京の料理には「出合いもん」というものがあります。
味の取り合わせがピッタリしているもの同士をさした言葉です。
よくある表現をすれば、1プラス1が2ではなく、
3にも4にもなる料理のことでもあります。
たとえば、「なす」と「身欠きにしん」の「炊き合わせ」です。
これは、単に「にしんなす」とも呼ばれます。
「えびいも」と「棒だら」を炊いた「いもぼう」。
「壬生菜」と「鯨のころ」もそうです。
別に何かの料理書などで定められているわけではありません。
また、地域によって、季節によって、多少の違いや応用もあるようです。
「身欠きにしん」といえば、「なす」と合わせることが多いようですが、
逆に「なす」といったら、「お揚げ」と組み合わせることの方が多そうです。
もちろん、それは「お揚げ」の方が使う頻度がずっと多いからです。
「棒だら」には「さといも」や「こいも」を合わせることもあります。
「えびいも」は値段が高く、
また、手に入る時期に限りがあるからでしょうか。
あるいは、「えびいも」の産地に遠かったり、
他の「いも」が身近にあったとも考えられます。
また、「いもぼう」は必ずしも
一緒に「炊き合わせ」るとはかぎりません。
「棒だら」を炊いたら、それを取り出して、
その煮汁で「いも」を炊くという料理方法もあります。
老舗の「いもぼう平野屋本家」では
「棒だら」と「えびいも」を長時間一緒に炊きます。
でも、「えびいも」がないとき、
それ以外の「いも」で炊くときはどうなのかは知りません。
「鯨のころ」は「水菜」とも合わせるようです。
京にかぎらずとも、「肉じゃが」とか「ぶり大根」とか
定番の組み合わせはありますが、
京の場合は独特のもののような感じがします。
しかし、まだ京の生活・経験が浅いため、
それが「出合いもん」と呼ばれるほどの強い絆になっているのか、
よい組み合わせということの程度が強いのか、
わからないのが現状です。
「出合いもん」を、その理由・経緯も含めて、
いずれ明らかにしてみたいものです。