米CNNテレビは14日、中国広東省台山市の台山原発から放射性物質漏れが起き、周辺地域の放射線量が高まっていると、建設と運転に協力するフランスの原子炉製造会社「フラマトム」が訴えていると報じた。
台山原発は、中国最古最大の大亜湾原発から香港マカオを挟んでベトナム寄りの赤渓鎮という沿岸地域にあるが、この付近は世界的に良港な漁場、沿岸魚介類の産地であり、もしも海洋放射能汚染が起きたならベトナム沿岸や台湾にも大きく波及する可能性がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E5%B1%B1%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
上の情報によれば、営業運転開始は、2018年末で、170万キロワット程度の原子炉が二基稼働している。
原子炉形式は加圧水型EPRとされているが、私はこの形式について知らない。
以下に説明があるが、フランス電力が開発したEPR原子炉が稼働しているのは、世界で台山原発だけのようだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E5%8A%A0%E5%9C%A7%E6%B0%B4%E5%9E%8B%E7%82%89
この種の新型原子炉は安定稼働するまでに、たくさんの問題が発生するのが普通である。まだ二年にも満たない商業的稼働しかない台山原子炉が事故を繰り返す可能性は高い。
そもそも、2013年稼働予定だったが、何度も延期を繰り返し6年後の2019末年になって、やっと本格運用が始まった。
運営は中国側が70%、核心部の設計施工、運用はフランス電力が30%を担当している。
中国の原発で漏えいや放射線脅威の報告、米政府が評価進める CNN EXCLUSIVE 2021.06.15
https://www.cnn.co.jp/world/35172337.html
(CNN) 中国広東省にある台山原子力発電所について、米政府が同原発を部分的に所有、運営するフランス企業から漏えいの報告や「差し迫った放射線の脅威」の警告を受け、この1週間評価を進めていたことがわかった。米当局者やCNNが検証した文書により明らかとなった。
フランスの原子力企業フラマトムが米エネルギー省に送った書面によると、警告には中国の安全規制当局が原発外部での放射能検知の許容限界を引き上げているとの報告も含まれている。フラマトムは原子力設備やサービスの設計、提供を担い、中国とフランスの合弁発電所の建設や運転を支援する契約をしている。
情報筋の1人によると、バイデン政権は同原発はまだ「危機レベル」にはないと見ている。
米当局者は、原発の作業員や中国の一般市民に現在、深刻な安全上の脅威が及ぶ状況ではないと評価している。だが、中国の国営パートナー企業が問題の存在を認めない中、外国企業が一方的に米政府に支援を求める動きは異例だ。もし対策が行われずに漏えいが継続し、または深刻化すれば、米国は複雑な状況に置かれることになる。
米当局者によると、米政府内の懸念は大きく、先週は国家安全保障会議(NSC)が複数回開かれた。
情報筋によると、バイデン政権はこの状況についてフランス政府、エネルギー省の専門家と協議した。米当局者によると、米政府は中国政府にも接触しているが、どの程度の接触なのかは不明。
米政府は評価について説明を避けている。だがNSC関係者によると、国務省やエネルギー省は原子力事故の関連条約では、中国の市民にリスクが存在する場合、米国はそれを公表する義務があると主張している。
フラマトムが米国に接触してきたのは、同原発の問題解決に向けて米国の技術的支援を共有するための権利放棄を得るため。権利放棄が認められる理由は2つあり、1つは6月8日の書面にもあった「差し迫った放射線の脅威」がある場合となる。
この書面によると、中国の限界基準はフランスの基準を超える水準に引き上げられた。だが、米国の基準と比べた場合にどの程度の水準かは不明。
米ロスアラモス国立研究所に勤務していた核科学者のシェリル・ロファー氏は、「フランスが(米国に)接触していたことに驚きはない。一般的に、特に接触先の国が支援を提供する特別な能力を持っている場合、このようなことは異例ではない」との見解を示す。また「中国はいつでも、全てが良好だと予測するのが好きだ」とも付け加えた。
CNNの入手した文書が示唆するところによると、米政府は技術的支援の提供に向けてフラマトムに許可を出すことは可能だが、本件で原発の完全な停止が必要かどうかの判断は中国政府が行うこととなる。
複数の情報筋はCNNに対し、米国が本件に関与しているのは、フラマトムから6月8日の支援要請があったという理由だけだと語った。
台山原子力発電所は13日夜にウェブサイトで、同原発や周辺地域の環境に関する数値は現在「通常」との声明を出した。
