかない巨大事故に向かうという本質を忘れてはならない。