家常豆腐(ピリ辛チャンプルー中華風)
沖縄料理といえば「チャンプルー」が一番ポピュラーなようです。
朝はおうちでチャンプルー、昼は食堂でチャンプルー、夜は居酒屋でチャンプルーと、連ちゃんチャンプルーというお話も聞くほどです。
そんな、沖縄のシンボルのような「チャンプルー」ですが、料理の名前をどれだけ挙げられますか?
「ゴーヤーチャンプルー」・「マーミナチャンプルー」・「タマナーチャンプルー」・「らっきょうチャンプルー」・「チキナーチャンプルー」・「豆腐チャンプルー」。それに「ソーミンチャンプルー」もこの際、認めましょう。
でも、こうして数えてみると種類は意外と少ないのです。料理の本を見ても、ほかに「いんげんチャンプルー」・「クレソンチャンプルー」・「チリビラーチャンプルー」くらいでしょうか。
野菜と豆腐を組み合わせた炒めものなのですから、もっともっとあってもいいはずです。
白菜・なす・ほうれんそう・ピーマンなどもおいしそうです。しかし、白菜チャンプルーやなすチャンプルーなどは聞いたことがありません。
チャンプルーの料理としての特徴をあげてみましょう。
(1)チャンプルーは、種類があまり多くありません。
(2)味付けは塩と醤油だけで、単調で、味わいに深まりがないと言ってもいいでしょう。
(3)メインになる野菜の名前を付けて呼ぶため、その他に使われる食材数が少なく、栄養素のバランスがあまりよくない…という意外な事実も明らかになるのです。
これらのチャンプルーの欠点を補うために、ここで「オリジナル・チャンプルー」を提案することにします。
(A)食材の種類を増やして、組み合わせも楽しむ。
(B)香りと味付けに少し手間をかける。
以上です。食材が増えるので、当然、栄養素のバランスもよくなります。
具体的には、以下です。
(A)豆腐のほかに、メインの食材は2種類以上にすることをおすすめします。できれば、「五目」や「七色」くらい使うといいでしょう。野菜はもちろん肉・魚介・玉子・きのこ・海藻などなんでもいいのです。「アサリとシメジと島にんじんのチャンプルー」なんて、なんかパスタのようで、名前を聞くだけでおいしそうです。
(B)チャンプルーにも中華料理やイタリア料理などのように、香りの味付けを加えてみましょう。ねぎ・にんにく・しょうがのみじん切りなどを最初に炒めるだけで香りと風味が違ってきます。次に調味料を塩と醤油だけに限定しないで、いろいろ使ってみましょう。油も食材によってラードやオリーブオイルなどを使うのもよいでしょう。
気楽に気軽につくれるのがチャンプルーのよさです。だからこそ、既成概念に縛られることなく自由な発想で、おいしい料理を見つけたいものです。
そのヒントは「オリジナル・チャンプルー」の名前の付け方です。「○○と○○の○○チャンプルー○○風」の○○の入れ方で、広がりは無限です。
今回の「オリジナル・チャンプルー」は「家常豆腐」(ヂアチァンドウフウ)です。
「家常」とは「家庭」のことで「家常菜」(菜=料理)は家庭風の料理なのですが、家庭料理にとどまらずそこから発達した料理を意味しています。
それぞれの家にはそれぞれ違った独特の味わいの料理があります。だから「家常菜」には唯一のレシピはなく、それぞれがオリジナル料理なのです。前置きが長くなりました。
【つくり方】
(1)ねぎ・にんにく・しょうがは好みの量をみじん切りにします。
(2)豚肉は塊のままゆでて冷蔵庫で冷やしておいたものを、厚揚げは熱湯で油を抜いたものを、たけのこはゆでたものを、それぞれ薄く切ります。干ししいたけは軸を除いて水で戻し斜め半分に切ります。にんじん・キャベツ・ピーマン・赤ピーマンは好みの大きさ・形に切ります。あとは冷蔵庫などに残っているものも使いましょう。
(3)フライパンを熱して油をひき、ねぎ・にんにく・しょうがを炒めます。焦げ付かないように注意します。豆板醤を加え炒め、香ばしさを出します。
(4)豚肉・にんじん・厚揚げをフライパンの面に接触するように並べて順々に焼きます。ゴチャゴチャに混ぜると均等に加熱しにくいのです。
(5)紹興酒・醤油(少なめに)を加えて炒め、出汁(豚肉をゆでたときの汁でよい)を加え、キャベツ・たけのこ・しいたけも入れて煮込みます。ピーマン、赤ピーマンは後で加えます。
(6)醤油を加え、好みの味に調えます。
(7)水溶きかたくり粉でとろみを付けます。できあがり。
(8)冷蔵庫で保存して、温め直すといっそうおいしくなりますから、多めにつくっておくとよいでしょう。