同原発の2基の原子炉はともに運転中で、2号機は最近「オーバーホール」を完了し、「6月10日に電力網に無事接続した」としている。声明ではオーバーホールを行った理由や方法について言及していない。
声明では、同原発は操業開始以降、運転許可書類や技術手順に沿って各号機の運転を厳格に制御しており、2つの原子炉とも「すべての運転指標が原子力安全規則や原発技術仕様の要件を満たしている」と述べた。
フラマトムは11日、CNNがコメントを求めた数時間後に、同社が同原発の「パフォーマンスに関する問題の解決を支援している」と認める声明を出した。「入手可能なデータによると、発電所は安全の範囲内で運転している。我々のチームは状況を評価し、可能性のある問題に対応する解決策を提案できるよう関連する専門家と協力している」という。
フラマトムはエネルギー省に提出した書面の内容に関するCNNからの質問には直接答えなかった。
今週、英国では主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれたが、この漏えいの報告に関して高位級の議論が行われた形跡はない。
フランス電力会社(EDF)は、同原発の1号機の1次回路で希ガスの濃度が上昇したとの通知を受けたと発表。「1次回路のある程度の希ガスの存在は知られた現象であり、原子炉運転手続きで研究され準備されているものだ」とも述べたが、ガスの水準には詳しく触れなかった。EDFは同原発に3割出資している。
EDFの報道担当者は14日遅く、放射線の水準の上昇は「燃料棒のハウジングの劣化」によるものだと述べた。
同担当者は発電所で計測された放射線のレベルは中国当局の定めるレベルを下回るとも言及。影響を受けているハウジングは燃料棒と大気の間に存在する3つの封じ込めの障壁の最初のものだとも付け加えた。
また、こうしたハウジングでの漏れのリスクは昨年10月の燃料取り換えによる計画的な停止の後に初めて議論されたとも述べた。当初の測定でハウジングの「緊密性の不足」に疑問が上がったとしている。
ただ同担当者は、十分な分析なくして、原子炉の完全な停止が必要かどうかを確定するのは尚早だとも言及。EDFはハウジングの劣化の発端に関する情報を現在持っていないとも述べた。
CNNは北京や広東省の中国当局、米ワシントンの中国大使館にコメントを求めたが返答はない。中国は14日まで3日間の祝日が続いていた。
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引用以上
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021061500057&g=int
上の記事によれば、台山原発から漏れた放射能は、キセノン133・クリプトン85を主体にした希ガスであるようだ。しかし、周辺地域の放射線濃度がフランスの基準を大きく超えて高まっているというので、周辺モニタリングはガンマ線だけのはずなので、おそらく、ベータ線希ガス類ではなく、セシウムXなどのガンマ線核種が環境を汚染したのは間違いないだろう。
放射性希ガス類、キセノン・クリプトン・ヨウ素・ラドン・トリチウムなどは、モニタリングで捉えるのは非常に困難で、希ガスベータ線専用測定器がなければ無理だ。
なぜ、希ガスが出てくるかといえば、核燃料被覆管が損傷したからである。被覆管の劣化にともなって、ピンホール、クリープクラックなどの損傷部位から高圧に閉じ込められている希ガス類が噴出するのだ。
日本でも、フクイチの4号機解体作業に伴って、破壊された被覆管が損傷して、千葉県内までクリプトン85が漏洩拡散汚染しているのを私が確認した。
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-53.html
ベータ線は、GM管が高い効率で捕捉するので分かりやすいが、エネルギースペクトルが特定できないため、核種を確認することが困難だ。しかし核分裂停止後、2年以上経過した場合、大半がクリプトン85であると断定できる。
今回は、稼働中の原子炉から漏れたので、半減期の短いキセノンやヨウ素Xも出ている。
それよりも、周辺モニタリングの値が上昇しているのはセシウムXが拡散している証拠なので、深刻な危険があると言わねばならない。
この事故は、おそらくレベル3程度だろうが、二年に満たない運転で被覆管が損傷するのは、構造的欠陥があるとしか思えない。もしかしたら制御棒の挿入に伴って機械的な損傷が起きたのかもしれない。
となれば、次に、制御棒損傷による出力暴走と核燃料のメルトダウンが起きる疑いがある。
今の段階で、レベル6以上の事故に発展する可能性は、分からないというしかないが、中国共産党の支配する原発運営は、不都合な真実がすべて隠蔽されるので、巨大事故に発展する可能性が大きい。
十分な警戒が必要だが、メルトダウンが起きたとしても報道は押しつぶされるだろう。
中国の原発は、技術水準の低さ、共産党による目標達成への不条理な圧力など、深刻な事故を招く要素が多く、巨大事故を引き起こすのも時間の問題と思われている。
ハインリッヒの法則は、たくさんの軽微事故の上に重大事故が起きることを示唆しているが、今回の事故が、軽微なのか重大なのか、まだ情報分析を待つ必要がある。
今は、メルトダウンを引き起こした場合、世界中にモニタリング機器があるので、ごまかすことはできない。
以下に、中国原発の危険性についての記事を転載する。
日本の技術者が警告!中国の「原発」は必ず大事故を起こす 2015・9・7
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/44966
「これは人災だ!」—大爆発事故に1500万天津市民が怒りの声を上げた。だが中国はより危険な原発を、日本寄りの沿海部に続々と建設中。これらが近い将来、大惨事を招く恐れが出てきた。
都合の悪いことはモミ消す
「中国の夢」——習近平政権のキャッチフレーズとは裏腹に、「中国の悪夢」が炸裂した。
人口1500万人の中央直轄市・天津で8月12日深夜に起こった未曾有の大爆発。阿鼻叫喚の修羅場は収まりつつあるものの、連日の雨が地上や地下の有毒ガスと化合し、市内のあちこちで不気味な煙が立ち上っている。現場付近はいまだに防毒マスクを着用しないと近寄れず、世界第4位の取扱量を誇る天津港は復興のメドすら立っていない有り様だ。
事故から1週間経った19日現在、中国当局は死者114人、行方不明者65人と発表したが、そんな「大本営発表」を信じる市民などいない。
天津テレビの関係者が証言する。
「われわれの取材クルーが事故現場に真っ先に入り、少なくとも1000人分くらいの遺体は撮影しています。何せ3000tもの危険化合物が爆発しており、無残な屍が四方八方に転がっていたのです。
それを中国共産党中央宣伝部と国家新聞出版広電総局(マスコミを管理する中央官庁)からすぐにお達しが来て、『取材ビデオはすべて中国中央テレビ(CCTV)に差し出せ』と命じられました。没収された数は、約150本に上ります。
ところが、中央テレビの番組を見て唖然としました。われわれの取材した『迫真現場』はすべてお蔵入りにされ、『愛と感動の救出物語』にすり替えられていたからです」
「これは人災だ!」—大爆発事故に1500万天津市民が怒りの声を上げた。だが中国はより危険な原発を、日本寄りの沿海部に続々と建設中。これらが近い将来、大惨事を招く恐れが出てきた。
■都合の悪いことはモミ消す
中央テレビにも、さすがに良心の呵責に耐えかねたディレクターがいたと見えて、8月18日夜7時半過ぎに始まる人気報道番組『焦点訪談』で、「真実の一部」を放映した。
北京公安消防総隊から救援に駆けつけた核生物化学処理部隊26人を率いる李興華副参謀長が、次のように証言したのだ。
「今週に入って現場で採取した空気のサンプルから、シアン化ナトリウムと神経ガスの2種類の猛毒ガスが検出された。しかも最高の危険レベルに達していた」
神経ガスは、国際条約で製造と保有が禁止されている。日本でもいまから20年前、オウム真理教が神経ガスのサリンを製造し、無差別テロを起こして日本中を震撼させたことは、いまなお記憶に残っている。
この証言が事実なら、中国は密かに毒ガスを製造し、保有していたことになる。テレビ映像を見る限り、李副参謀長はしたたる汗を拭いながら、正義感に満ちあふれた表情で証言していて、とてもウソをついているようには思われない。
だが放映が終わるや、またもや党中央宣伝部と国家新聞出版広電総局がこの証言をインターネット版からカットさせてしまった。それどころか中国全土のメディアに、直ちにこの証言を否定する報道をするよう命じたのである。前出の天津テレビ関係者が憤る。
「シアン化ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム……現場近くからは次々に危険な化合物が検出されています。人民解放軍の特殊部隊が入って作業しているのが、何より怪しい証拠ではありませんか。
そもそも北京から130kmしか離れていないのに、習近平主席は自分がテロに遭うのを恐れて慰問に来ない。李克強首相は毒ガスを吸うのを恐れたようで、事故から4日後の8月16日になって、ようやく現場入りしました。それを見てわれわれ天津市民はようやく、『首相が来たのだから、最悪の事態は去った』と悟ったのです」
とりあえず稼働してみる
この前代未聞の爆発事故は、現地の日系企業をも直撃した。爆心地近くのイオンモールは直接被災し、営業再開のメドが立たない。5000人以上の労働者を抱えるトヨタの工場も、操業停止に追い込まれたままだ。
だが、天津の日本商会幹部に聞くと、意外な感想を述べた。
「各社とも被害は受けましたが、これが大連でなくてよかったというのが、われわれの正直な感想です。大連は危険な原発が稼働しているので、もし大連で爆発事故が起こっていたら原発に引火して、福島原発どころでない大惨事になっていたかもしれないからです」
大連の原発とは、'13年2月に1号機が稼働を始めた遼寧紅沿河原発のことだ。その後、2号機と3号機が稼働を始め、この7月には6号機の工事が始まった。合わせて日産9600万kW時の発電量を目指している。
だが、この中国北部で初の原発の評判は、極めてよろしくないのだ。北京在住ジャーナリストの李大音氏が語る。
「1号機が稼働した時のキャッチフレーズは、『700万大連市民にクリーンな電力を』でした。しかしオープン時に取材に行った知人の記者は、驚いたそうです。
それは、すでに原発が稼働しているにもかかわらず、大量の人員不足に陥っていたからです。安全管理エンジニア、消防保安衛生エンジニア、放射能の専門医、経理担当責任者など、計46もの業種で大々的に募集をかけていたというのです」
「まず走り出してから考える」というのが中国式だが、こと原発に限っては、あまりにリスキーというものだろう。消火のための放水が大爆発を招いた天津の事故の二の舞が、中国の原発で起こらないという保証はない。
それでも中国は世界3位の原発大国で、習近平政権は2020年までに51基もの原発を稼働させようとしている。
日本の原発や放射線の専門家たちも、やはり今回の天津の爆発事故のニュースを見て、原発事故を想起したという。
'86年に大事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原発に、何度も足を運んで調査した経験を持つ獨協医科大学の木村真三准教授が指摘する。
私も天津に原発がなくて、ホッとしています。いまの中国の原発管理は、旧ソ連以下と思われるからです。
1980年代にチェルノブイリ原発を運転していたのは、モスクワ大学物理学科やモスクワ工科大学原子力工学科などを卒業したエリート中のエリートでした。
ただ、軍事用のプルトニウム製造のための原子炉を民生用に転換した特殊な原子炉だったため、運転員にはその構造的欠陥が周知されていなかった。その結果、チェルノブイリの悲劇が起こってしまったわけです。
翻って中国は現在、原発を量産していますが、技術者たちの養成が間に合っているのでしょうか。熟練度の低い技術者たちが現場に立っているのであれば、シビアな事故に対応できる経験や技術を持っているとは考えにくく、非常に恐いことです」
木村准教授は、「あくまでも仮定の話」と前置きした上で続ける。
「もしも天津の爆発が、原発のすぐ近くで起きていたとしたら、格納容器が無事だったとしても、使用済み核燃料プールまで守れたか疑問です。巨大な爆発に原子炉が巻き込まれれば、その影響たるや水素爆発の比ではありません。それこそ放射能被害は、日本を含めた全世界に広がったはずです」
■耐震性は気にしない
中国の原発に実際に足を踏み入れたこともあるという元東芝原子力プラント設計技術者の後藤政志氏も、ため息交じりに語る。
「私は正直言って、中国が原発を稼働させるなど、とんでもないことだと思っています。
私が行ったプラントはフランス基準でしたが、私のような日本の技術者を呼んだりして、スタンダードというものがなくチグハグでした。('11年7月に)中国高速鉄道が大事故を起こしたのも、安全のスタンダードがないことが原因でした。同様の事故が原発で起こったら、取り返しのつかないことになります」
後藤氏は、他にも中国の原発を危険視する理由が二つあるという。
「一つは、中国が原発を短期間で倍増させようとしていることです。このような無謀なことをやれば、安全管理が間に合わず、トラブルが発生する確率は格段に増えます。
もう一つは、中国の原発の耐震性の問題です。中国はあれだけの地震大国なのに、原発が十分な耐震構造になっているとは思えないのです」
実際、日本の25倍もの国土を持つ中国は、毎年のように巨大地震に見舞われている。'14年8月にも、南部の雲南省昭通市で、M6・5の大地震が発生し、死者・行方不明者は計729人に上った。
これまで数多くの日本の原発を取材してきたジャーナリストの団藤保晴氏も指摘する。
「関西電力が行っているオペレーター訓練の様子を取材したことがありますが、非常に熟練したものがありました。それに較べて、例えば中国の三門原発は、わずか1年半しかスタッフを訓練しないで稼働させようとしていると聞きました。
原発でアクシデントが起きた時は、運転員は原子炉の中の状況を目視できません。温度や圧力、放射能漏れのデータなどを総合して、臨機応変かつ的確に対応していかねばならない。そうした対応が、中国の原発で果たしてできるのかという不安があるのです」
だが中国は、上の地図のように、日本に近い沿岸地域に原発を量産しようとしている。
前出の木村准教授が憂えて言う。
「被害は大気だけに限りません。例えば日本海側には、汚染水がどんどん流れてきます。そうすると、セシウム濃度が通常の100倍を超える大形魚も出て、日本海側の漁業は大打撃を受けます。さらに漁業ばかりか、日本の農業にも影響が出るでしょう」
重ねて言うが、われわれは今回の天津の大爆発で、中国の沿岸部がいかに危険と隣り合わせでいるかを改めて思い知った。その危険地帯に原発を量産していく中国と、東シナ海を挟んで繋がっているということを忘れてはならない。
「週刊現代」2015年9月5日号より
台山原発は、中国最古最大の大亜湾原発から香港マカオを挟んでベトナム寄りの赤渓鎮という沿岸地域にあるが、この付近は世界的に良港な漁場、沿岸魚介類の産地であり、もしも海洋放射能汚染が起きたならベトナム沿岸や台湾にも大きく波及する可能性がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E5%B1%B1%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
上の情報によれば、営業運転開始は、2018年末で、170万キロワット程度の原子炉が二基稼働している。
原子炉形式は加圧水型EPRとされているが、私はこの形式について知らない。
以下に説明があるが、フランス電力が開発したEPR原子炉が稼働しているのは、世界で台山原発だけのようだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E5%8A%A0%E5%9C%A7%E6%B0%B4%E5%9E%8B%E7%82%89
この種の新型原子炉は安定稼働するまでに、たくさんの問題が発生するのが普通である。まだ二年にも満たない商業的稼働しかない台山原子炉が事故を繰り返す可能性は高い。
そもそも、2013年稼働予定だったが、何度も延期を繰り返し6年後の2019末年になって、やっと本格運用が始まった。
運営は中国側が70%、核心部の設計施工、運用はフランス電力が30%を担当している。
中国の原発で漏えいや放射線脅威の報告、米政府が評価進める CNN EXCLUSIVE 2021.06.15
https://www.cnn.co.jp/world/35172337.html
(CNN) 中国広東省にある台山原子力発電所について、米政府が同原発を部分的に所有、運営するフランス企業から漏えいの報告や「差し迫った放射線の脅威」の警告を受け、この1週間評価を進めていたことがわかった。米当局者やCNNが検証した文書により明らかとなった。
フランスの原子力企業フラマトムが米エネルギー省に送った書面によると、警告には中国の安全規制当局が原発外部での放射能検知の許容限界を引き上げているとの報告も含まれている。フラマトムは原子力設備やサービスの設計、提供を担い、中国とフランスの合弁発電所の建設や運転を支援する契約をしている。
情報筋の1人によると、バイデン政権は同原発はまだ「危機レベル」にはないと見ている。
米当局者は、原発の作業員や中国の一般市民に現在、深刻な安全上の脅威が及ぶ状況ではないと評価している。だが、中国の国営パートナー企業が問題の存在を認めない中、外国企業が一方的に米政府に支援を求める動きは異例だ。もし対策が行われずに漏えいが継続し、または深刻化すれば、米国は複雑な状況に置かれることになる。
米当局者によると、米政府内の懸念は大きく、先週は国家安全保障会議(NSC)が複数回開かれた。
情報筋によると、バイデン政権はこの状況についてフランス政府、エネルギー省の専門家と協議した。米当局者によると、米政府は中国政府にも接触しているが、どの程度の接触なのかは不明。
米政府は評価について説明を避けている。だがNSC関係者によると、国務省やエネルギー省は原子力事故の関連条約では、中国の市民にリスクが存在する場合、米国はそれを公表する義務があると主張している。
フラマトムが米国に接触してきたのは、同原発の問題解決に向けて米国の技術的支援を共有するための権利放棄を得るため。権利放棄が認められる理由は2つあり、1つは6月8日の書面にもあった「差し迫った放射線の脅威」がある場合となる。
この書面によると、中国の限界基準はフランスの基準を超える水準に引き上げられた。だが、米国の基準と比べた場合にどの程度の水準かは不明。
米ロスアラモス国立研究所に勤務していた核科学者のシェリル・ロファー氏は、「フランスが(米国に)接触していたことに驚きはない。一般的に、特に接触先の国が支援を提供する特別な能力を持っている場合、このようなことは異例ではない」との見解を示す。また「中国はいつでも、全てが良好だと予測するのが好きだ」とも付け加えた。
CNNの入手した文書が示唆するところによると、米政府は技術的支援の提供に向けてフラマトムに許可を出すことは可能だが、本件で原発の完全な停止が必要かどうかの判断は中国政府が行うこととなる。
複数の情報筋はCNNに対し、米国が本件に関与しているのは、フラマトムから6月8日の支援要請があったという理由だけだと語った。
台山原子力発電所は13日夜にウェブサイトで、同原発や周辺地域の環境に関する数値は現在「通常」との声明を出した。
同原発の2基の原子炉はともに運転中で、2号機は最近「オーバーホール」を完了し、「6月10日に電力網に無事接続した」としている。声明ではオーバーホールを行った理由や方法について言及していない。
声明では、同原発は操業開始以降、運転許可書類や技術手順に沿って各号機の運転を厳格に制御しており、2つの原子炉とも「すべての運転指標が原子力安全規則や原発技術仕様の要件を満たしている」と述べた。
フラマトムは11日、CNNがコメントを求めた数時間後に、同社が同原発の「パフォーマンスに関する問題の解決を支援している」と認める声明を出した。「入手可能なデータによると、発電所は安全の範囲内で運転している。我々のチームは状況を評価し、可能性のある問題に対応する解決策を提案できるよう関連する専門家と協力している」という。
フラマトムはエネルギー省に提出した書面の内容に関するCNNからの質問には直接答えなかった。
今週、英国では主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれたが、この漏えいの報告に関して高位級の議論が行われた形跡はない。
フランス電力会社(EDF)は、同原発の1号機の1次回路で希ガスの濃度が上昇したとの通知を受けたと発表。「1次回路のある程度の希ガスの存在は知られた現象であり、原子炉運転手続きで研究され準備されているものだ」とも述べたが、ガスの水準には詳しく触れなかった。EDFは同原発に3割出資している。
EDFの報道担当者は14日遅く、放射線の水準の上昇は「燃料棒のハウジングの劣化」によるものだと述べた。
同担当者は発電所で計測された放射線のレベルは中国当局の定めるレベルを下回るとも言及。影響を受けているハウジングは燃料棒と大気の間に存在する3つの封じ込めの障壁の最初のものだとも付け加えた。
また、こうしたハウジングでの漏れのリスクは昨年10月の燃料取り換えによる計画的な停止の後に初めて議論されたとも述べた。当初の測定でハウジングの「緊密性の不足」に疑問が上がったとしている。
ただ同担当者は、十分な分析なくして、原子炉の完全な停止が必要かどうかを確定するのは尚早だとも言及。EDFはハウジングの劣化の発端に関する情報を現在持っていないとも述べた。
CNNは北京や広東省の中国当局、米ワシントンの中国大使館にコメントを求めたが返答はない。中国は14日まで3日間の祝日が続いていた。
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引用以上
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021061500057&g=int
上の記事によれば、台山原発から漏れた放射能は、キセノン133・クリプトン85を主体にした希ガスであるようだ。しかし、周辺地域の放射線濃度がフランスの基準を大きく超えて高まっているというので、周辺モニタリングはガンマ線だけのはずなので、おそらく、ベータ線希ガス類ではなく、セシウムXなどのガンマ線核種が環境を汚染したのは間違いないだろう。
放射性希ガス類、キセノン・クリプトン・ヨウ素・ラドン・トリチウムなどは、モニタリングで捉えるのは非常に困難で、希ガスベータ線専用測定器がなければ無理だ。
なぜ、希ガスが出てくるかといえば、核燃料被覆管が損傷したからである。被覆管の劣化にともなって、ピンホール、クリープクラックなどの損傷部位から高圧に閉じ込められている希ガス類が噴出するのだ。
日本でも、フクイチの4号機解体作業に伴って、破壊された被覆管が損傷して、千葉県内までクリプトン85が漏洩拡散汚染しているのを私が確認した。
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-53.html
ベータ線は、GM管が高い効率で捕捉するので分かりやすいが、エネルギースペクトルが特定できないため、核種を確認することが困難だ。しかし核分裂停止後、2年以上経過した場合、大半がクリプトン85であると断定できる。
今回は、稼働中の原子炉から漏れたので、半減期の短いキセノンやヨウ素Xも出ている。
それよりも、周辺モニタリングの値が上昇しているのはセシウムXが拡散している証拠なので、深刻な危険があると言わねばならない。
この事故は、おそらくレベル3程度だろうが、二年に満たない運転で被覆管が損傷するのは、構造的欠陥があるとしか思えない。もしかしたら制御棒の挿入に伴って機械的な損傷が起きたのかもしれない。
となれば、次に、制御棒損傷による出力暴走と核燃料のメルトダウンが起きる疑いがある。
今の段階で、レベル6以上の事故に発展する可能性は、分からないというしかないが、中国共産党の支配する原発運営は、不都合な真実がすべて隠蔽されるので、巨大事故に発展する可能性が大きい。
十分な警戒が必要だが、メルトダウンが起きたとしても報道は押しつぶされるだろう。
中国の原発は、技術水準の低さ、共産党による目標達成への不条理な圧力など、深刻な事故を招く要素が多く、巨大事故を引き起こすのも時間の問題と思われている。
ハインリッヒの法則は、たくさんの軽微事故の上に重大事故が起きることを示唆しているが、今回の事故が、軽微なのか重大なのか、まだ情報分析を待つ必要がある。
今は、メルトダウンを引き起こした場合、世界中にモニタリング機器があるので、ごまかすことはできない。
以下に、中国原発の危険性についての記事を転載する。
日本の技術者が警告!中国の「原発」は必ず大事故を起こす 2015・9・7
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/44966
「これは人災だ!」—大爆発事故に1500万天津市民が怒りの声を上げた。だが中国はより危険な原発を、日本寄りの沿海部に続々と建設中。これらが近い将来、大惨事を招く恐れが出てきた。
都合の悪いことはモミ消す
「中国の夢」——習近平政権のキャッチフレーズとは裏腹に、「中国の悪夢」が炸裂した。
人口1500万人の中央直轄市・天津で8月12日深夜に起こった未曾有の大爆発。阿鼻叫喚の修羅場は収まりつつあるものの、連日の雨が地上や地下の有毒ガスと化合し、市内のあちこちで不気味な煙が立ち上っている。現場付近はいまだに防毒マスクを着用しないと近寄れず、世界第4位の取扱量を誇る天津港は復興のメドすら立っていない有り様だ。
事故から1週間経った19日現在、中国当局は死者114人、行方不明者65人と発表したが、そんな「大本営発表」を信じる市民などいない。
天津テレビの関係者が証言する。
「われわれの取材クルーが事故現場に真っ先に入り、少なくとも1000人分くらいの遺体は撮影しています。何せ3000tもの危険化合物が爆発しており、無残な屍が四方八方に転がっていたのです。
それを中国共産党中央宣伝部と国家新聞出版広電総局(マスコミを管理する中央官庁)からすぐにお達しが来て、『取材ビデオはすべて中国中央テレビ(CCTV)に差し出せ』と命じられました。没収された数は、約150本に上ります。
ところが、中央テレビの番組を見て唖然としました。われわれの取材した『迫真現場』はすべてお蔵入りにされ、『愛と感動の救出物語』にすり替えられていたからです」
「これは人災だ!」—大爆発事故に1500万天津市民が怒りの声を上げた。だが中国はより危険な原発を、日本寄りの沿海部に続々と建設中。これらが近い将来、大惨事を招く恐れが出てきた。
■都合の悪いことはモミ消す
中央テレビにも、さすがに良心の呵責に耐えかねたディレクターがいたと見えて、8月18日夜7時半過ぎに始まる人気報道番組『焦点訪談』で、「真実の一部」を放映した。
北京公安消防総隊から救援に駆けつけた核生物化学処理部隊26人を率いる李興華副参謀長が、次のように証言したのだ。
「今週に入って現場で採取した空気のサンプルから、シアン化ナトリウムと神経ガスの2種類の猛毒ガスが検出された。しかも最高の危険レベルに達していた」
神経ガスは、国際条約で製造と保有が禁止されている。日本でもいまから20年前、オウム真理教が神経ガスのサリンを製造し、無差別テロを起こして日本中を震撼させたことは、いまなお記憶に残っている。
この証言が事実なら、中国は密かに毒ガスを製造し、保有していたことになる。テレビ映像を見る限り、李副参謀長はしたたる汗を拭いながら、正義感に満ちあふれた表情で証言していて、とてもウソをついているようには思われない。
だが放映が終わるや、またもや党中央宣伝部と国家新聞出版広電総局がこの証言をインターネット版からカットさせてしまった。それどころか中国全土のメディアに、直ちにこの証言を否定する報道をするよう命じたのである。前出の天津テレビ関係者が憤る。
「シアン化ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム……現場近くからは次々に危険な化合物が検出されています。人民解放軍の特殊部隊が入って作業しているのが、何より怪しい証拠ではありませんか。
そもそも北京から130kmしか離れていないのに、習近平主席は自分がテロに遭うのを恐れて慰問に来ない。李克強首相は毒ガスを吸うのを恐れたようで、事故から4日後の8月16日になって、ようやく現場入りしました。それを見てわれわれ天津市民はようやく、『首相が来たのだから、最悪の事態は去った』と悟ったのです」
とりあえず稼働してみる
この前代未聞の爆発事故は、現地の日系企業をも直撃した。爆心地近くのイオンモールは直接被災し、営業再開のメドが立たない。5000人以上の労働者を抱えるトヨタの工場も、操業停止に追い込まれたままだ。
だが、天津の日本商会幹部に聞くと、意外な感想を述べた。
「各社とも被害は受けましたが、これが大連でなくてよかったというのが、われわれの正直な感想です。大連は危険な原発が稼働しているので、もし大連で爆発事故が起こっていたら原発に引火して、福島原発どころでない大惨事になっていたかもしれないからです」
大連の原発とは、'13年2月に1号機が稼働を始めた遼寧紅沿河原発のことだ。その後、2号機と3号機が稼働を始め、この7月には6号機の工事が始まった。合わせて日産9600万kW時の発電量を目指している。
だが、この中国北部で初の原発の評判は、極めてよろしくないのだ。北京在住ジャーナリストの李大音氏が語る。
「1号機が稼働した時のキャッチフレーズは、『700万大連市民にクリーンな電力を』でした。しかしオープン時に取材に行った知人の記者は、驚いたそうです。
それは、すでに原発が稼働しているにもかかわらず、大量の人員不足に陥っていたからです。安全管理エンジニア、消防保安衛生エンジニア、放射能の専門医、経理担当責任者など、計46もの業種で大々的に募集をかけていたというのです」
「まず走り出してから考える」というのが中国式だが、こと原発に限っては、あまりにリスキーというものだろう。消火のための放水が大爆発を招いた天津の事故の二の舞が、中国の原発で起こらないという保証はない。
それでも中国は世界3位の原発大国で、習近平政権は2020年までに51基もの原発を稼働させようとしている。
日本の原発や放射線の専門家たちも、やはり今回の天津の爆発事故のニュースを見て、原発事故を想起したという。
'86年に大事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原発に、何度も足を運んで調査した経験を持つ獨協医科大学の木村真三准教授が指摘する。
私も天津に原発がなくて、ホッとしています。いまの中国の原発管理は、旧ソ連以下と思われるからです。
1980年代にチェルノブイリ原発を運転していたのは、モスクワ大学物理学科やモスクワ工科大学原子力工学科などを卒業したエリート中のエリートでした。
ただ、軍事用のプルトニウム製造のための原子炉を民生用に転換した特殊な原子炉だったため、運転員にはその構造的欠陥が周知されていなかった。その結果、チェルノブイリの悲劇が起こってしまったわけです。
翻って中国は現在、原発を量産していますが、技術者たちの養成が間に合っているのでしょうか。熟練度の低い技術者たちが現場に立っているのであれば、シビアな事故に対応できる経験や技術を持っているとは考えにくく、非常に恐いことです」
木村准教授は、「あくまでも仮定の話」と前置きした上で続ける。
「もしも天津の爆発が、原発のすぐ近くで起きていたとしたら、格納容器が無事だったとしても、使用済み核燃料プールまで守れたか疑問です。巨大な爆発に原子炉が巻き込まれれば、その影響たるや水素爆発の比ではありません。それこそ放射能被害は、日本を含めた全世界に広がったはずです」
■耐震性は気にしない
中国の原発に実際に足を踏み入れたこともあるという元東芝原子力プラント設計技術者の後藤政志氏も、ため息交じりに語る。
「私は正直言って、中国が原発を稼働させるなど、とんでもないことだと思っています。
私が行ったプラントはフランス基準でしたが、私のような日本の技術者を呼んだりして、スタンダードというものがなくチグハグでした。('11年7月に)中国高速鉄道が大事故を起こしたのも、安全のスタンダードがないことが原因でした。同様の事故が原発で起こったら、取り返しのつかないことになります」
後藤氏は、他にも中国の原発を危険視する理由が二つあるという。
「一つは、中国が原発を短期間で倍増させようとしていることです。このような無謀なことをやれば、安全管理が間に合わず、トラブルが発生する確率は格段に増えます。
もう一つは、中国の原発の耐震性の問題です。中国はあれだけの地震大国なのに、原発が十分な耐震構造になっているとは思えないのです」
実際、日本の25倍もの国土を持つ中国は、毎年のように巨大地震に見舞われている。'14年8月にも、南部の雲南省昭通市で、M6・5の大地震が発生し、死者・行方不明者は計729人に上った。
これまで数多くの日本の原発を取材してきたジャーナリストの団藤保晴氏も指摘する。
「関西電力が行っているオペレーター訓練の様子を取材したことがありますが、非常に熟練したものがありました。それに較べて、例えば中国の三門原発は、わずか1年半しかスタッフを訓練しないで稼働させようとしていると聞きました。
原発でアクシデントが起きた時は、運転員は原子炉の中の状況を目視できません。温度や圧力、放射能漏れのデータなどを総合して、臨機応変かつ的確に対応していかねばならない。そうした対応が、中国の原発で果たしてできるのかという不安があるのです」
だが中国は、上の地図のように、日本に近い沿岸地域に原発を量産しようとしている。
前出の木村准教授が憂えて言う。
「被害は大気だけに限りません。例えば日本海側には、汚染水がどんどん流れてきます。そうすると、セシウム濃度が通常の100倍を超える大形魚も出て、日本海側の漁業は大打撃を受けます。さらに漁業ばかりか、日本の農業にも影響が出るでしょう」
重ねて言うが、われわれは今回の天津の大爆発で、中国の沿岸部がいかに危険と隣り合わせでいるかを改めて思い知った。その危険地帯に原発を量産していく中国と、東シナ海を挟んで繋がっているということを忘れてはならない。
「週刊現代」2015年9月5日号より